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2020年11月2日

米大統領選を目前にして、世界の株式市場は警戒モードに

鈴木一之

◎日経平均(30日大引):22,977.13(▲354.81、▲1.52%)
◎NYダウ(30日終値):26,501.60(▲157.51、▲0.59%)

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鈴木一之です。いよいよ11月となりました。天下分け目の11月です。

コロナウイルスの感染拡大が止まりません。止まらないどころか、北半球では感染の速度が増しています。そしてウイルス拡大の渦中で行われる米国の大統領選。投票日まであとわずかです。株式市場はどちらに対しても警戒心を強めています。

米国の政治情勢に関しては事態はますます混とんとしています。世論調査どおりに進めば、民主党のバイデン候補の勝利はほぼ固いと見られます。しかしそれがそのように進まないのがトランプ大統領の恐ろしいところで、世界中が4年前の大逆転劇を記憶しています。

それは当の民主党が誰よりも痛感しており、態度を決めている人には期日前投票を行うことを大々的に呼びかけています。そのせいもあって選挙人登録や期日前投票の数は空前の水準に達しつつあります。

このまま行けば投票率も歴史的な高さに達するのは確実です。報道ベースでは、両候補の元に集まった選挙資金の金額、およびテレビCMの本数も空前のレベルとなっており、資金力にモノを言わせてネガティブキャンペーンが繰り返されています。コロナ危機下の大統領選挙は異様な雰囲気に包まれてきました。

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金曜日の東京株式市場は、午前中はそれでもしっかりしていましたが、警戒感からか週末の午後から値を崩し始め、日経平均は▲354円と10月相場では最も大きなマイナス幅を記録しました。

奇しくも9月相場の最終日となった9月30日(水)も▲354円の同幅の下落となっています。その翌日が10月1日(木)で東証は全面的なシステムダウンに見舞われました。10月相場は月間を通して一進一退であまりめぼしい変化はありませんでした。

現職のトランプ大統領が勝利を収めた場合、米国および世界の分断はさらに一段と進むと見られています。中国はかえってその方がやりやすいとか。逆にバイデン候補が勝利を収めた時は、経済界も投資家もまったく新しい枠組みに対処しなければなりません。

バイデン候補が就任してもそれで世の中が大きく変わるとは誰も思っていないはずですが、外交や環境政策だけをとってもトランプ政権で大きく変更された点を元に戻すだけでたいへんな作業が待っています。

どちらが勝利を収めてもその後の展開を予想するのは容易なことではありません。10月相場があっという間に終わりましたが、特に月の後半は株式市場は警戒心が先に立って軟調な動きに終始していました。

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コロナウイルスの感染拡大も気がかりです。フランス全土がロックダウンとなりました。英国もイングランドを中心に都市封鎖の規模が拡大しています。ドイツ、スペイン、イタリアも部分的な都市封鎖に踏み切っています。

これは確実にのちの経済に対して下押し圧力となって現れてくるはずです。10月以降の景気動向が気がかりで、それも月末の株価下落の一因となっている模様です。

欧州で蔓延しているコロナウイルスの菌は感染力が強く、致死率も日本や東アジアで広がっているものとは異なるようです。今のところ春先の経験値が活かされており、まだ医療崩壊の危機には至っておりません。

コロナウイルスへの対処法は、人との接触を避け「3密」を回避する、マスクを着用する、手を洗う、など基本的なことでかなりの部分を防ぐことができます。そのような知見も世界は共有しています。あとはそれをどこまで徹底して実行することができるかどうかです。

とにかく欧州はクリスマス商戦が始まるまでになんとか感染の拡大を抑えようと必死です。11月の最初の3週間は世界経済は沈黙気味に推移することになるでしょう。

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何もかもが不安定で、不透明きわまる状況の中で、ひとつだけ確かなことがあるとすれば、企業サイドからは決算発表が粛々と行われているという事実です。

