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2025年9月16日
日経平均が史上最高値を更新、週足の終値で44,000円台に乗せる

先週の日経平均の値動きです。
・9月8日(月):43,643円(+625円)
・9月9日(火):43,459円(▲184円)
・9月10日(水):43,837円(+378円)
・9月11日(木):44,372円(+535円)
・9月12日(金):44,768円(+396円)
9月相場は荒れるとされており覚悟して臨んだはずですが、これまでのところその見通しは良い方向に外れています。ただしすべて「今のところは」という枕詞(まくらことば)が付いてまわります。
現在の株価上昇の要因は以下の3点です。
(1)米国の金融緩和への期待(そのためのインフレ動向、雇用情勢)
(2)テック企業の目覚ましい収益拡大(AI過剰投資懸念の払しょく)
(3)自民党総裁選(財政拡張派か、緊縮派か、新たな連立の枠組み)
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東京市場以上に上昇が際立っているのがNY株式市場です。NYダウ工業株をはじめ3指数はそろって最高値を更新しました。
その原動力のひとつがFRBによる政策金利の引き下げです。今週はFOMCの開催が予定され、それがいよいよ現実のものとなるか試されます。
先週注目されたのが9月11日(木)の米8月・消費者物価指数です。これが前年比+2.9%となり、7月の+2.7%から上昇幅が拡大しました。前月比も+0.4%の上昇で、市場予想の+0.3%を上回っています。
その前日に発表された米8月の卸売物価指数は前月比で▲0.1%下落しており、市場の予想である+0.3%を大幅に下回りました。前月比では4か月ぶりのマイナスです。
8月の時点で平均の関税率は12%に達したとみられ、トランプ関税は着実に物価を押し上げています。しかしそれとともに米国経済も減速感を強めているため、企業は値上げに対して慎重で、それが物価上昇の抑制に奏功しているようです。CPIよりもPPIの内容により注目すべき状況が出現しているようにも見えます。
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米国ではNASDAQが週末まで5日続伸して連日で史上最高値を更新しました。原動力となっているのはテクノロジー企業の動きであり、中でも注目を集めたのがオラクルの決算動向とその後の株価急騰です。
9月9日(火)の引け後、オラクルが6-8月期の決算見通しを発表し、受注残が3か月前と比べて3.3倍の4550億ドル(67兆円)に達したことを明らかにしました。さらに複数の大口契約が続いており、今後数か月間で受注残は5000億ドルを超える可能性にも言及しています。
この発表を受けてオラクルの株価は時間外取引で+30%近く上昇し、翌10日の本取引市場では一時+43%まで一段高となりました。
オラクルはデータ管理ソフトが主力ですが、マイクロソフト、アマゾン、グーグルの大手3社に対抗してクラウドインフラ事業に乗り出しました。後発であるため低価格を売り物としており、それが今回の巨額契約の獲得につながったと見られます。
半導体株の代表的な指数であるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も1年2か月ぶりに最高値を更新しています。
オラクルの時価総額は9200億ドルに急拡大して、全米トップ10入りを果たしました。オラクルはトランプ大統領肝いりの「スターゲート計画」にも参画しています。これは米国のAIインフラに5000億ドル(73兆円)投資するという壮大な計画で、そこで中心的な役割を果たすソフトバンクグループ(9984)も株価が大幅高となりました。
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日経平均が史上初めて44,000円に乗せた要因の3番目が自民党総裁選です。
9月7日(日)に石破茂首相が突然の退陣を表明したことによって、自民党総裁選が幕を開けました。
9月9日(火)には国会議員と自民党員・党友が投票する「フルスペック方式」で総裁選を実施することも決まり、投票日は10月4日(土)の方向で固まりつつあるようです。
臨時国会の召集がそれだけ後にずれ込むこととなりますが、衆参両院で与党が過半数を割り込んでいる現状は自民党にとって結党以来、最大の危機を迎えている状況です。それだけに総裁候補者は政策をより深く戦わせることが必要です。
茂木敏充・前幹事長は9月10日(水)に正式に出馬表明を行いました。ここに高市早苗・前経済安保相、小泉進次郎・農相、小林鷹之・元経済安全保障相が立候補すると見られます。
公明党の意向を反映した1人2万円の現金給付、野党の主張する消費税引き下げ、高市氏が前回の総裁選で政策に掲げた食料品の消費税率ゼロ。
