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2020年2月17日

新型肺炎がさらに広がるが、景気敏感株は意外にも堅調

鈴木一之

◎日経平均(14日大引):23,687.59(▲140.14、▲0.59%)

◎NYダウ(14日終値):29,398.08(▲25.23、▲0.08%)

 

 

鈴木一之です。新型肺炎の拡大が一向に収まりません。先週末にはついに国内の渡航歴のない人にも発症例が見つかりました。これまでの「水際作戦」では食い止められなかったようで、新型ウイルスとの戦いは新たな局面を迎えました。

 

中国・武漢を発症源とする新型肺炎では、2月16日(日)午前0時の時点で、中国本土における感染者の数は累計で6万8500人、死亡した人の数は1665人に達しました。すでに2003年のSARSの時の数字を超えています。

 

各国は中国への航空機の乗り入れを停止しており、中国からの渡航者の受け入れも止めています。観光業界をはじめ消費とサービスの現場への影響は相当大きくなることが予想されています。

 

中国に就航する国際線の便数は、WHO(世界保健機関)が緊急事態宣言を出した1月30日と比較して世界中で7割近く減りました。日本も5割減少しており、世界中では240万人の行き来が消滅したことになります。

 

サービス業のみならず、中国に製造拠点を置く製造業にも影響が広がっています。広州に工場を持つトヨタは週明けの2月17日から再開する予定ですが、震源地の武漢に工場を置くホンダは2月24日以降の再開にずれ込む見通しです。これらは確実に生産年度の計画に影響を与えることになります。

 

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そのような厳しい状況下で株式市場はかろうじて値を保っています。中国政府が景気の落ち込み回避のための金融緩和や景気刺激策を強めていることもあるようで、上海総合株価指数や香港・ハンセン指数は意外なほどの堅調さを示しました。

 

それに連動する形でアジア各国の市場も値を保っています。東京市場も同様です。かたやNY市場は地理的に距離を置いていることもあってか、株式市場は先週も史上最高値を更新する展開となりました。

 

意外なことにドイツのDAX指数も史上最高値を更新しています。ドイツ経済は自動車産業を通じて中国とは密接な関係にあり、ユーロの下落もあってドイツの望外の堅調さは現在の不安定なマーケットの中にあって、数少ない安心感につながっています。

 

景気動向に関しては、ようやく底入れ感がちらつき始めた矢先でした。今回の新型ウイルス騒動が始まる直前、1月16日までは今にも景気は再拡大の方向に向かい始めていた痕跡があちこちにあります。米中貿易交渉の緊迫が一段落したことが大きいように思います。

 

それがいったん頓挫した形となりました。2月初旬~中旬にかけて鉄鋼、非鉄株を中心に景況感指数はかなり売り込まれましたが、それが先週あたりから決算発表を終えた化学セクターを中心に、再び上昇基調に戻ってくる銘柄が散見されるようになっています。

 

信越化学工業を筆頭として、トクヤマ(4043)、JSR(4185)、横浜ゴム(5101)、住友ゴム(5110)、TOYO TIRE(5105)などがその一例です。まだすべてではありませんが、最初の反発の芽は見え始めているように感じます。

 

世界中で物流網が寸断されており、小売・サービス業と製造業に大きなダメージが生じています。言われるまでもなくそれを十分にわかった上で、それでもなお株価がしっかりしています。そのあたりに今後の相場動向を占う大きなカギがひそんでいるように感じられてなりません。

 

一筋縄では行かない相場展開が続きますが、今が分岐点であることは疑いの余地はありません。誰も経験のない世界を突き進む上で、相場の行方は相場に聞いてみたいと思います。

 

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先週の東京市場は、TOPIXが反落しました。1週間の下落率は▲1.69%となりました。世間を揺るがすマイナス材料の多い割には、株価は安定しているようにも見えます。

 

気になるのは、日経平均とTOPIXの格差が広がっていることです。ソフトバンクG(9984)やファストリテイリング(9983)が

 

(後略)

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鈴木一之