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2025年10月21日
政界再編で日経平均は波乱含み、米国では地銀株が急落する不透明感も
1週間前は公明党が連立政権から離脱して、そこでいったん幕が引かれました。次の展開に向けて週をまたいでスタートした先週は、週初から株価が急落するという軟調な展開となりました。
自公連立政権はあっけなく崩れ去り、ここから野党間の連携協議が始まります。まとまりさえすれば数の上では優位に立つ野党各党は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の3党が3連休明けから何度も会合を繰り返しました。
特に野党第1党の立場にある立憲民主党は、数の上での絶対の優位性をかなぐり捨てて、とにかく政権交代を目指すという一念で首相指名選挙では国民民主党の玉木雄一郎氏代表に投票するという捨て身の策を切り出しました。
しかし政策面での一致がなければ野党連立構想は無理があります。2党間でもむずかしいのにそれが3党となると至難の業と言わざるを得ません。
憲法9条の堅持を掲げる立憲民主党と、集団的自衛権の行使容認(憲法改正)や原発推進の維新の会は主張が正反対で、さらに国民民主党(積極財政)と維新(小さな政府、議員定数の削減)との間でも肌合いがまったく違います。
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基本的な政策の一致が見られないまま臨時国会のタイムリミットが近づくうちに、水面下では寝技の得意な自民党がウルトラCを繰り出しました。
10月16日(木)に自民党と日本維新の会は新たな連立政権を組む前提で政策協議に入ったことを打ち出しました。前日の高市早苗総裁と吉村洋文代表との党首会談で連立への打診があった模様です。
維新から自民党に対しては「副首都」構想の実現、社会保障改革、企業・団体献金の禁止、国会議員の定数削減など、12項目が申し入れられたようです。自民党は前向きに検討するとしていますが、自民党にとってかなり厳しい項目も含まれており、このうちのどこまでが容認できるのか。
維新は閣僚ポストまで要求するのか、それとも閣外協力にとどまるのか。この週末をはさんで臨時国会までまだいくつもの展開があるはずです。一寸先は闇、と言われる政治の世界では政権の外に去った公明党の出方も含めて、今後も予想のつかない展開が待ち受けているように思います。
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海外でも大きな動きがありました。イスラエルとパレスチナ・ハマスは2年間の戦闘を停止し人質を解放しました。この点でトランプ大統領が大きな功績を遺したのは事実です。
そのトランプ大統領は、中国に対して11月から100%の追加関税を課すと表明しました。
中国がレアアースの輸出規制を強化したことに対する対抗措置です。今月末に予定されているAPEC首脳会談において、米中首脳会談を実施することも視野に入っていたのですが、その機運も急速にしぼんでいます。
ただし100%の追加関税には言及したものの、実際の実施に関してすぐにトーンダウンされたようで、マーケットは強硬スタンスを打ち出しては引っ込める「TACO」の再現と受け流している節があります。
日経平均は週明けに一時▲1400円も下落する局面もありましたが、すぐに値を戻しています。
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盤石と見られる米国の株式市場ですが、米国の地銀大手の株価が急落するなど不穏なムードも一部には漂っています。
米国の自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループが「ファクタリング」という売掛金を流動化する資金調達手法で不正を行っていたことから経営が破綻しました。
同様に自動車ローンのトライカラーHDも買掛金を流動化する資金調達で不正があったようで、この会社も経営破綻しています。
地銀大手のウエスタン・アライアンスとザイオンズがそろって融資先を訴えていることから、これらの案件が相互に関わりがあるのではないかと市場では疑っています。
2023年春に起きたシリコンバレー・バンクの経営破綻のように、小さな疑念が発端となって巨額の資金引き上げを引き起こすという記憶が一気に噴出したようにも見えます。