積極財政か、緊縮か。日本経済の成長戦略をどのように描くのか。年金改革、少子化問題、対米投資。ここから10月4日までの3週間、日本の大きな分岐点でどのような議論がなされるのか。一国民としておおいに注目したいところです。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが続伸しました。上昇率は+1.78%まで拡大し、前の週の+0.98%から拡大しました。依然として中・小型株への物色意欲が強く、JPX日経中小型株指数は10週連続で上昇しています。
規模別指数では、大型株指数は+1.96%で続伸しました。中型株指数は+1.43%、小型株指数は+1.42%といずれも続伸し、前週に続いて最高値を更新しています。
その一方で東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は4週連続の下落しました。虚偽会計によりIPOからわずか10か月で上場廃止となったオルツ(260A)の影響が尾を引いているように思います。
スタイル別では、バリュー株の上昇に押され気味だったグロース株が猛然と切り返しています。大型グロース株は+2.33%、小型グロース株は+2.05%といずれも大きく上昇しました。小型グロース株は10週連続の上昇です。
バリュー株も引き続き堅調です。大型バリュー株は+1.35%と続伸し、小型バリュー株も+0.84%もしっかり上昇しています。
東証プライム市場の騰落レシオは、週末値で119.53%となりました。過熱圏とされる120%ラインを超えていましたが、その記録は35日連続で途切れました。日経平均のサイコロジカルラインは「7」から「8」の高めの水準で推移しています。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、13業種が値上がりし、4業種が値下がりしました。上昇するセクターが優勢の状況が続いています。
値上がりセクターの上位は「電機・精密」、「情報通信・サービス」、「不動産」です。テクノロジー株の躍進が前面に出た週でした。
値上がり第1位の「電機・精密」では、何と言ってもアドバンテスト(6857)、キオクシアHD(285A)の半導体関連株です。米国のオラクルが今6-8月期の決算見通しで、受注額が急激に増加したことが買い材料となっています。どちらも上場来高値を更新して現在の半導体株をリードしています。
そのほかにもイビデン(4062)、KOKUSAI(6525)、ミネベアミツミ(6479)、アンリツ(6754)、富士電機(6504)、富士通(6702)などが幅広く物色されました。
反対に不適切会計の疑いの生じたニデック(6594)は下落し、サンケン電気(6707)、ヤーマン(6630)は軟調でした。
値上がりセクター第2位の「情報通信・サービス」では、何と言ってもソフトウエア(9984)の上場来高値更新です。これもオラクルの受注急増が反映されています。
そのほかにもANYCOLOR(5032)が好決算で急伸し、楽天グループ(4755)、TIS(3626)、セルシス(3663)、ラクス(3923)、民放各社も堅調でした。
値上がりセクターの第3位が「不動産」です。三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、野村不動産HD(3231)、東京建物(8804)など大手不動産株が堅調でした。
自民党総裁選はフルスペックでの投票と決まり、投票日は10月4日と設定されました。日本の政局が大きく変わろうとする時に日銀の金融政策は大きくは動かない、利上げは行われない、との連想が働いて不動産セクターの株価を押し上げています。
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その一方で値下がりセクターの上位には、「自動車・輸送機」、「食品」、「医薬品」が登場しました。
関税交渉の決着、合意文書の作成を受けて、前週はトヨタ自動車(7203)をはじめ大手自動車株は堅調でした。その反動から先週の株価は総じて一服となっています。
それでもNOK(7240)、タチエス(7239)、豊田合成(7282)、大同メタル工業(7245)など部品メーカーは堅調さを保っています。
「食品」、「医薬品」のマイナスセクターでも個々の銘柄の株価はしっかりしたものが目立ちます。
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日経平均が史上最高値を更新することに突き動かされて、企業サイドの動きも活発になっています。
石油化学業界では三井化学(4183)と出光興産(5019)の共同出資会社に、住友化学(4005)が合流することが発表されました。実現すれば汎用プラスチックの国内生産能力の4割を占める企業連合が誕生します。長年の懸案事項だった過剰供給能力の一端が是正される方向に向かいますが、今後どのような展開をたどるのか、興味深々です。
また、関西電力(9503)の
(後略)
