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2024年2月20日

日経平均は38,000円台に到達、史上最高値更新が射程距離に

鈴木一之

能登半島地震で被害に遭遇された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

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鈴木一之です。とうとうここまで来ました。日経平均は金曜日のザラ場中にあの史上最高値、38,915円まで、あと50円というところに到達しました。

大引けでは少し押し戻され高値更新とはなりませんでしたが、それでも週末値で38,000円台に乗せています。新高値更新は今週以降の課題として持ち越されました。

夢のようですが夢ではありません。これは始まりに過ぎないのです。

企業統治改革も、第4次産業革命も経営のデジタルインフォメーションも、個人金融資産の預貯金からの資金シフトも、経済安全保障の枠組みも日本の防衛力の強化も、災害に強い国土強靭化も、そしてデフレからの脱却も、すべては始まったばかりです。

国内外の政治と経済の大きな変化を受けて、日経平均は「失われた30年」以前の水準にようやく戻りました。ここまではカメの歩みでしたが、諸外国ははるか先を全力で疾走しています。日本もここからはリープフロッグ、一足飛びに進まなくてはなりません。

その点において先週は、東証グロース市場(新興市場)にも活気が戻ってきたことは評価するべきでしょう。

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先週は3連休明けの週初から大きな動きがありました。休み明けの日経平均は+1066円も層上昇して37,800円台後半まで値上がりしました。

前週末に米国で強い経済統計が相次いで発表され、同時にエヌビディアを中心にテクノロジー株が大きく上昇しました。ナスダック総合指数が一時最高値を上回る場面もありました。

通期業績の上方修正を発表した東京エレクトロン(8035)が1日で+13%も上昇して、ひとりで日経平均を+400円近く押し上げました。半導体株を中心に据えた上昇が週を通じて継続しています。

この動きが週を通じてマーケット全体の流れを決定したように感じます。

東京エレクトロンだけではありません。金融株では損害保険株が週明けから軒並み高となりました。金融庁が損保各社に政策保有株の売却を求めたことが材料視されています。

これまで上場企業からの持ち合い株式の売却のニュースは、株式市場の需給関係を悪化させるものとして長らく悪材料視される傾向がありました。

それが今は、持ち合い株式の売却は企業統治にとって前向きな材料だとプラス方向に受け止める流れに変わっています。

これは目に見える大きな変化です。しかも推進母体は金融庁です。金融庁は陰に陽に東証市場改革を後押ししています。東京海上HD(8766)やSOMPOホールディングス(8630)は週を通じて大きく上昇しました。

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経済データそのものは、弱い内容のものが多く発表されました。日本の10-12月期GDPは年率▲0.4%、2期連続でマイナス成長となりました。暖冬で個人消費が落ち込み、設備投資と合わせてふたつのエンジンがどちらもマイナスでした。

米国でも1月の小売売上高は前月比▲0.8%となり、予想の▲0.3%を大きく下回りました。このところ強い経済統計が続いていたので、米国経済にとって久しぶりのネガティブな材料です。ホームセンターやネット通販が減少しています。

しかしこれらのマイナスのニュースも、マーケットの強い動きに水を差すことはほとんどありません。むしろ「弱い経済がインフレを抑える」というゴルディロックスの理屈が再び浮上しています。

前の週に「強い経済統計」の発表を潜在成長率の引き上げ、高圧経済の発露として高く評価された直後に、週が変わると今度は「弱い経済」をインフレ抑制、ゴルディロックス相場としてプラス方向に評価しています。いわゆる、いいとこ取りばかりが目立つマーケットですが、それだけ相場の基調が強いということの表れとされています。

それでも目線を少し下げて、ミクロベースの変化に目を留めると、それとはまた異なった光景が見えてきます。

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日本では3月決算企業のQ3決算発表が一巡しました。通期では3期連続で史上最高益を更新する勢いが確認されています。コロナ禍からの経済再開、価格引き上げと円安が好調の要因です。

日本経済新聞社が集計した東証プライム市場の1020社の合計で、今期の純利益は期初予想の前期比+6%から、製造業は+16%の21.4兆円、非製造業は+11%の22.1兆円に拡大します。

売上高に対する当期純利益の比率(売上高利益率)は5.8%に上昇し、前の期の5.3%から改善。2008年(リーマン・ショック)以降の最高となります。企業のROEは、TOPIXをベースに2023年末の時点で8.5%まで高まっています。

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ここに東証からの「資本コストや株価を意識した経営」に向けた企業構造改革の要請が重なります。上場企業は着々と変化の道をたどっていると見られます。それに即した動きが先週も各方面で見られました。

三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)はロボアドのウェルスナビ(7342)に150億円出資することを決めました。持ち分法適用会社として資産運用サービスを拡充します。大手銀行グループの動きとしてはかなり異例のスピードに映ります。

またSOMPOホールディングス(8630)は、損保ジャパンが保有する1.3兆円の政策保有株式をゼロにすると発表しました。金融庁の意向を受けての素早い決断です。どちらも株価は週末にかけて大きく上昇し、日経平均の38,000円突破に貢献しています。

これらがすべてかみ合って、個人の2000兆円マネーを突き動かしています。歴史的な株価上昇は単独の要因で起こっているものではありません。いくつもの要素が絡み合って本格的な転換を演出しています。

この動きはまだ始まったばかりです。マーケットのことですから「行きつ戻りつ」の揺り戻しもあるでしょうが、ここからの展開に目を凝らしておきたいものです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で上昇しました。上昇率は前の週の0.72%から+2.61%に拡大しています。

規模別では、大型株の上昇が+3.24%となり群を抜いています。中型株(+1.46%)、小型株(+1.35%)とどちらも上昇しましたが、大型株には圧倒されました。

スタイル別でも、大型株はバリュー株(+2.62%)、グロース株(+2.61%)と上昇が目立っています。小型株ではグロース株の上昇がバリュー株を大きく引き離しました。

株価の上昇が際立っている割には、騰落レシオは過熱圏とされる120%の水準を割り込んでから一貫して低下しています。先週末は96.81%に低下しました。物色の二極化が強まっている印象です。日経平均のサイコロジカルラインは「8」にとどまりました。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は15業種が上昇して、2業種が値下がりしました。

値上がり上位のセクターは「金融(除く銀行)」、「電機・精密」、「商社・卸売」でした。

「金融」は上段でも記したように損保各社の動きが圧巻でした。そこに証券セクターやJPX(8697)が連動して上昇しています。

「電機・精密」では半導体各社が軒並み高値を更新しています。「商社・卸売」でも三菱商事(8058)、三井物産(8031)を軸に総合商社に上場来高値が相次いでいます。

値下がりセクターの上位は「食品」、「不動産」、「小売」と内需系銘柄が並びました。その前の週までの値上がり上位に位置づけたセクターが、次のローテーションで軟調な動きに変わっています。

それでも小売セクターでは、ファーストリテイリング(9983)、

(後略)

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鈴木一之