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2020年12月27日

クリスマスラリーは不発だが、株価は高値保ち合いを継続

鈴木一之

◎日経平均(25日大引):26,656.61(▲11.74、▲0.04%)
◎NYダウ(24日終値):30,199.87(+70.04、+0.23%)25日は休場

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鈴木一之です。クリスマスが終わりました。今年はポインセチアの鉢をほとんど見かけませんでした。

例年のことですが、日本では一晩のうちにクリスマスの飾りつけが撤去され、瞬時にお正月の飾りつけに切り替えられます。

実に見事な作業効率で感心するばかりが、あの大量のポインセチアの鉢植えはいったいどこに行ってしまうのか、いつも不思議に思っています。今年は元から鉢植え自体がなく、その疑問は解消せずに持ち越されてままです。

株式市場では薄商いで横ばい状態が続いています。金曜日は世界中のマーケットがほぼ休場。キリスト教国ではない日本は数少ない例外でオープンしていましたが、売買代金は今年最低の1兆2500億円にとどまりました。

海外投資家がほとんどお休みを取っている以上、仕方のないところです。コロナウイルスの感染拡大はクリスマスなど考慮してくれません。世界中で新規の感染者数が増加しています。

各国ともクリスマス商戦をロックダウンの状態で迎えることだけは避けたかったはずですが、それはかなわずに終わりました。

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1週間の日経平均の高安で見れば、先週は2勝3敗でした。12月はここまで4週間、第1週だけが3勝2敗とわずかに勝ち越しましたが、それ以降は1勝4敗、2勝3敗、2勝3敗とずっと負け越しです。

ワクチンの接種が欧米で始まっていますが、集団免疫の目安とされる「国民の6~7割」に免疫ができるまでにはまだ相当の時間がかかります。それまでの間ずっと「ワクチン相場」をはやし続けることはできません。

世界中でコロナ対策に投じられた費用はすでに1300兆円に達しています。米国議会はクリスマス直前の今週はじめにに9000億ドルの景気の経済対策に合意しました。議会が閉会するギリギリのタイミングでしたがなんとか実現にこぎつけました。

クリスマス直前の米国の株式市場は堅調さを保ちましたが、しかしそれだけで株価の上昇を加速させることはできませんでした。年が明ければ新しい大統領に就任するバイデン氏は、就任した後にすぎに追加の経済対策を用意することを明言しています。

日本では来年度予算の概要も決まり、再生可能エネルギーを主軸とした新しい電源構成比も案として固まりつつあります。すべては年明けの通常国会での審議を待つ段階です。

再生可能エネルギーの比率を50-60%に高めることは、きわめて野心的な政策転換です。どの国も同じでしょうが、電源構成の変更という政策は、巨大な既得権益との戦いですので勇気がいるものです。

先週末は関電工(1942)やユアテック(1934)などの電気通信工事株が久しぶりに動意づきました。いずれも割安株、高利回り銘柄なのに人気のなかった銘柄です。それが徐々に動き出しています。

機械商社の東京産業(8070)やコネクタの鈴木(6785)、越境ECのBEENOS(3328)、好業績が期待されるキャリアリンク(6070)など、個別銘柄の動きも見えにくいところで活発化してます。

世の中のあらゆることが、来たる2021年の新しい年に持ち越されることになります。

東京五輪・パラリンピックは本当に開催できるのか、衆院選挙はいつ実施されるのか、世の中は元の姿に戻るのか。今年はすべてをなかったこととして忘れてしまいたい年となるのかもしれませんが、年が改まったくらいでは簡単に事態が動くものでもありません。

変わったもの、変わらないもの、新しいもの、古いものをひとつずつ定義し直しながら、ゆっくりと前に進む準備期間としての年末年始にしたいものです。

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先週の株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反落しました。下落幅は▲0.83%と小さなものにとどまっていますが、週を通じてボリュームの盛り上がりを欠く静かな展開となりました。日経平均は26,000円半ばをしっかりとキープしています。

物色の中心は引き続き大型株で、小型株は弱い動きが続いています。東証マザーズ市場は再び▲2.05%と下げが目立ちました。バリュー株は久しぶりに軟調で、どちらかと言えばグロース株が優位の週でした。

REITだけは続伸しています。東証REIT指数は5週連続の上昇で、中でもオフィス指数は8週連続での上昇となりました。リモートワークの普及によって都心部のオフィス空間の需要が落ちるとの見立ては徐々に修正を迫られている模様です。

TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、5業種が上昇し12業種が下落しました。前の週の上昇7、下落10と比べて悪化しました。

値上がりトップは「食品」で、第2位は「小売」です。12月相場のこれまでの動きであまり主役になり切れなかったセクターが浮上しました。

逆に見れば、それだけ膠着感が強まっているということになるのかもしれません。先週の株価の動きで特に目立ったことは、イオン(8267)が上場来高値を更新したことと、キリンHD(2503)、セブン&アイHD(3382)の大型株がしっかりしました。

クリスマス休暇の海外投資家の動きは鈍いと見られるものの、出遅れ循環物色の流れは継続していると言えそうです。同時に、キッコーマン(2801)、カルビー(2229)、湖池屋(2226)、プリマハム(2281)などの巣ごもり消費関連の銘柄も堅調です。

「食品」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=271&mode=D

「小売」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=284&mode=D

値上がりセクターの上位には、ほかにも「鉄鋼・非鉄」や「機械」、「素材・化学」が堅調でした。景気敏感株の物色が継続していると見ることもできますが、このセクターには全固体電池や水素発生装置、リチウムイオン電池の材料など、再生可能エネルギー関連銘柄が数多く含まれています。

190兆円にのぼると見られるエネルギー構造の転換にかかる巨額の投資額の受け入れには、日本の製造業の技術をすべて結集しなければなりません。希望的に述べれば、来たる2021年はそれらの設備投資相場が沸きあがる可能性も十分に考えられます。

「鉄鋼・非鉄」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=277&mode=D

「機械」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=278&mode=D

「素材・化学」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=274&mode=D

反対に値下がりセクターでは、「情報通信・サービス」がワースト・ワンとなりました。これは何と言ってもソフトバンクG(9984)です。

中国の独禁法を監督する当局がアリババの調査を開始したことが発表されました。11月のアントグループの上場延期に続く、アリババへの規制強化の動きです。中国政府の行動は本当に理解するのがむずかしく、年明け以降もリスク要因として立ちはだかるのは間違いありません。

ソフトバンクGを除けば、NRI(4307)、日本オラクル(4716)から、メディカル・データ・ビジョン(3902)、アドソル日進(3837)、PCIHD(3918)など、情報通信セクターの一角が息を吹き返しています。

前の週まで堅調だった「自動車・輸送機」や「エネルギー資源」は反落しました。薄商いの地合いで限られた物色のエネルギーを取り合っている様子ですが、それが循環物色ということなのでしょう。

「情報通信・サービス」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=280&mode=D

「自動車・輸送機」のチャート(直近3か月間)
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=276&mode=D
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主力の大型株が堅調です。先週はデンソー(6902)と

(後略)

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鈴木一之