決算内容のよい企業はいつか必ず評価されます。決算さえよければ減配もないはずで、少なくとも投資家として安心して保有していられます。

卓球では「3球目攻撃」というのがあります。サーブ権を持っている側がサーブを打って(1球目)、それを相手がうまくリターンを返して(2球目)、戻ってきた3球目を強打して得点するという戦法です。

この戦法を決算発表シーズンの株式投資に応用できないものかと考えています。卓球ほどむずかしいものではありません。

企業が決算発表を行って、内容がよければ株価は大きくはね上がります。それをすぐに飛び乗るのではなく、2日間から4日間ほど間を空けて、株価が落ち着いたらそこで買う、という方法です。1週間ほど前に決算発表した銘柄を、あとから丹念に追いかければそれでOKです。

すでに好決算が判明しているので、ひょっとしたら機関投資家がこの後に組み入れ銘柄に選定して買ってくるかもしれません。マーケット全体が崩れているような時にはさらに安いところを仕込めますので安心です。

その段で行くと、現在の「3球目攻撃」の対象として候補に上がるのは、

京阪神ビル(8818)大阪地盤、データセンターやウインズビルを賃貸
キャノンマーケティングジャパン(8060)キヤノン製品の国内販売が中心
野村マイクロ・サイエンス(6254)超純水製造装置の設計・施工・販売・メンテナンス
CIJ(シー・アイ・ジェイ、4826)ミドルウェアを源流にITサービスを提供
松屋アールアンドディ(7317)血圧計腕帯、エアバッグの縫製品を製造
ピー・シー・エー(9629)中小企業へ基幹業務系のアプリケーションを提供
長大(9624)国土基盤整備などの建設コンサルタント

です。いずれも決算あるいは決算修正を公表済みで、少なくとも業績面においては不安はありません。

主力企業では、やはり日本電産(6594)と日東電工(6988)、シマノ(7309)です。

今週から来週にかけて、不測の事態で株価が急落するようなことがあれば、これらの銘柄の下値を拾ってゆくのが得策かと思います。

ウォール街の相場格言には、「株価はハロウィンから感謝祭にかけて買え」とあります。そして「5月に売れ」と続きます。ハロウィンは過ぎました。ここからは1年を通じて最も買いのチャンスが訪れやすい時期でもあります。

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先週の東京市場は、TOPIXが反落しました。10月相場は最後まで1週おきにプラスとマイナスを繰り返す不安定な状況が続きました。

小型成長株は引き続き調整局面にあります。東証マザーズ指数は▲6%を超える大幅な下落が続いています。これで2週間で▲10%強の下落となりました。先週はさらに大型株指数も反落しました。

セクター別の騰落では、TOPIX-17業種のうち、すべての業種が値下がりしました。

値下がり率のトップは「鉄鋼・非鉄」です。それに続いて「金融(除く銀行)」、「不動産」が登場しており、その前の週に値上がり率の大きかったセクターが軒並み下落率上位に回りました。

「商社・卸売」や「機械」、「素材・化学」も下落率の上位に入っており、景気敏感セクターが目立って軟調な週となりました。コロナウイルスの拡大と景気動向は確実に背反する動きとなっています。

反対に、値下がり率の小さなセクターとしては「電機・精密」が健闘しました。3月期決算企業の第2四半期の決算発表が本格的に始まっており、先週はソニー(6758)、ファナック(6954)、イビデン(4062)の好調さが目立ちました。

それとともに「小売」、「食品」、「情報通信・サービス」など内需系セクターに堅調さが目立ちました。

ただ決算が好調な企業ばかりではなく、決算発表を機に大きく値を崩す銘柄も同じくらい見られます。決算直後の株価の動きがその後の展開を大きく決めるところがあるので、ここからの動きには注意が必要です。

やはり株式投資の基本は企業業績です。決算の良好な銘柄を丹念に追いかけることが必要だとコロナ禍の相場においてあらためて痛感します。

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中間期の決算発表に合わせて、通期の業績見通しを上方修正する企業が目立っています。企業業績が思いのほか好調なのは、

(後略)

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鈴木一之