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2022年6月27日

中央銀行ウィークから2週目、米国景気の後退懸念が台頭

鈴木一之

◎日経平均(24日大引):26,491.97(+320.72、+1.23%)
◎NYダウ(24日終値):31,500.68(+823.32、+2.68%)

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鈴木一之です。今週も激しい値動きが続いた1週間でした。

6月第2週末に発表された米・5月CPIの+8.6%の衝撃、その翌週のFOMCで0.75%の利上げ、それを受けての先週のマーケットでした。市場の関心はインフレ抑制の利上げから、次第に米国経済のオーバーキルへの懸念へと広がっています。

前週も軟調な動きが続きましたが、それが週をまたいで先週もマーケットを直撃しました。とりわけ週前半の株式市場は、全面安と全面高が一日おきに繰り返される厳しい展開でした。

それでも軟調な地合いではあるものの、どこかで市場全体が底入れしつつある感触が得られてきたのも事実です。先駆した資源エネルギー関連株や防衛軍事関連株が順番に下げに転じ、代わって配当利回り株やディフェンシブ株、そして金利上昇に弱いとされていた小型成長株へと、次第に物色の輪が広がっています。

週末の金曜日にはそれが一段と広がって、幅広い上昇につながっています。どうやら目先は底入れしたのではないかとの感触が持てるような展開でもあります。状況証拠でしかありませんが、グロース株にも資金が戻りつつあることがそれを示しています。

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変化を感じさせる動きでは、先週末のNY株式市場が最たる例となるでしょう。6月24日(金)のNYダウ工業株は+823ドル(+2.7%)の大幅高で週の取引を終えました。政策金利の引き上げに伴って景気後退懸念が台頭し、それまで大幅安が続いた反動の買いが集中したと見られています。

米国の実体経済の弱さを示す経済指標が立て続けに発表されています。

6月の米国・消費者態度指数は確報値が50.0となり、統計開始以来の最低を記録しました。速報値の50.2からわずかに下方修正され、5月の58.4からも大幅に低下しています。急激なインフレに対する米国民の生活防衛意識が反映されているようです。

また米国の6月製造業PMIは52.4(▲4.6)となり、2年ぶりの低水準となりました。サービス業のPMIも51.6(▲1.8)でこちらは5か月ぶりの低水準です。

このような消費者心理の鈍化を示す統計数字が相次いで報じられることによって、消費者の購買意欲はますます慎重なものに傾きます。それが結果として、景気が鈍化するという意識が米国民の間に広く染みわたり、金利引き上げの元凶であるインフレの見通しそのものが後退するようになっています。

これがエコノミストがよく用いる、いわゆる「期待インフレ率の低下」です。

ミシガン大学が明らかにした6月の消費者マインド指数(確報)では、中長期のインフレを示す5~10年先のインフレ期待は3.1%となり、速報値の3.3%から下方修正されました。速報値の段階では14年ぶりの高い水準となっていたため、それがわずかですが早くも下向きの動きに変化しています。

この結果、FRBが利上げペースを加速させるのをやわらげる可能性があるとして、週末の米国株式市場はほぼ全面高となりました。主要銘柄が軒並み大きく反発しています。

米国ばかりでなく、24日(金)の欧州株式市場でも「ストックス欧州600指数」は+2.6%上昇と大幅高を記録しました。3月半ば以来の上昇幅となっています。

目下のところは、金利のこれ以上の上昇とインフレを止めるという点で「経済にとって悪いニュースは、市場にとってよいニュース」と判断されるようになっているようです。

今後は景気の鈍化を示す数値が明らかになるたびに、それはリセッション入りに向かう道標なのか、それともインフレが鎮静化しつつあることを示す証拠なのかを精査しつつ、マーケットは前に進むことになるでしょう。

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インフレを高進させるもうひとつの元凶であるウクライナ情勢ですが、大きな進展はないもののそれだけに緊張が高まっています。ロシア側はウクライナ東部のルガンスク州で、ウクライナ軍が最後まで抵抗していたリシチャンスクを完全に包囲したと伝えました。

これが事実であれば、ロシア軍がルガンスク州の全域を完全に制圧したことになります。。ルガンスク州のガイダイ知事はウクライナ軍に撤退命令が下ったとSNSに投稿しています。

