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2024年9月18日

雇用統計が終了、FOMCを控えて米国株は戻り歩調が続く

鈴木一之

鈴木一之です。9月のお彼岸ももうすぐだというのに、連日のように35度を超える暑さが続いています。

異常気象がもはや明らかに日常のものとなり、物価も上がって地球はなんとも住みにくくなりつつあります。せめて水分補給だけはしっかりしようと心がける毎日です。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが2週連続で下落しました。

米国では1か月にわたって注目されてきた8月雇用統計が先週末で通過して、2か月以上にわたって注目され続いているFOMC開催を目前に控えています。その両方にはさまれた先週は、「無難に通過すべき週」として無難に通過したところだと見られます。

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先週の東京株式市場はTOPIXが2週連続で下げました。政治的なイベントの多い週で(後述)、下落率はその前の週の▲4.25%からは縮小し、▲1.01%にとどまりました。

誰もが認めるところですが、日々の値動きが大きくなっています。先週は月曜日に半導体株が軒並み下落して、一時は日経平均で▲1100円を越える下げ幅となった後、大引けでは▲176円の小幅マイナスまで盛り返しました。

翌火曜日になると今度は反対に、午前中は+320円以上も高く始まったものの、大引けでは▲56円と小幅反落に意気消沈しました。方向性がまるで定まらない展開となっています。

スタイル別では、バリュー株が下げグロース株が選好されています。金利低下局面の常と言えばそれまでです。

大型バリュー株は下げ幅が▲1.66%に広がりました。それに対して大型グロース株は▲0.36%の下落にとどまっています。銀行株が下げ、半導体株が上昇する構図です。

プライム市場の騰落レシオは115.94%と中立的な位置につけていますが、9月10日(水)にはこれが急上昇し、一時的に131.24%にまで高まりました。

一方で日経平均のサイコロジカルラインは、週末に「3」まで低下しています。過熱感を示す騰落レシオ、売られすぎを示すサイコロジカルライン、まったく異なる値が同時に出現しており、マーケット内のミスマッチ感を強めています。

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TOPIX-17業種の動向では、値上がりセクターが4業種、値下がりセクターが13業種に広がりました。

値上がり上位のセクターは「電機・精密」、「機械」、「小売」でした。

値上がりトップの「電機・・精密」は、米国で半導体セクターの上昇が再開されたことから、アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)の上昇が見られました。

ただし半導体関連株はまだ上値の重さが残っているようで、スクリーンHD(7735)やレーザーテック(6920)をはじめ、多くの銘柄で戻りの鈍さが感じられました。

先駆事例として常に注目される1月決算の三井ハイテック(6966)は、通期業績の見通し引き下げからストップ安まで下落しています。

「機械」セクターも同様です。ディスコ(6146)は反発しているものの、コマツ(6301)、DMG森精機(6141)、ナブテスコ(6268)、竹内製作所(6432)は軟調です。IHI(7013)が新高値を更新し、ひとり気をはいています。

値上がり第3位は「小売」です。上位2業種が下げ止まりから底値圏での反転、という形が多いのに対して、小売セクターは前週から一貫して上昇力を維持している銘柄が多く見られます。

エービーシー・マート(2670)、ZOZO(3092)、しまむら(8227)、ゼンショーHD(7550)、イオン(8267)など主力銘柄がいずれも堅調です。

セブン&アイHD(3382)に対する海外企業からの買収提案が、会社側の特別委員会による買収拒絶→買収側の再提案→事前審査が必要な「コア業種」指定など、まだまだこの先に紆余曲折がありそうです。それが他の小売銘柄への刺激材料にもなっています。

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反対に値下がりの目立ったセクターは「電力・ガス」、「自動車・輸送機」、「医薬品」となりました。

「電力・ガス」に関しては、下げの理由がわからないままに軟調な値動きが広がっているように見られます。「理由のわからない下げ」には警戒が必要なのですが、中でも下落幅の大きいのが東京ガス(9531)、大阪ガス(9532)のガス供給会社です。

景気鈍化の懸念が強まり、原油価格が値下がりしています。WTI先物で65ドル台まで下落しました。ガス会社は通常、原油安は調達コストの低下として好感されることのが常です。それが先週は反対に動きました。

ガス会社も今では天然ガスを中心に、海外での資源権益を多数保有しています。それだけにエネルギー価格の下落が株安につながったと考えることもできます。

同様に電力会社も、中部電力(9502)、関西電力(9503)、北陸電力(9505)も軟調でした。

値下がりセクターの第2位は「自動車・輸送機」でした。141円台への円高突入を嫌気して総じて軟調です。

値上がり業種のトップが「電機・精密」であるのに対して、値下がり上位には同じ輸出関連株の自動車セクターが入ったことが先週のマーケットの大きな特徴です。

自動車セクターは景気鈍化の懸念、円高の進行という悪材料に加えて、世界的に広がるEV戦略の迷走が背景にあると見られます。自動車セクターのおかれている現在の苦境は相当に根が深いと見られます。

