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2023年5月2日

日経平均は年初来高値を更新、終値で28,800円台に到達

鈴木一之

鈴木一之です。GWが始まりました。4年ぶりにまったく何の規制もない、本当にのびのびとした大型連休の始まりです。

コロナウイルス感染症は「2類」から「5類」に引き下げられ、水際対策も緩和されます。全国の観光地、商業の中心地、スポーツイベントはどこもたいへんな賑わいを見せています。

日経平均は週末にかけて大きく値上がりしました。28,800円台に到達して年初来高値を更新しました。続々と発表される3月期の好決算を好感して、大幅高となる銘柄が相次いでいます。

政府の月例経済報告では、国内の景況感は4か月連続で「緩やかに持ち直している」と判断されました。植田総裁となって初めての日銀の金融政策決定会合も、金融政策は「変更なし」と決定されました。それらがすべて詰め込まれて、大型連休を迎える直前に株式市場は堅調な動きを示しています。

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日を追うごとに堅調さを増した株式市場ですが、週の前半はどちらかと言えば神経質な、ネガティブなニュースに包まれていたことも事実です。

日曜日に投票の行われた統一地方選の後半戦の衆参5地区の補欠選挙では、自民党が4勝1敗と選挙前よりも議席を1つ増やしました。これによって岸田首相は衆院解散に早い時点で踏み切るのではないかとの見方も浮上しています。

しかし千葉5区はギリギリの僅差での勝利にとどまり、和歌山1区は日本維新の会の新人に敗れました。数字で見るほど政権与党にとって楽観できる状況ではなく、広島サミット後の政界の動向が注視されます。

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海外ではファンの多かったベッド・バス&ビヨンドの経営が行き詰まり、地銀のファースト・リパブリック・バンクは決算で預金流出が4割減少したことが明らかになると、経営不安に再び火がついて地銀株が大きく下落しました。

日本でも先週から3月決算企業の決算発表が本格的にスタートしましたが、トップを切るニデック(6594,日本電産)の内容はいまひとつでした。前期に1000億円という大幅な下方修正を行ったネガティブな印象を払拭するには至っておりません。

ニデックの今期(2024年3月期)の見通しは、最終損益が2年ぶりに過去最高となるものの(1650億円、前年比3.7倍)、その強気スタンスを市場は懐疑的に見ています。中国での事業拡大に集中している点も警戒的に見られています。

宇宙開発のispace(9438)の月着陸船が、月面着陸に失敗したというニュース(4月26日)も大きなショックとなりました。ダイハツ工業の安全認証手続きに不正が発覚したことも暗い影を落としています。

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しかしこれらすべてを跳ねのけて、株価は上昇しています。最大の要因は、企業の発表する決算内容が好調な点にあります。

日立(6501)の前・2023年3月期の純利益は6491億円(+11%)となり、3期連続で過去最高を更新しました。日立建機、日立金属など子会社を相次いで売却し、事業ポートフォリオの大規模な改革は一段落します。ここからはDX企業としてまっしぐらに進むことになります。

キヤノン(7751)は第1四半期の決算を終えた時点で、早くも今・2023年12月期の純利益の見通しを2700億円から2850億円(+17%)に上方修正しました。QUICKコンセンサスは2581億円なので相当な上振れです。半導体製造装置、プリンター、監視カメラ、ミラーレスカメラが想定以上に伸びています。

トヨタグループでも、筆頭格のデンソー(6902)の今・2024年3月期の純利益が3830億円(+22%)となる見通しで、6年ぶりに過去最高を更新します。トヨタをはじめ自動車メーカー各社のEVシフトは想像以上に急ピッチで進んでおり、自動車関連企業の中にはその恩恵が広い範囲で及ぶと見られます。

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1か月前に終了した2月/8月企業の決算は予想以上に好調でした。コロナ禍からの経済再開の恩恵をフルに受ける小売・サービス業が中心だった点が最大の要因です。

一転して今回の3月/9月決算では、事前の観測ではかなり苦戦が予想されると見られていました。日本の基幹産業である自動車、電機を中心に製造業が集まっており、原材料高と海外市場の不調でこのセクターはかなり厳しいというのが事前の見方でした。

そのような事前予想どおりに厳しい企業もいくつか見られます。しかし現在のところは、予想をはね飛ばすほど好調な企業の方が勝っているように見えます。まだ結論は早すぎるかもしれませんが、業績の好調・不調の差がはっきり出るようになってきたようです。

コロナ禍で内向きにならざるを得なかった3年の間に、将来にむけてどのような手を打ってきたか。それがここに来て表面化していると考えられます。真価が問われるのはここからなのです。「株価の強い企業につく」というスタンスが有効と言えそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で上昇しました。今年1月以来のことです。週間の上昇率は+1.10%で、前の週の+0.81%より拡大しています。

規模別では大型株と小型株は同程度の上昇で、中型株の上昇が目立ちました。中型株は時価総額ではおおむね2000~5000億円レベルの銘柄で構成されるイメージです。優良企業が多く存在します。

スタイル別ではグロース株よりもバリュー株が優勢でした。決算発表が割安株の見直し買いを誘っているようです。一方で東証マザーズ指数は2週連続で続落しました。

日経平均採用銘柄のうち、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている銘柄数は106銘柄となり、前週比で1銘柄だけ減少しました。採用銘柄(225銘柄)全体の47%を占めています。

テクニカル面では騰落レシオは週末に139.28%に達し、過熱圏とされている120%を大きく超えて一段高となっています。日経平均のサイコロジカルラインも、週前半に「10」のレベルを2日間続けた後、週末は「9」の水準に4日間とどまっています。

日経平均ボラティリティ指数は3週連続で低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、15業種が値上がりし、2業種が下落しました。値上がりセクターの上位は「建設・資材」、「不動産」、「自動車・輸送機」です。いずれも週間の上昇率が+3%を超える大幅高となっています。

「建設・資材」では、大林組(1802)にアクティビティストのシルチェスターが特別配当12円を要求する事案をきっかけに、幅広い買い物が向かっています。

東京都心部では東京オリンピック・パラリンピックが終わったころから、大規模なビル再開発が続々と始まっており、建設需要の強さがはっきりと浮かびあがっています。

自動車セクターも広範囲に物色されました。半導体の調達不足が徐々に解消しており、自動車株に安定感が戻りつつあります。EUが2035年までに内燃機関車の新車販売をゼロにする目標を緩めつつあることも、日本の自動車産業への支援材料になり得るものとして好意的に評価したいところです。

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反対に値下がりセクターは「鉄鋼・非鉄」、「銀行」の2業種が入りました。鋼材市況が値下がりし始めており、週初から鉄鋼株が軟調です。

銀行セクターは金曜日に開催された

(後略)

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鈴木一之