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2024年1月28日

日経平均は週初に37,000円台に接近、そこから失速、調整期入りか

鈴木一之

能登半島地震で被害に遭遇された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

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株式市場は堅調な動きを続けています。先週、日経平均は週初に一時、37,000円の大台に乗せる寸前まで上昇しました。ようやく36,000円を突破したばかりでもあり、それはさすがにスピード違反です。

そこからは高値警戒感の方が勝っているようで、週末にかけて軟化しました。週末の終値では35,000円台半ばに押し戻されています。ある意味では待ちに待った調整極圏が始まったようです。

米国では火曜日に、大統領選挙の第2戦目となるニューハンプシャー州の共和党・予備選が実施されました。無党派層が多いとされるニューハンプシャー州でどこまでニッキー・ヘイリー氏が得票数を伸ばすかが注目されましたが、結果としてはここでもトランプ前大統領が勝利を収めました。ヘイリー氏を11.4ポイント上回っています。

まだ2戦目に過ぎませんが、トランプ氏が共和党候補に指名されるのが濃厚となってきました。次はいよいよ3月5日のスーパーチューズデーです。

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米国の株式市場は依然として好調です。週末にNYダウ工業株は史上最高値を更新しました。マイクロソフトの時価総額は3兆ドルを超え、メタも1兆ドルに乗せました。

エヌビディアも史上最高値を更新し続けており、生成AIの周辺には引き続き投資資金が渦巻いている様子がうかがえます。S&P500も連日の最高値更新となりました。

注目されるのは景気の好調さです。長期金利は4.14%に上昇していますが、株価の堅調さも続いています。1月の米国の製造業PMIは50.3となり、分岐点の「50」を上回りました。

10-12月GDPは前期比年率で+3.3%の増加となりました。80年代以降では最もピッチの速い政策金利の引き上げを行ったばかりですが、それでも経済は失速せずに成長が加速しています。

最大のリスクであるリセッションを回避しながらインフレの鈍化に成功しています。マーケットは早期利下げへの期待をあからさまに示し、楽観的に傾き過ぎると警戒されていますが、現実は米国経済の力強さがそれ以上に前面に出ています。

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経済の好調さが半導体関連株を押し上げています。1月18日(木)に台湾のTSMCが10-12月期の決算を発表して、2024年12月期の売上高が前期比+20%も増える見通しを明らかにしたこともきっかけとなっています。

続いてオランダの露光装置大手・ASMLも1月24日(水)に10-12月期の決算を発表し、売上高が+13%増になったことから株価が大きく上昇しました。

好業績の背景には中国向け輸出が規制対象となる前に駆け込みの需要があったようですが、その影響がなくなる2025年も露光装置が拡大するとの見通しを明らかにしました。そこから市場の安心買いを誘っています。

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その一方でインテルの決算はネガティブな反応となりました。

1月25日(木)に決算を発表されたインテルの10-12月期の決算は、純利益が26億ドルの黒字に転換しましたが、2024年1-3月期の見通しが122億-132億ドルで市場の見通しを下回ったため、株価は軟調な動きに終始しました。

これを受けて東京市場でも、木曜日まで堅調な値動きを保っていた東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、スクリーンHD(7735)、KOKUSAI(6525)、アルバック(6728)らの半導体関連株が、週末にかけて軟調な動きに変わりました。そのために日経平均も大きく押し下げられました。

実際に世界の株式市場は、半導体関連株の動向だけで動いているようなところもあります。株価はいったん調整入りもやむなしというところでしょう。

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先週の株式市場を動かしたもうひとつの要因が、日銀の金融政策決定会合です。月~火曜日に行われて金融政策の現状維持が決定されました。

火曜日の昼過ぎに金融政策は「現状維持」と第一報が流れて、そこから株式市場は上値が重くなりました。引け後に開催された植田日銀総裁の記者会見では、予想されていた以上にタカ派的なニュアンスが感じられ、そこから思惑が重なって好調だった日本の株価も短期調整に入るとの見方が強まりました。

市場では日銀は金融政策の正常化に意欲的との見方が広がり、当初予想の4月ではなく3月にもマイナス金利の解除という可能性が浮上しました。そこから水曜日には銀行株が急騰して、不動産株が売られました。今後のポイントはやはり春闘の動向です。

火曜日は中国政府が、軟化している自国の株式市場のてこ入れを講じる動きに出たことも株価の軟調さにつながっています。

これまで経済の救済策に冷淡だった中国政府がいよいよ株価対策に本腰を入れてきたことから、昨年暮れからの「中国売り、日本買い」のポジションが、これをきっかけに「中国買い、日本売り」に戻る可能性が出てくる可能性が警戒されたようにも見えます。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが7週ぶりに下落しました。下げ率は▲0.49%の小幅マイナスにとどまっています。

規模別では大型株が軟調で(▲0.75%)、小型株は小幅ですがプラスを維持しました(+0.72%)。年初から見られた激しい循環物色が一巡しています。

スタイル別では、比較的バリュー株が堅調です。大型バリュー株は▲0.28%の下げに対して、大型グロース株は▲0.92%となりました。小型グロース株は+0.89%、小型バリュー株は+0.55%とプラスを維持しています。

騰落レシオは1月25日に130.70%に達し、過熱圏とされる120%の水準を5日連続で越えました。日経平均のサイコロジカルラインは週末は「7」から「6」に低下しています。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、4業種が上昇し13業種が下落しました。

値上がり上位のセクターは「銀行」です。次いで「鉄鋼・非鉄」、「金融(除く銀行)」となりました。

「銀行」は日銀決定会合を受けて、メガバンクがいずれも大きく上昇したことが影響しています。ほかにもしずおかフィナンシャルグループ(5831)、京都フィナンシャルグループ(5844)が上場来高値を更新しました。

第2位の「鉄鋼・非鉄」からは、大平洋金属(5541)のように決算発表を受けて出遅れ感から上昇する銘柄が目立っています。銅・アルミ市況が上昇したのを受けて、三菱マテリアル(5711)、DOWAホールディングス(5714)、日軽金HD(5703)、UACJ(5741)が堅調です。

第3位の「金融(除く銀行」でも、野村HD(8604)、岩井コスモHD(8707)の証券株、三菱HCキャピタル(8593)のリース各社など、日経平均37,000円トライに際して出遅れている銘柄が堅調でした。

反対に値下がりセクターの上位には、「商社・卸売」、「エネルギー資源」、「不動産」が軟調でした。

商社や不動産は前週まで大きく上昇した反動もあって下げが目立ちますが、それでも全体では堅調です。

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それにしても10-12月期GDPに見られるように、米国経済の強さには目を見張ります。

現在の米国景気の好調さは個人消費によって支えられています。その個人消費の強さは5つの要因で支えられていると日本経済新聞は伝えています。

(1)住宅ローンの借り換え
(2)余剰貯蓄
(3)賃上げ
(4)株高による資産効果
(5)インフレの抑制

(1)住宅ローンの借り換えは、

(後略)

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鈴木一之