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2025年11月11日
決算発表が佳境を迎え、日経平均は50,000円をはさんで上げ一服
米国の政府機関の閉鎖は、11月4日(火)の段階で過去最長に並びました。これまでの最長は「トランプ1.0」の時の2018年12月から翌2019年1月までです。
今回ここまで議会との折衝がこじれているのは、年末に期限を迎える低所得者向けの医療保険の補助延長が民主党との間でもつれているためです。つなぎ予算すら通らずに政府機関再開のめどはいまだに立っていません。
雇用統計を含めて経済統計の発表はほとんどなく、しかも細々と出ている民間ベースのマクロ経済指標はいずれもかなりの確度で米国景気の下振れを示しています。
タイミングとしては偶然でしょうが、11月4日に投開票が行われたNY市長選挙では、民主党のゾーラン・マムダニ氏(34歳)が当選しました。物価高騰に苦しめられている低所得者層向けに、賃貸住宅の値上げ制限、市営バスの無料化、高所得者層への増税を公約に掲げています。
マムダニ氏は若年や労働者層からは熱烈に支持されていますが、ウォール街をはじめとする金融業界や実業界、富裕層からは警戒されています。トランプ大統領はマムダニ氏を強烈に批判しており、今後のNY市の政策次第では政府資金の拠出を停止すると述べています。
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11月相場では米国の株式市場も揺さぶりを受けています。ナスダックは10月29日の高値水準から終値ベースで▲4%近く下落しています。
先週はパランティアの株価下落が話題となりました。好決算を発表したにもかかわらず株価が大幅安となり、テック株に対してバリュエーションの高さがあらためて警戒されるようになりました。
チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの発表したデータでは、10月の人員削減数が15万3074人に達し、前年比2.8倍に増加したことが判明しました。10月としては2003年以来の高水準です。業績好調のテック業界に人員削減の動きが広がっていることがひときわ注目されています。
テック業界ではもうひとつ、起債の増加が警戒されています。9月にオラクルが180億ドル、10月にメタが300億ドルの社債発行を行ったことに続いて、アルファベットが250億ドルの発行を発表しました。いずれも超長期の資金を確保してAI向けのデータセンターに投資する計画です。
これまでデータセンター向けの設備投資の強さをプラスに評価することで株価が上昇してきました。それが国債も含めて債券利回りは金利上昇(価格の下落)となっており、以前とまったく同じ理由をマイナスの向きに評価する状況に変わりつつあります。
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日本では高市政権が臨時国会で初の代表質問の答弁に立っています。先々週の華々しい外交デビューから一転して、国内では少数与党としてどこまで公約を実現していくのか問われています。
その上で今月末までに補正予算を通じて経済対策を打ち出すことになります。経済安全保障推進会議ではサプライチェーンやデータの保護強化、基幹インフラ、シンクタンクの創設、を打ち出しています。
東京で開催されている「日経フォーラム・世界経営者会議」では、ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長が「日本への投資意欲が世界中で高まっている」と述べました。
日本企業が主力事業に資本を集中投下して収益を高めつつあること、トランプ米大統領と堂々と渡り合った高市首相のポジティブなエネルギー、日本のロボティクスや大規模言語モデルの技術、などを評価しています。
海外投資家は10月の1か月間で日本株を3.4兆円買い越しました。これまでの最高記録だったアベノミクス時代の2013年4月(2.6兆円)を大幅に上回っています。日本経済がデフレからインフレに転じたこと、株主重視の経営への転換、稼ぐ力の強化、を評価していると見られます。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反落しました。週間の下落率は▲0.99%で、前の週の+1.91%の上昇と比べれば小幅にとどまっています。NT倍率(日経平均とTOPIXの比率)は急速に低下しています。
東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は軟調で▲1.93%(前週も▲1.93%)となりました。
規模別指数では、大型株指数が▲1.33%と下げが目立っています。中型株指数は▲0.20%、小型株指数も▲0.38%の下げにとどまりました。
スタイル別では、バリュー株が▲0.43%、グロース株が▲1.53%となりどちらも軟調ですが、テック株の下落に引っ張られてグロース株の下げが顕著でした。
東証プライム市場の騰落レシオは、100%割れが5日間続いた後に、週末は111.90%に戻しています。日経平均のサイコロジカルラインは「6」まで低下しました。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、引き続き上昇が9業種、下落が8業種となりました。
値上がりセクターの上位は「商社・卸売」、「電力・ガス」、「不動産」でした。
上昇率トップの「商社・卸売」は、伊藤忠(8001)、丸紅(8002)、三井物産(8031)、住友商事(8053)の総合商社の上昇が目立ちました。
バークシャー・ハザウェイが円建て社債の発行を計画していると報じられ、それが総合商社の株式を刺激する材料となりました。
円建てでの社債発行はこれで11回目です。金額は未定ですがこれまでバークシャーは円で資金を調達しては日本の商社株に投資を行っていたと見られており、今回もその連想が働いています。
総合商社ばかりでなく、トーメンデバイス(2737)、マクニカHD(3132)、三信電気(8150)などのエレクトロニクス商社も堅調でした。出遅れている中・小型の好業績銘柄に買いが向かっています。
値上がりセクターの第2位は「電力・ガス」でした。東京電力HD(9501)、中部電力(9502)、中国電力(9504)など電力株の一角が堅調です。それとともに好決算を発表した大阪ガス(9532)、東京ガス(9531)も上昇をリードしています。
値上がりセクターの第3位は「不動産」です。前週に下落した反動で上昇しているところもありますが、三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、東急不動産HD(3289)など大手不動産株が堅調でした。
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反対に値下がりセクターの上位は「電機・精密」、「情報通信・サービス」、「鉄鋼・非鉄」となりました。銘柄ごとにかなり差がありますが、物色の中心は引き続きこちらのセクターです。
「電機・精密」では半導体のキオクシアHD(285A)、
(後略)

