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2020年3月10日

コロナ・ショックが継続、日経平均は21,000円の大台割れ

鈴木一之

◎日経平均(6日大引):20,749.75(▲579.37、▲2.72%)

◎NYダウ(6日終値):25,864.78(▲256.50、▲0.98%)

 

 

鈴木一之です。新型コロナウイルスに関して、世界中が感染の拡大防止に必死となっています。もはや中国の武漢が震源地、などと言っている場合ではなくなりました。

 

本日(3月8日)の時点で、感染者が確認されたのは93か国・地域に広がり、感染者数は累計で10万5000人を超えています。死者は3500人を上回りました。

 

韓国、イタリアで感染が拡大しており、ついにイタリア政府は8日よりロンバルディア州などイタリア北部の封鎖に踏み切ります。ロンバルディアは北部最大の経済都市・ミラノがあり、人口は1600万人を数えます。武漢は1100万人でした。それを封鎖するのですから事態は重大です。

 

米国でも感染者数が増大しており、NY州は非常事態宣言を出しました。大統領選挙の予備選、党員集会はこれまでどおり全米各地で開催できるのか、心配になってしまいます。

 

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日本でも感染者数の拡大が止まりません。7日の時点で34都道府県、合計436人の感染者が確認されています。6日から感染の有無の検査が保険適用になったばかりで、体制が整っていないことを加味するとこれからさらに増えてゆくと見られます。

 

感染の拡大阻止は経済の停滞に直結します。外出を自粛する動きが広がり、繁華街から人影が消えました。それによって先週も世界中で株式市場の下落が続きました。

 

NY株式市場は週末も▲256ドルを記録し、週明けもまだしばらく軟調な動きが予想されます。東京市場でも日経平均は昨年8月以来の21,000円割れとなりました。

 

週間での株価下落幅や経済データの急激な落ち込みなど、現在はリーマン・ショック並みの状況に陥っており、先進国の中央銀行は強調してアクションを起こしています。

 

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先週はFRBが緊急理事会を開き、0.5%の緊急利下げを決定しました。日銀も週初から黒田総裁が異例とされる緊急談話を発表し、ETFの買い入れ増額などを実施しました。それでも事が事だけに、今回の金融緩和策が事態の好転をもたらすと見ている投資家は少ないようです。

 

資金は一段と安全資産に流れ込んでおり、米国長期の買いが殺到しています。米10年国債金利は史上初めて1%の大台を割り込みました。先週末の6日には一時、0.66%まで低下し、最終的には0.76%で終わりました。2週間でほぼ半分の金利水準に低下したことになり、これほどの金利低下の勢いは2011年8月以来のことです。

 

米国のVIX指数は54ポイントまで上昇しました。誰もが先行きの見えない不安にかられています。

 

次なるリスクは原油価格の動向です。世界景気の鈍化を受けて原油市況は急低下しています。WTI先物は先週末に41ドル台まで下落しました。

 

市場では原油市況の下支えのために、OPECにロシアを加えた「OPECプラス」の協議で協調減産が実施されるとの見通しが多数でしたが、この週末に行われた交渉はどうやら決裂した模様です。週明けの原油市況はさらに一段安がとなる可能性があります。

 

原油市況が40ドルを割り込むと、最近ではそれが信用リスクに直結することになります。原油市況の下落は、MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の発行した低格付け債のリスクに直結します。

 

MLPはシェールガス、オイルをはじめとする天然資源の探査・採掘・精製などを行う共同投資事業体です。ハイイールド債の多くがMLPに集中しており、市場はここから「金融緩和下での金利上昇」を警戒することになりそうです。

 

目下のところイールドスプレッドは急速に拡大していますが、これは低格付け債の金利が上昇しているというよりも、長期国債の金利低下のスピードが勝っているためです。ある意味ではFRBが足元の信用リスクを抑え込んでいるという状況であり、綱渡りであることには変わりはありません。

 

レバノンが政府債務のデフォルトを明らかにしました。これがアルゼンチンをはじめとする財務基盤の脆弱な国の信用リスクにつながるのか、ここからの動きに気をつけなくてはなりません。

 

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経済に関しては、今のところ米国は好調を維持しています。6日に発表された米国の2月の雇用統計は、非農業雇用者数が前月比+27万3000人、失業率は3.5%(前月比▲0.1ポイント)となりました。失業率は50年ぶりの低水準を維持しています。

 

ただしこの調査は毎月の中旬に週消されており、新型コロナウイルスによるサプライチェーンへの影響が反映されていないとされています。

 

ISMの発表した非製造業・景況感指数は57.3で、前月比+1.8ポイントと好調でした。1年ぶりの高い水準です。一方で製造業・景況感指数は50.1(前月比▲0.8ポイント)でした。分岐点の「50」は上回っていますがきわどいところです。

 

世界的な経済の委縮と株価の下落はまだ着地点が見えません。新型ウイルスの終息を待つしかないという状況です。日本政府は小中高の臨時休校と各種イベントの中止・延期要請を「1~2週間が正念場」といったん限定しましたが、その最初のリミットが3月11日(水)に訪れます。

 

終息どころか拡大の一途をたどっている段階です。社会活動、経済活動の自粛期間はさらに伸びることになりそうです。手がかり材料がつかめず、先が見えない状況にあって、株価は考えられる下値を模索している段階です。

 

昔気質の証券マンだったら「コツンときたら買う」ときっと言うことでしょう。その「コツン」という音が聞こえるのをマーケット全体が耳を澄まして待ち続けている状況にあります。

 

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先週の東京市場は、TOPIXが4週連続での下落となりました。1週間の下落率は

 

(後略)

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鈴木一之