このところ原油価格は軟調な動きをたどっており、金属資源など原油以外のコモディティ市況も下落基調を強めています。事態の好転が見られないまま、ウクライナ情勢に対する市場の反応が次第に鈍ってきたように感じられます。結末はどのように迎えるのでしょう。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが反発しました。前週は「中央銀行ウィーク」と呼ばれ、各国の中央銀行が政策金利を一斉に引き上げたことから、世界の株式市場は軟調な動きとなりました。そこから早くも反発しています。

ただしTOPIXの1週間の上昇率は+1.68%と小さいものにとどまりました。規模別指数では小型株の上昇(+2.03%)が大型株(+1.64%)を上回っています。小型・グロース株の上昇が+3.24%に達し、バリュー株の上昇を大きく上回りました。前の週の展開とまるで反対の動きです。

東証マザーズ指数も反発し+8.14%の大幅高となりました。

テクニカル面では、日経平均のサイコロジカルラインは「5」の状態を3日間続けています。騰落レシオは97.62%と中立からわずかに低めの位置にあります。

東証REIT指数は続落しました。グロース株に流れが傾いたために、高金利商品を求める動きが低下しました。一方で配当フォーカス100指数は反発しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターが13業種、値下がりセクターが4業種となりました。

上昇率の上位には「医薬品」、「食品」などディフェンシブ的なセクターが上昇しています。同様に「情報通信・サービス」や「小売」もしっかりしました。

「医薬品」ではアステラス製薬(4503)が上場来高値を更新し、武田薬品工業(4502)、協和キリン(4151)、大塚HD(4578)、ロート製薬(4527)など幅広い上昇が見られました。

「食品」でもカルビー(2229)が1月に続いて9月に今年2度目の値上げを実施することを発表し、株価が大きく上昇しました。森永製菓(2201)、ヤクルト本社(2267)、キリンHD(2503)、日清食品HD(2897)など、値上げを浸透させやすい、身近な食品会社の株価がそろって上昇しています。

値上がり第2位は「情報通信・サービス」です。ソフトバンクG(9984)の株価に上向きの力が戻ってきており、高値を保っていたNTT(9432)、KDDI(9433)と並んでしっかりした1週間となりました。

またオービック(4684)やIIJ(3774)をはじめ、EコマースのラクーンHD(3031)、食品向けのサイバーリンクス(3683)、シンクロ・フード(3963)などIT系企業の株価がようやく底入れ反転しています。この辺にも物色の流れの変化が感じられます。

「小売」セクターでは、これまで軟調だったドラッグストアから、マツキヨココカラ(3088)、クオールHD(3034)、アインHD(9627)、ツルハHD(3391)ウエルシアHD(3141)、サンドラッグ(9989)などが幅広く物色されました。

まだ梅雨も明けていないうちから、日本列島は異常な高温に包まれています。気温が40度を超える地域が出るほどで、制汗剤や目薬など夏に強いドラッグストアの製品の売れ行き好調が早くも期待されています。

ほかにもゼンショーHD(7550)、吉野家HD(9861)、王将フード(9936)、くら寿司(2695)など外食セクターが幅広く物色されました。「県民割」、インバウンド消費への期待も徐々に広がっています。ファーストリテイリング(9983)も年初来高値を更新しました。

反対に値上がりセクターの上位は「エネルギー資源」、「商社・卸売」、「鉄鋼・非鉄」と素材株やエネルギー関連株が並びました。いずれもインフレに連動して上昇する銘柄群で、3月以降のウクライナ情勢の悪化とともに値上がりしたセクターです。

政策金利の引き上げが功を奏してインフレ心理が鎮静化すれば、マーケットにおけるこれらのセクターの優位性は減じると見られます。景気動向に敏感な銘柄も多く、金融当局が意図的に景気の勢いを押し下げようとする状況ではどうしても分が悪くなります。

「小回り3月、大回り3年」と言います。ウクライナ危機から4か月間が経過して、この間にずっと高値を維持してきた素材セクターだけに、逆に反落のリスクも高まっています。

前週もそうでしたが、これまでの流れが曲がり角を迎えたと見る向きが増えているように感じられ、海運株も含めて軟調な動きが継続しました。

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今週で6月相場も終わり、年後半の7月相場を迎えます。それは2月/8月決算企業の決算シーズンを迎えることでもあります。

6月27日(月)のしまむら(8227)

(後略)

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鈴木一之