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2023年11月6日

トヨタの好決算と米FOMC、雇用統計待ちで日経平均は急反発

鈴木一之

鈴木一之です。11月となりました。木枯らしの吹く酉の市の季節です。冬の入り口にもかかわらず、暑い日が続いています。

11月3日(金祝)は全国的に気温が上がり、日本中で25度を超える「夏日」が観測されました。11月の観測史上の最高気温が続出しています。2023年という年は春夏秋冬、異常気象が途切れることがありません。

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イスラエルによるガザ地区への地上戦開始から1週間が経過しました。事態は収束の糸口がまるで見えない状況ですが、それでも世界経済は休むことなく回っています。

先週のマーケットの注目点は2つに絞られます。米国の金融政策と日本企業の業績動向です。

後者から述べると、日本は3月決算企業の中間決算発表が続いており、企業ごとに明暗がはっきりと分かれました。

前週に発表を終えてその動向が気がかりだった信越化学工業(4063)とキーエンス(6861)は、厳しい事業環境でもまずまずの収益を挙げたことが好感されて、株価は週を通じて堅調でした。

このあたりから、軟調だったグロース株に対する見直し機運が醸成されつつあるように感じられます。

先週は11月1日(水)、トヨタ自動車(7203)が決算を発表し、営業利益と純利益は過去最高を更新しました。

2023年4-9月期の売上高は21.9兆円(前年比+24%)、純利益は2.5兆円(同2.2倍)となりました。半導体の調達不足が解消して生産が本格化していること、為替の円安が売上げ・利益を押し上げていることが要因です。

これによってトヨタは2024年3月通期の業績見通しの増額しています。通期の売上高は43兆円(+16%)、営業利益は4.5兆円(+65%)、純利益は3.9兆円(+61%)まで引き上げられました。営業利益は日本企業初の4兆円台に乗せ、純利益は歴代最高のソフトバンクG(9984)の4.9兆円(2021年3月期)に迫ります。

「トヨタ」と「レクサス」の通年の生産台数見通しは期初予想の1010万台に据え置いているため、今後の生産回復の状況次第ではさらに上乗せも期待されます。

何よりも心強い点は、生産の回復と円安効果で利益率が急回復している点です。売上高に対する純利益率は12%台に接近し、この規模の製造業の中では群を抜いています。販売価格の引き上げで原材料の上昇を吸収しており、それが今回の上方修正をより力強いものにしています。

利益の積み上げが復調しており、ここから競争が激化すると見られるEV開発に向けて投資が一段と加速して行くと見られます。トヨタは2030年までに5兆円のEV関連投資を計画しています。

並行してトヨタが得意とするハイブリッドカー、燃料電池車にも力を入れ、トヨタの志向する「全方位戦略」がより鮮明になろうとしています。トヨタ自動車に先行して発表されたトヨタグループ各社の決算内容もおおむね良好でした。

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マーケットが注目したもうひとつの要素が米国の金融政策です。

トヨタの決算発表と同じ日に、米国ではFRBがFOMCを開催し、金融政策の据え置きを決定しました。

昨年3月にゼロ金利を解除して利上げに踏み切って以来、2会合続けて利上げを見送ったのは初めてです。

FFレートは5.25-5.50%にとどめられ、政策金利の引き上げ見送りはほぼ事前の予想通りの内容です。市場の予想と異なるのは、政策の発表直後から10年国債金利が急低下したことです。

国債利回りは10月下旬に16年ぶりとなる5%に乗せた後、FOMC前は4.8-4.9%に高止まりしていました。それが政策の発表直後には4.7%台に低下して、さらに週末にかけて4.5%台へと一段安となっています。

パウエル議長はFOMC後の記者会見で「長期金利の上昇、ドル高と株安による金融市場の引き締め効果は、将来の政策決定に対して重要」と述べています。

長引く長期金利の急上昇によって企業の借入れコストが高まり、住宅ローン金利の上昇によって住宅市場も打撃を受けています。それが徐々に経済の過熱感を抑える方向に作用しており、金融市場は引き締めがなくても引き締めに近い効果が強まっています。

これによって、9月中旬の前回のFOMCから一貫して上昇基調をたどった債券流通利回りが急速に低下しました。同時に米国では、高バリュエーションのグロース株が息を吹き返しつつます。NASDAQ総合指数は週末にかけて6連騰、NYダウ工業株も5連騰を記録しています。

3月のシリコンバレーバンクの経営破綻のあと、半年以上にわたって続いているバリュー株優位の物色の流れに変化が生じるのか。年末相場を大きく左右する可能性が生まれつつあります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反発しました。上昇率は+3.00%とかなり大きくなっています(8月第5週の+3.68%以来の大きさ)。

規模別指数では、下げの厳しかった大型株の反発が目立ちました。大型株(+3.25%)に対して、中型株は+2.82%、小型株は+1.73%といずれも反発しましたが、中でも大型株の上昇が顕著です。姿を消すことになる東証マザーズ指数も5週ぶりに反発しました(+3.40%)。

スタイル別では、軟調だったグロース株が切り返しています。グロース株は+3.90%、その一方でバリュー株は+2.19%となりました。ここでも大型グロース株が優勢です。

騰落レシオは10月25日に74.40%のボトムを記録した後に、先週末は84.12%まで戻しました。日経平均のサイコロジカルラインは週末にかけて「7」を2日間続けています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、17業種すべてが値上がりしました。

値上がりトップは「電力・ガス」、次いで「電機・精密」、「食品」となりました。景気動向に敏感な電機セクターと、ディフェンシブ的な電力、食品がほぼ同時に物色されています。

値上がりも値下がりも、発表された決算内容に反応する面が大きくなっています。値上がりトップとなった電力セクターでは、四国電力(9507)、中国電力(9504)、九州電力(9508)が群を抜いて大きく上昇しました。

四国電力は10月31日(火)に、第2四半期の営業利益が654億円と前年比6.2倍に急拡大したと発表し株価が急騰しました。発電に必要な燃料価格の上昇を前倒しで計上しており、それが今期は剥落したことがプラスに作用しています。

九州電力も同様で、第2四半期の営業利益は2075億円と前年の▲756億円の赤字から急回復を遂げました。前回公表値よりも1000億円以上、上振れしています。

電力会社の収益が大きく好転していることから、値上がり第2位となった「電機・精密」セクターでも電力・電力設備工事に関連する企業が好調です。

三菱電機(6503)、明電舎(6508)、電気興業(6706)、富士電機(6504)、アンリツ(6754)などの株価が堅調でした。同じ電機株でも半導体関連株の多くは決算内容が厳しいことから、株価は明暗がはっきりと分かれました。

「食品」では、日清製粉グループ本社(2002)、山崎製パン(2212)、グリコ(2206)、東洋水産(2875)、キッコーマン(2801)の株価が堅調です。値上げの浸透、海外事業の好調など、各社各様に事業内容を拡大させています。業績相場の様相が一段と強まっています。

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すべてのセクターが週間単位では上昇しましたが、値上がり率の鈍かったところでは、「鉄鋼・非鉄」、「エネルギー資源」、「商社・卸売」が上位となりました。いずれも景気動向に敏感なセクターです。

鉄鋼セクターでは、日本製鉄(5401)、

(後略)

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鈴木一之