米国では9月の新車販売価格の平均値が5万ドル(750万円)を超え(前年比+3.6%)、統計開始以来の最高値を記録しました。EVの駆け込み需要が押し上げている側面もありますが、富裕層を中心に高級車が売れていることも事実です。
自動車ローン会社を巡るプライベートファイナンスは実体がまるで見えないだけに、市場が安心を取り戻すには時間がかかるものです。それらが空前の高値圏にある現在の米国市場の上値を抑える結果となっています。
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先週の東京株式市場は、TOPIXは反落しました。それでも週初の大幅安を少しずつ取り戻して週間の下落率は▲0.85%と小幅安にとどまりました。依然として日経平均が主導する上昇が続き、NT倍率は一段と高まっています。
JPX日経中小型株指数も▲0.92%下落にとどまりましたが、東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は▲4.99%の大幅安を記録しました。
規模別指数では、大型株指数が▲0.87%、中型株指数は▲1.04%、小型株指数は▲0.04%とそろって軟調でした。
スタイル別でもグロース株の▲0.88%に対して、バリュー株も▲0.82%とそろって軟調です。その中で小型グロース株指数だけが+0.50%と3週ぶりのプラスを見せています。
東証プライム市場の騰落レシオは徐々に低下しており、週末は90.44%となりました。4月14日以来の低水準です。日経平均のサイコロジカルラインは「5」~「7」の間で推移し、週末は「7」で終わりました。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、6業種が上昇し、11種が値下がりしました。
値上がり上位セクターは「小売」、「電力・ガス」「機械」でした。反対に値下がり上位セクターは「金融(除く銀行)」、「銀行」、「医薬品」でした。
上昇率のトップの小売セクターは決算発表シーズンを迎え、決算の好調だった主力銘柄に大幅高となる銘柄が集中しました。
ファーストリテイリング(9983)が前期の好業績に加えて今期の業績見通しが好調だったことから週を通じて大きく上昇しています。国内での販売以上に海外の急成長ぶりが評価されています。
それからイオン(8267)です。第2四半期の営業利益が+19%も伸びたことが好感されて株価は急伸。上場来高値を更新しました。DXを通じた店舗改革、「トップバリュ」を軸に据えたPB戦略がことごとく成長につながっています。
ほかにも良品計画(7453)、サイゼリヤ(7581)、吉野家HD(9861)、ツルハHD(3391)など小売の各カテゴリーを代表するトップ企業が軒並み業績見通しの好調さを好感された株価は急騰しました。
しかしその裏側では、ドトール日レスHD(3087)、トレジャー・ファクトリー(3093)、エービーシー・マート(2670)、ハローズHD(2742)など、高い期待に届かなかった企業、期待されたほどは伸びなかった企業も存在します。企業間の優勝劣敗が極端なまでに強まっていることが明らかになった決算内容でした。
値上がりセクターの第2位は「電力・ガス」でした。東京電力HD(9501)が年初来高値を更新し、Jパワー(9513)、中部電力(9502)、関西電力(9503)も同様に強含みの動きです。
日本維新の会が自民党との連立政権入りに前向きとの見方が強まったことで、原発再稼働が一段と進められるとの思惑が先行していると見られます。
値上がりセクターの第3位は「機械」でした。前週からの流れを引き継いで機械セクターの値動きが軽快です。日本維新の会の連立入りが強まったことから、防衛関連の三菱重工(7011)が上場来高値を更新し、日本製鋼所(5631)、コマツ(6301)、クボタ(6326)、も堅調です。
半導体関連のディスコ(6146)、荏原(6361)、CKD(6407)、野村マイクロ・サイエンス(6254)、ロボット関連の不二越(6474)などが人気を集めています。
反対に値下がり上位のセクターは「金融(除く銀行」」、「銀行」、「医薬品」でした。
米国では自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループ、トライカラーHDの経営破綻が波紋を呼んでいます。
売掛金の早期資金化を図るファクタリング、同じく貝掛金を肩代わりするサプライチェーン金融がどちらも不正な資金調達に使われたとして、株式市場でもリスク回避の動きが生じている模様です。
自動車ローンに関連する東京海上HD(8766)、
(後略)

