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2020年8月17日

お盆休みの真っただ中、日経平均は23,000円を突破

鈴木一之

◎日経平均(14日大引):23,289.36(+39.75、+0.17%)
◎NYダウ(14日終値):27,931.02(+34.30、+0.12%)

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鈴木一之です。本日はお盆休みの最終日。京都では大文字焼きが規模を縮小して行われます。

暑さに私もヒーフー言ってはおりますが、心なしか風向きによっては秋を感じる瞬間もあります。少しずつ空が高くなっているような気もします。

なにもかもがいつもと違う夏休み、お盆休みでしたが、ここからは台風に気をつけなければなりません。もちろんコロナウイルスにも注意すべきで、うがいと手洗い、暑いですがマスクを忘れずに。

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今週のマーケットは相場のムードががらりと変わりました。前週の木曜日に発表されたトヨタ自動車(7203)の決算後の値動きがひとつのきっかけになったようなところもありますが、幅広いセクターで買い物が途切れることなく継続しました。

日経平均はあっという間に23,000円の大台を回復しました。今年2月以来の水準です。株価のレベルだけで言えば、コロナ危機による経済的なショックはまもなく克服するというレベルに達しています。

引き続き米国の株式市場は活況を呈しています。NASDAQは快走を続け、S&P500も史上最高値につっかける展開となりました。週半ばには香港の複数の著名活動家が、次々と香港警察によって逮捕されるという緊迫した状況もありましたが(すぐに保釈されました)、マーケットの上昇にはほとんど影響はありませんでした。

ワクチン開発への期待ががぜん高まっており、米国、英国、ドイツ、中国がそれぞれ世界最初のワクチン開発の座を巡って熾烈な競争を続けています。各国政府も完成したワクチンをいかに短時間で自国に持ってくるかで、水面下での政治的な駆け引きを活発化させている模様です。

ワクチンが開発されれば、経済活動の再開にゴーサインが出せます。航空会社をはじめ、コロナ危機による移動制限で痛手をこうむる企業は、首を長くして待ち望んでいます。景気回復を先取りする形で、先週は再び米国の長期金利がボトム打ちから急上昇しており、そこから景気動向に連動する銘柄、および徹底的に売られたバリュー株に対する買いの動きが強まりました。

日経平均をはじめ各国の株価指数は、そのような徹底的に売られた値の低い銘柄、いわば「負け組」的な銘柄の動きに敏感です。株価指数そのものが動きやすい状況が生じています。

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そして実体経済の中でも、株式市場の上昇、金利の上昇を後押しするニュースがそろいつつあります。

前の週は米国の7月分の経済統計(ISM・製造業景況感指数、雇用統計など)が予想以上に好調だったことが大きく報じられました。

それに続いて先週は中国の経済統計が集中して発表され、それらがいずれもしっかりした内容と判明しました。中でも注目されたのが中国の7月の工業生産です。+4.8%の増加となり、6月の+4.8%と同レベルを維持しました。これで4か月連続でのプラスです。自動車とスマホの生産が伸びています。

また固定資産投資は、1月から7月までの累計で▲1.6%の減少でしたが、減少幅は1~-6月累計の▲3.1%より減っています。中国がリードする形で経済の底入れ感が徐々に確認できるようになりつつあります。

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このお盆休みの間にも注目すべきニュースは新聞紙面の上にはけっこう見つかりました。その中でも日本経済新聞の8月14日付け、マーケット商品市況面に掲載された、熱延鋼板が値上がりしている記事は、景気循環的にはきわめて重要な内容だと思いました。

「熱延コイル価格、アジアで上昇、3カ月で1割強」
(2020年8月14日、抜粋)

熱延コイルのアジア価格が上昇している。現在は1トン当たり490ドル前後で、前年比では▲12%ほど安いが、コロナ危機の5月前半の直近安値、435ドルとの比較では+13%ほど高い。

熱延コイルは自動車や家電など幅広い用途に使われる。価格が反転している理由は、(1)中国での需要の拡大、(2)アジアの鋼材メーカーの減産、である。

中国の自動車生産は6月に232.5万台と前年比+23%増加した。自動車生産に関連する鋼材の需要が上向いている。インフラ投資も活発で、建材向けの鋼板需要が好調。

この結果、中国国内で鋼材在庫が急速に減少した。大手鉄鋼メーカーの在庫量は2月中旬に過去最高の2134万トンまで膨れあがったが、これが8月上旬の時点で1399万トンへと▲34%減少した(中国鋼鉄工業協会)。熱延コイルの在庫も3月中旬から▲4割減っている。

中国では粗鋼生産が拡大し、鋼材輸入量も7月に前年比で3倍に拡大したが、それでも需給は引き締まっている。

米中貿易摩擦による自動車生産の減速を背景に、2018年秋から下落していた。(日本の景気の山は2018年10月)。今年春以降は、新型コロナウイルスの影響で相場の下落に拍車がかかったが、ここにきて回復が鮮明になっている。

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このような状況では、わずかな需要の増加で価格はさらに上昇しやすくなります。原料の鉄鉱石の価格が高止まりしているため、鋼材メーカーは十分な利益を確保できない状況ですが、秋口にはさらに一段高(日本の高炉メーカーは10月積みで500ドル台を提示する動き)との方向に向かいつつあるようです。

ここから秋にかけて鉄鋼、および自動車メーカー、あるいは機械メーカーの動きを注意して見ておいた方がよさそうです。

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日本では3月決算企業の企業業績の発表がほぼ終了しました。第1四半期で経常赤字に転落する企業も多く、非常に厳しい状況ではありますが、しかし3か月前の決算発表のころよりは企業サイドにも落ち着きが見られました。

それは緊急事態宣言の発令が大きく作用していると見られます。前回の決算発表は4月末から5月半ばで、

(後略)

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鈴木一之