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2023年5月22日

日経平均が3万円の大台を突破、33年ぶりの高値に

鈴木一之

鈴木一之です。株式市場の上昇が顕著となっています。日経平均は7日続伸し、3万円の大台を突破しました。33年ぶりの高値です。

先週は1日も株価が値下がりする日がありませんでした。開催中のG7広島サミットに合わせた演出かと勘繰ってしまうほどの華々しい値動きです。売買代金は連日のように3兆円の大台を超えています。国内の機関投資家はもちろん、外国人投資家の参戦も十分に考えられます。

ただ、物色されている銘柄はあらゆる分野に広がっているわけではありません。東証プライム市場の中でも上昇する銘柄と、そうでない銘柄の格差が徐々に開いています。大型株と小型株の間でも、次第に上昇力の差が鮮明となりつつあります。現時点では大型株にかなり分があります。

さらに株価が上昇しているのは日本だけではありません。5月19日(金)にはドイツのDAX指数が史上最高値を更新しました。1年4か月ぶりのことです。インフレが鮮明化してFRBやECBが利上げを推し進める前の頃に戻ったことになります。

ドイツでもシーメンスが1日で+10%も上昇し、マーケットを代表する大型株の上昇に拍車がかかっています。

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米国では金融システム不安に続いて、政府債務の上限引き上げ交渉が難航しています。バイデン大統領は今週、G7広島サミットには参加せず債務交渉を優先する可能性が一時的にも取りざたされました。決して楽観はできない状況です。

マーケットを取り巻く環境には不透明感が漂ってはいるものの、一方で5月16日(火)に発表された米国の4月・小売売上高は前月比+0.4%の堅調な伸びを示しました。3か月ぶりのプラス転換で、米国の消費は堅調であることが示されました。

先週は「炭鉱のカナリヤ」とされるホーム・デポの2-4月期の決算が発表され、先行きの見通しがかんばしくないと伝えられたばかりです。それが小売売上高の堅調さによって、ひとまず打ち消されました。

インフレ抑制のための金利引き上げと景気減速の間にあって、米国および先進国の経済環境は想定以上にしっかりしている、とあらためて印象づけられました。

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日本でも5月17日(水)に今年1-3月期GDPが発表され、前期比+0.4%、年率換算で+1.6%と判明しました。3四半期ぶりにプラス成長に戻っており、伸び率はエコノミストの事前予想の上限に近い水準に達しています。

コロナ禍からの経済の正常化、個人消費の堅調さが経済全体を押し上げています。GDPの構成要素の中から個人消費だけを抜き出せば前期比+0.6%と、4四半期連続でのプラスでした。しかも10-12月期の+0.2%から大きく伸びています。外食、宿泊、交通など幅広い分野で好調です。街の様子を見ていれば、その辺は強く実感されます。

昨年後半から根強く流れている「今年後半、世界経済のリセッション入り」の可能性が徐々に後退していることが、現在の株価上昇の背後にあると考えられます。

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もちろん良いニュースばかりではありません。

経済産業省は先週はじめ、電力大手7社が申請していた家庭向け電気料金の値上げを認可しました。これによって6月からは標準家庭で+14%~42%の電気料金の引き上げが実施されます。当然のことながら家計には厳しい状況となります。

今年最大の政治イベントであるG7広島サミットを終えた岸田首相、自民党政権は、衆院解散・総選挙を狙うと伝えられます。選挙日程として7月16日、9月17日、10月8日投票の観測が報道では流れています。

政局の秋、再び政策面での思惑も飛び交いそうです。電力料金引き上げを中和するエネルギー政策、景気対策が、半導体政策に続いて取り上げられることも考えられます。日経平均が3万円の大台に乗せたことで、自信を深めた岸田政権の「金融所得倍増計画」に向けた次の一手を注目したいところです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが6週連続で上昇しました。週間の上昇率は+3.11%に達し、過去6週間の上昇の中でも最大です。

規模別の騰落では大型株の優位が一段と強まっています。週間の騰落率で大型株が+3.61%の上昇に対して、中型株は+2.68%、小型株は+0.98%にとどまりました。新興市場の東証マザーズ指数は小幅ながら▲0.02%の反落となりました。

スタイル別では、大型グロース株の優勢が続いています。ここでも大型グロース株の上昇率は週間で+4.37%に達し、小型グロース株の+1.18%を大きく上回っています。また、大型バリュー株は+2.29%、小型バリュー株は+0.78%と、大型株が優位を保っています。

日経平均採用銘柄のうち、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る銘柄数は99銘柄まで減少しました。採用銘柄(225銘柄)の44%を占めています。

テクニカル面では、騰落レシオが5月16日に147.88%まで上昇した後(前週のピークは5月9日の142.24%)、週末は130.08%で終わりました。これで21日連続して過熱圏とされる「120%超」の状態を続けています。

日経平均のサイコロジカルラインは、週末まで「10」の過熱状態を3日間続けています。日経平均ボラティリティ指数は+27%上昇しました。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、15業種が値上がりし、2業種が下落しました。

値上がり上位のセクターは「電機・精密」、「機械」、「医薬品」でした。反対に値下がりセクターは「エネルギー資源」、「電力・ガス」、「鉄鋼・非鉄」となりました。

値上がりトップの「電機・精密」は半導体関連株が軒並み急騰しました。G7広島サミットの開催に合わせて、欧米、韓国、台湾という世界の半導体関連企業7社のトップが来日し、首相官邸で岸田首相と面会しました。

席上で岸田首相は、日本政府を挙げて半導体業界の支援に取り組み、対日投資の拡大につながる政策を講じると明らかにしました。これを受けて米マイクロンテクノロジーは日本の広島工場への5000億円の追加投資を発表しました。

韓国のサムスン電子、台湾のTSMCに続いてマイクロンが巨額の対日投資を行い、インテルも日本メーカーとの協業する意向を明らかにしています。日本への半導体投資の拡大策を受けて東京エレクトロン(7735)、アドバンテスト(6857)、信越化学工業(4063)などが軒並み大幅高を記録しました。

値上がり第2位の「機械」でも、半導体関連のディスコ(6146)、日東工器(6151)、野村マイクロ・サイエンス(6254)、TOWA(6315)などが物色されました。

また出遅れ気味だったダイキン工業(6367)、

(後略)

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鈴木一之