値下がりセクターの第3位は「医薬品」でした。前の週まではディフェンシブ的な業種として堅調な値動きが見られましたが、その流れが逆流しています。

個々の銘柄にネガティブな要因が広がっています。第一三共(4568)は、フェーズ3の段階にあった開発中のがん治療薬に有効な薬効が見られなかったと発表したことから株価が急落しました。

それに続いて武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)、塩野義製薬(4507)、小野薬品工業(4528)などの大手メーカーが軒並み軟調な動きに変わりました。物色対象の変遷がここでも激しくなっています。

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先週は実に様々な重要ニュースが飛び交いました。その多くが政治面での変化です。

株式市場を取り巻く外部環境の変化として、注目されたのが米国の大統領選のテレビ討論会です。

民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が直接対決する最初の(そして最後の)テレビ討論会が、9月10日(日本時間は11日)にABC主催で開催されました。

経済に関するテーマが真っ先に取り上げられ、ハリス氏は中間層の生活支援に配慮する姿勢をはっきりと打ち出しました。その上でトランプ氏の選挙公約の目玉であるトランプ減税を批判しています。

それに対してトランプ氏は、2017~2020年の政権1期目に「史上最も偉大な経済を築いた」と自画自賛して、2期目の大統領では「経済をさらによくする」と訴えました。

マーケットはハリス氏の増税路線を警戒し、トランプ氏の減税恒久化を望んでいます。

続いて外交、人工中絶、不法移民のそれぞれのテーマで論戦が交わされ、100分間の討論が終わりました。討論終了後の調査では、ハリス氏の勝利と思う人が63%、トランプ氏が37%という結果となりました。

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討論会そのものよりも、テイラー・スウィフト氏がハリス氏支持を表明したことが話題を集めました。「インスタグラム」での書き込みで伝えられ、これによってZ世代を中心とした無党派層に大きく影響することが考えられます。

無党派層とラストベルトを引き込んだ方が勝利を収めるとされており、ハリス氏の勝利が近づいたと見る向きが増えています。

現時点においてはトランプ氏の劣勢が浮き彫りになったことから、株式市場では半導体関連株に反発機運が高まっています。

トランプ氏は7月に、台湾に対して安全保障にただ乗りして貿易上の利益を得ていると批判していました。同時に台湾に対して相応の防衛負担を求める意向を示しており、その圧力が後退するとの見方から、半導体株の値動きにプラスの恩恵がもたらされています。

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日本ではこのテレビ討論会の翌日、9月12日に自民党総裁選が告示されました。さっそく9人が立候補の届け出を行いました。

すでに各方面で報じられているように、9人の候補者数は過去最多、告示から投票まで15日間は過去最長です。ほとんどの派閥が解消され、各候補を推す推薦人の20人も顔ぶれは派閥色が大きく後退しています。

候補者は、届け出順に高市早苗(経済安全保障相)、小林鷹之(前経済安保相)、林芳正(官房長官)、小泉進次郎(元環境相)、上川陽子(外相)、加藤勝信(元官房長官)、河野太郎(デジタル相)、石破茂(元幹事長)、茂木敏充(幹事長)。

9人の候補者は今後、福島県、愛媛県、沖縄県など全国8か所を回って討論会を開催します。全国を遊説するのはコロナ禍前の2018年以来、6年ぶりのことです。

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岸田政権の宏池会は、アベノミクスによる10年間の積極財政を、「新しい資本主義」によって少しずつ路線転換を図ったと見られます。しかしそれは道半ばで退陣を余儀なくされました。

これからの日本の針路をどこに定めるのか。株式市場はもちろんのこと、国の内外から最大限の注目が集まっており、それだけにメディアの報道も過熱気味となっています。

QUICKの調査によれば、自民党の新総裁に望ましい人物として、1位は高市早苗氏、2位は小林鷹之氏、3位は小泉進次郎氏でした。

総裁選は決選投票にもつれ込むのはほぼ確実と見られており、自民党員は果たして誰にわが国の将来を託すのでしょうか。

小泉候補に代表されるように、総裁選が終了すればすぐに衆院解散・総選挙、という声も多く聞かれます。総裁選の後すぐに召集される臨時国会が早くも焦点となりつつあります。

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米国では債券利回りの「逆イールド」現象が2年ぶりに解消したことが話題になっています。逆イールドは

(後略)

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鈴木一之