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2021年3月1日

金利上昇を受けて株価は急落、日経平均は29,000円割れ

鈴木一之

◎日経平均(26日大引):28,966.01(▲1,202.26、▲3.99%)
◎NYダウ(26日終値):30,932.37(▲469.64、1.49%)

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鈴木一之です。先週末、2月26日(金)に株式市場は大きく下落しました。日経平均は▲1202円もの大幅安となり29,000円の大台を割り込んで引けました。1日の下げ幅としては4年8か月ぶりの大きさです。

金曜日のNY株式市場も▲469ドルと大きく下落しており、軟調な動きは週をまたいで継続しそうなムードとなってます。

先月もそうでしたが、最近は月末になると株価は大きく下押しします。1月末の場合は「ロビンフッド・ショック」でまだ記憶に新しいところですが、それに続いて2月末も最終週はかなりの波乱含みの展開となりました。

コロナウイルスの感染拡大が徐々に下火になっています。米国はトランプ政権の終盤、1月上旬ごろが最悪の時期で1日の感染者数は+25万人にも達していました。それが足元では7000人前後でピークから3分の1になっています。レストランやバーの営業時間の規制が全米規模で緩和されつつあります。

イギリスやドイツでも都市封鎖や行動規制を解除しようとしています。欧米ではワクチン接種が国を挙げて猛烈なスピードで進められており、遅ればせながら日本でも医療従事者からワクチン接種が始まりました。

空前の規模の金融緩和は続いており、そこに加えて大規模な景気刺激策も整いつつあります。バイデン政権は1兆9000億ドルもの巨額のコロナ対策の成立を目指しています。エコノミストたちはそれが景気の過熱をもたらしインフレを招くと警告を発しており、債券市場では長期金利が押し上げられています。

指標である米国の10年物国債金利は、先週末に1.6%台まで上昇しました。これは2020年2月以来の水準であり、コロナ危機以前のレベルに戻ったこととなります。

まったく動かないと見られていた日本でも金利上昇が始まっています。先週は10年国債金利が0.175%まで上昇しました。これは2016年1月に日銀がマイナス金利政策をスタートさせた時点の水準です。

日本の金利は動かないと誰もが思い込んでいたために、ここまでの金利上昇が起こったことは市場関係者からすればかなりのサプライズとなりました。

これまで「いいとこどり」と評価され続けてきたマーケットは、株式市場を中心に警戒感が広がりました。テクノロジー企業に対して国際課税を強化する動きも各国間で広がっており、米国ではテクノロジー株を中心に下げが強まっています。

需給ひっ迫の続く半導体関連株も、株価が高止まりしていた分だけ、売りのターゲットとなりやすい状態です。

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東京株式市場でも変化は生じています。日銀のETF買い入れが2月に入ってぱったりと止まった点です。

日経平均が3万円に乗せたということも影響している可能性があります。日銀は3月18日から19日に開催される金融政策決定会合において、金融政策の運営の「点検」を行う、その結果を公表するとかねてアナウンスしています。

その「点検」によって現在行っている長短金利の操作「イールドカーブ・コントロール」やETF購入の金融調節手法を見直すと市場では予想されています。

日銀が最後にETFを購入したのは1月28日で、それ以降は一切、市場からは購入してしていません。これまでの例であれば、午前中に株式市場が▲0.5%下落した時は、ほぼ例外なく午後に入ってETFを購入してきました。

2月になって▲0.5%下落した日は2月18日(木)、19日(金)、24日(水)の3回ありますが、そのいずれの日も日銀はETFを購入しませんでした。以前であればこのようなことはまったくなかったので、明らかに日銀のスタンスは変わっています。

先週末の2月26日(金)、日経平均が▲1202円も下落した日にようやく日銀は501億円のETF買い入れを行いました。2月に入って初めてのことです。現在起きている世界的な株安の本当の原因は、突き詰めれば日銀のこのような政策スタンスの変化が根本にあるのかもしれません。

