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2025年6月10日
6月相場スタート、米中閣僚協議をにらんで神経質な動きに終始

鈴木一之です。6月相場が始まりました。
6月3日に長嶋茂雄氏が亡くなりました。ひとつの時代が終わり、大きな変化の時を向かえていることを痛切に感じます。
同時に豊田本家の豊田自動織機(6201)が株式市場から姿を消すことになりました。令和のコメ騒動を機に小泉進次郎氏の下で農政改革も始まろうとしています。
株式市場は引き続きトランプ関税と日米通商交渉の行方に神経をとがらせています。それと並行して(それとは別に)、日本では産業界を中心に巨大な社会全体の変革が始まりつつあるように見えます。
マーケットも次の展開を待っているのでしょうか。息をひそめて小さな動きに終始しました。
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先週の日経平均の値動きです。
・6月2日(月):37,470円(▲495円)
・6月3日(火):37,446円(▲24円)
・6月4日(水):37,747円(+301円)
・6月5日(木):37,554円(▲193円)
・6月6日(金):37,590円(+187円)
日経平均は週ベースでは前週末比▲224円の小幅反落。それでも週足では陽線。上下の値幅が非常に小さなはらみ足となりました。
4月初旬以降、一貫して戻り歩調をたどってきましたが、ここ3週間ほどは週単位で▲△▲と一進一退です。TOPIXも同様ですが、こちらは週足では陰線となっています。
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先週はウクライナによる大規模なロシア軍基地へのドローン攻撃で幕を開けました。
シベリアまで攻撃の手を伸ばしたのは初めてと見られ、40機を超える長距離爆撃機を破壊した模様です。
ロシア側の被害総額は1兆円を超えるとされ、ロシアが有する爆撃機の3割強を破壊したそうです。プーチン大統領は報復を宣言し、実際にウクライナへの大規模なミサイル、ドローン攻撃を行いました。ロシアとウクライナの和平交渉の行方が危ぶまれます。
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和平交渉のもう一方の当事者であるトランプ大統領は、イーロン・マスク氏と決別し、鉄鋼とアルミに25%の追加関税を発動し、中国の習近平国家主席と電話協議を行いました。
中国が今も実施しているレアアースの輸出規制を巡って、2度目の米中間での閣僚協議が開催される運びのようです。トランプ大統領が直接、習近平国家主席に電話で協議を行い、週明けの6月9日、ロンドンで2回目の米中閣僚協議が開催されることとなりました。
レアアースはEVやハイブリッド車のモーターの製造に用いられ、中国が世界の産出量の7割を握っています。米国の関税発動の報復措置として4月から中国は輸出規制をかけています。世界中の自働車メーカーの間で徐々に生産停止の動きが広がっています。
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不穏な動きに囲まれながらも、それでも先週末の株式市場は堅調でした。米5月・雇用統計の内容が市場予想を上回る堅調な結果だったこともあり、週末にはS&P500が6000ポイントの大台を回復しています。今年2月以来のことです。
S&P500を構成する幅広い銘柄が上昇していますが、中でも目立っているのがマイクロソフト、メタ、エヌビディアの「マグニフィセント7」の一角です。苦しいと言われるアルファベット、アマゾンも直近では値を戻しています。
世界経済の最悪期は脱したとの見方が強まり、MSCIの世界株指数も2月半ばの史上最高値更新まであとわずかという水準に迫っています。週明けの米中閣僚協議の行方次第では今週はさらに一段高という期待も高まります。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが反落しました。下落率は▲1.15%でその前の週の上昇率(+2.41%)と比べると小さめの下げです。
規模別指数では、大型株指数が▲1.56%と下げたのに対して、小型株指数は+0.20%とわずかながらプラスを維持しています。中型株指数は▲0.49%と小幅安でした。東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は+0.05%とわずかながら続伸しています。
スタイル別では、大型バリュー株が▲1.70%の下げに対して、大型グロース株は▲0.72%と小さな下げ幅にとどまっています。小型バリュー株は+0.17%、小型グロース株は+0.24%で、いずれもプラスを保っています。
東証プライム市場の騰落レシオ(週末値)は、前週の126.35%から109.27%に低下しています。日経平均のサイコロジカルラインは「5」~「6」を繰り返しています。
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TOPIX-17業種の騰落では、値上がりセクターが5業種、値下がりセクターは12業種となりました。
値上がり業種のトップは久しぶりに「エネルギー資源」が登場しました。ただし個別銘柄で目立った動きは少なく、わずかにINPEX(1605)、ENEOSホールディングス(5020)が堅調に推移していました。
値上がりセクターの第2位は「小売」でした。良品計画(7453)の上昇を牽引役として、F&L(3563)、丸井グループ(8252)、エディオン(2730)、AOKIホールディングス(8214)など、業績の好調な銘柄に上昇が続きました。
また「令和のコメ騒動」をきっかけに、イオン(8267)、ライフコーポレーション(8194)、ベルク(9974)、平和堂(8276)など全国の食品スーパーの堅調さが目立ちました。インバウンド消費に陰りの出てきた百貨店はさえない展開です。
値上がりセクターの第3位は「機械」です。引き続き三菱重工(7011)、IHI(7013)、日本製鋼(5631)の防衛関連株が大商いのうちに高値を追いかけています。
TOBの決まった牧野フライス製作所(6135)からの連想でオークマ(6103)、減反政策の転換期待から井関農機(6310)、半導体市況の回復で日本トムソン(6480)、中計への期待から三菱化工機(6331)など、個々の銘柄が活発に動き出しています。
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反対に値下がりセクターの第1位は「自動車・輸送機」でした。豊田自動織機(6201)がTOB価格にサヤ寄せして急落した影響が見られます。
川崎重工(7012)、新明和工業(7224)、極東開発(7226)は堅調でしたが、
(後略)
