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2023年10月16日

日経平均は2週ぶり反発、中東情勢の緊迫に警戒心も高まる

鈴木一之

鈴木一之です。恐るべき状況となりました。新たな地域紛争がぼっ発しています。

地中海沿岸のガザ地区に封じ込められたパレスチナ自治区から、イスラエルに対して大量のロケット弾が撃ち込まれる事件から1週間。世界中が息をひそめて中東紛争の緊迫した情勢を見守っています。

常に戦争状態にあるイスラエルがこのまま黙っているとは考えられません。ガザ地区への地上戦に備えて立ちどころに30万人の予備役が招集されました。

週半ばにはガザ北部の住民に対して、24時間以内に南部へと退避するよう呼びかけています。まもなく大規模な地上戦に突入すると見られます。

双方の死者はすでに2000人を超えていますが、今後さらに拡大する可能性が強まっています。米国はイスラエルを全面的に支持しており、かたやイギリス、フランスは人質に取られた自国民の救出を急いでいます。紛争を止める仲介役がいない状況です。

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イスラエルは地上軍の投入の前に、すでにハマスへの報復としてガザ地区への空爆を開始しています。電気、水、食料、燃料の供給も止まりました。発電所はすでに燃料不足で停止しています。パレスチナの人々は逃げまどい、電気がないので病院ではけが人の治療も思うように進みません。

パレスチナの内部も複雑です。必ずしもハマスが全面的にパレスチナ人に支持されているとは言えません。それはイスラエルも同様で、今回の一連の出来事が起こる直前まで、イスラエルではネタニヤフ首相の指導力が問われ国論が二分していました。支持率ももともと低く連立政権はきわめて不安定な状況にあります。

それが今回のハマスによるロケット砲撃であっという間に挙国一致体制が形作られました。反パレスチナの気運が急速に高まっています。旧約聖書の時代から続くシナイ半島の果てしない抗争が再びふたを開けてしまいました。

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マーケットも方向性を見い出せないまま右往左往しています。一国の政治と経済は別物ですが、やはり非常時においては経済よりも政治の方が優先されます。しかも世界はコロナ禍からの回復途上にあるため、政治のウエートがどうしても高くなります。

日本の株式市場は前の週まで、9月末から10月初旬という株式市場の需給関係が乱れやすい状況下にありました。急落した後に先週は急反発となりましたが、ここから先は非常に展開が読みにくくなりそうです。

折しも日本と米国はそろって決算発表の時期を迎えました。ここまでに発表された数例を見る限り、企業の戦略の違いが業績面にはっきりと濃淡をもたらしています。個別物色の色彩が一段と強まっています。

米国では例によって銀行セクターから決算発表が幕を開けました。トップを切ったJPモルガンの7ー9月期決算は予想を上回る好調ぶりで、他の銀行株も含めて発表後の株価は堅調です。

金融業界のリーダーでもあるJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは「世界はこの数十年で最も危険な時期にある」と述べており、金利の上昇に加えて中東情勢の緊迫を警戒しています。

日米ともに決算内容と株価の位置をチェックしながら、少しずつ手探りで進んで行くしか対処しようがないという展開がしばらくは続きそうです。

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マーケットの状況です。

先週の東京株式市場は、TOPIXが反発しました。前の週に▲2.55%とかなり大きく下げたので、その反動で上昇も+1.97%と大きくなりました。

ただし小型株、および成長株の反発は限定されています。大型株指数は+2.53%と大きく値を戻しましたが、小型株指数の反発は+0.42%にとどまりました。東証マザーズ指数は2週連続で下落しています。

スタイル別では、バリュー株とグロース株がだいたい同じくらいの割合で反発しました。バリュー株は+2.05%、グロース株は+1.88%です。わずかにバリュー株が優勢というところです。ここでも大型バリュー株と大型グロース株が優勢となりました。

騰落レシオは一気に低下しており、10月11日には80%台まで低下して、今年1月10日以来の低水準です。週末の終値では81.88%でした。日経平均のサイコロジカルラインは週末に「5」の水準までわずかながら戻しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、14業種が値上がりし、3業種が値下がりしました。
値上がり上位のセクターは、トップが「エネルギー資源」、次いで「商社・卸売」、「電機・精密」となりました。反対に値下がりのトップは「運輸・物流」で、続いて「小売」、「食品」でした。

値上がりトップの「エネルギー資源」は、原油価格の急反発が影響しています。中東情勢の緊迫度の高まりが週初からENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)などのエネルギー株を押し上げました。

値上がりセクターの第2位は「商社・卸売」です。これも資源株の急上昇によって、総合商社が軒並み上昇したことがプラスに影響しています。

ただしそればかりでなく、マクニカHD(3132)、リョーサン(8140)などの半導体商社も週初から上昇が目立ちました。

値上がりセクターの第3位が「電機・精密」です。半導体関連株が久しぶりに軒並み高となって反発をリードしました。

中でもレーザーテック(6920)が年初来高値を更新し、イビデン(4062)、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、スクリーンHD(7735)の主力銘柄も一斉に上昇しました。久しぶりにグロース株を評価する動きが見られました。

日本経済新聞がまとめた、台湾の主要エレクトロニクスメーカー19社の売上動向は、9月が前年同月比で▲16.2%となりました。マイナスはこれで8か月連続ですが、前月比は+24.4%と伸びています。目先の底入れ感が出てきた可能性があります。

新発売「iPhone15」は苦戦を余儀なくされているようですが、9月は年末商戦に向けてスマホやパソコンの作り込みが活発化する時期でもあります。その引き合いが電子部品全般に強まっているようにも感じられます。

半導体製造工程の搬送装置を手がけるローツェ(6323)が決算を発表し、そこで四半期受注が前期比プラスに変化したことも好感されています。

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一方の値下がりセクターの上位には「運輸・物流」、「小売」、「食品」など内需関連株の一角が軟調でした。

「運輸・物流」ではJR東海(9022)、JR東日本(9020)をはじめとした電鉄株の急落が目立っています。エレクトロニクス株を物色する動きとは対照的に内需全般に弱い動きが見られました。

「小売」セクターも同様です。決算発表を好感してファーストリテイリング(9983)、サイゼリヤ(7581)、吉野家HD(9861)は大きく上昇したものの、それを除いた小売株が総じて下落しました。

中でもトレジャーファクトリー(3093)、ブックオフ(9278)、ハードオフ(2674)のリユース関連株は業績好調にもかかわらず、決算発表をきっかけに急落しました。エービーシー・マート(2670)、Jフロントリテイリング(3086)、コスモス薬品(3349)も同様で、決算は好調なのに株価の下落が特に目立ちました。

値下がりセクターの第3位となった「食品」では、寿スピリッツ(2222)、

(後略)

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鈴木一之