明日から3月。中国の全人代が開催され、米国と中国の対立はどのような形になってゆくのか、いよいよ全貌が明らかになってくるはずです。コロナ感染症と経済、国際政治の動きから目が離せなくなってきました。

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日経平均が5年ぶりの下げ幅のような形で大きく下落するとマーケットメディアは俄然、色めき立ち大騒ぎするものです。しかし個々の銘柄は株価のピークとしては、日経平均に先立って、先に先に形成しているものです。

今回のケースで言えば、1月14日(木)にまずオムロン(6644)、明電舎(6508)、シンフォニアテクノロジー(6507)、日新電機(6641)などが天井を形成しました。いずれも中核的、中規模の名バイプレーヤーです。レーザーテック(6920)もこの部類に入ります。

次に1月25日(月)に村田製作所(6981)、TDK(6762)、ルネサスエレクトロニクス(6723)、富士通(6702)がピークを形成しました。

さらに2月5日(金)にソニー(6758)が天井をつけて、そして日経平均が3万円に乗せた翌日の2月16日(火)に東京エレクトロン(8035)、日本電産(6594)、パナソニック(6752)が天井となりました。その後に日経平均が大きく崩れます。

要するに先に舞台を降りるのはいつも脇役からです。主役は最後まで舞台の上にのぼり続けています。脇役を見ずに主役ばかり見ているとどうしても遅れてしまいます。

「逆もまた真なり」で、舞台には脇役が先に挙がります。主役は最後に登場します。先にピークをつけた脇役たちがいつ底入れするのか、それが次なる相場反転の決め手です。アズビル(6845)、東京応化工業(4186)、イビデン(4062)がどこで下げ止まり、どのタイミングで反発するのか。それがカギを握っているように思います。

結局のところ今年は、脇役クラスの動きを見る限りでは「節分天井」が当てはまっています。そうなると次は「彼岸底」となります。3月第2週から第3週にかけて。株式市場の調整はここから2週間から3週間、というところを現時点におけるメドとして考慮しておきたいところです。

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株式市場の動きです。2月第4週の東京株式市場はTOPIXが続落しました。下落幅は▲3.34%で、前の週の▲0.25%から大幅に悪化しました。世界的な金利上昇を警戒した資金が株価から逃げつつあります。

物色の方向性は、小型株と大型株が同時に売られました。日経平均よりも日経500種平均の方が下げが大きくなっており、グロース株の下げがそれだけ厳しかったことが見て取れます。

実際にTOPIXグロースの下げは▲5.16%に達しており、それと比べてTOPIXバリューの下げは▲1.48%にとどまっています。REITも下落しましたが、下げは小さいものにとどまりました。

TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりしたセクターが5業種にとどまり、値下がりセクターが12業種に広がりました。

広範囲な下落が見られましたが、中でも大きく下落したのが「電機・精密」です。1週間の下げ幅は▲6.26%にも達しました。今年最大の下落です。

これまで堅調だった半導体関連株や電子部品株に大きく下落する銘柄が目立っています。昨年秋以降の物色の中心にずっと位置しており、人気の集まるセクターだけに下げのインパクトは数字で示される以上に大きいと感じられます。

下落セクターにはこのほかにも、「素材・化学」や「機械」など半導体の製造工程に欠かせない部材メーカーや設備投資関連株が連動しています。ひとつの上昇サイクルが大きな転機を迎えていると感じさせる動きとなりました。

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値上がり業種のチャート(日足、直近3か月)

「電機・精密」
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=279&mode=D

「医薬品」
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=275&mode=D

「素材・化学」
https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/hist_index&basequote=274&mode=D

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反対に値上がりセクターの上位には、「エネルギー資源」がトップとなりました。その前の週も値上がり上位に位置しており、素材市況、エネルギー価格の上昇の恩恵が株価にも表れています。

値上がり第2位が「運輸・物流」です。こちらも同様に下落していた日本航空(9201)、JR東日本(9020)、JR西日本(9021)など

(中略)

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