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2023年2月21日

膠着感から徐々に上放れ、TOPIXは2000ポイントに乗せる

鈴木一之

鈴木一之です。ロシアとウクライナとの間の紛争から1年を迎えます。あっという間の1年間でしたが、事態は好転したとは言い難い状況に陥っています。

紛争ぼっ発の直後に見られたエネルギー価格の高騰は収まりましたが、いつ再燃してもおかしくはありません。国連やG7をはじめとした国際機関の仲裁もまったく機能していません。1日も早く平和が戻ることを願っています。

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膠着感の強かった株式市場にも徐々に変化が見られるようになりました。上向きの展開に次第に傾きつつあります。「世界経済のリセッション入りが避けられない」という見方が大半だった年初からの流れが変化し始めています。

株式市場と債券市場にとって、先週の最大のニュースは米国の消費者物価指数の動向でした。1月の米・CPIが14日(火)に発表され、上昇率は前年比+6.4%と判明しました。

まだ市場の予想を上回る高い伸びが続いていますが、それでも上昇率としては7か月連続で鈍化しました。

見方によっては物価上昇率はまだ十分に強く、この結果に対してマーケットはどのような判断を下すか、という点が注目されました。債券市場では長期金利が上昇し、米10年国債金利は3.8%台に達しました。為替市場でもドルが上昇し、週末には135円台までドル高・円安が進行しています。

それでも株式市場はしっかりした値動きを維持しています。昨年までの地合いでは、このようなCPIの結果であれば、株価は大きく下落したはずです。マーケット参加者の間には軽い驚きが広がっています。

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これまでの中心的なマーケットのシナリオは、米国のインフレ基調は鈍化しており、FRBは今年の春にも利上げ政策を停止、年半ばには利下げに転じる、との見方が主流でした。リセッション入りも回避されるとの楽観論から、株式市場は堅調な値動きを続けてきました。

しかしここに来て発表される1月分の米国の経済データは、相次いで米国景気が依然として強いことを示しています。先週は1月の小売売上高が発表され、前月比+3%の伸びを示しました。3か月ぶりの増加で、クリスマス商戦の12月を上回る消費の伸びが確認されました。

この結果を受けて、3月のFOMCでは利上げ幅が再び0.5%に広げられるとの見方も浮上しています。利上げは5月で打ち止め、との当初の見通しも修正されて、6月以降も利上げが継続される観測も出始めています。

FRB高官からはタカ派的な発言も相次いで、昨年までの状況であれば株式市場は大きく下落してもおかしくはない状況に直面しています。それでも株価は意外なほど堅調です。2月のS&P500指数はわずかながらもプラス圏を維持しています。

これはひとえに、年初まで主流だったリセッション入りの観測が後退していることが主因です。2月16日(木)にニューヨーク連銀から発表された米国の家計調査によれば、昨年12月末のクレジットカードのローン残高は9860億ドル(132兆円)で、前年比+15%に拡大しました。コロナ前の2019年12月末の9270億ドルを上回り、過去最高を更新しています。

コロナ禍の直後に一時、カードローン残高は減少しました。しかしその後の経済の挽回によって、個人消費は再び活況を呈しています。それによってインフレ懸念が増幅されている側面もありますが、経済の状況がよいことが株価の下値を支えているのも事実です。

株価がこれ以上は下落することもないとなると、キャッシュに逃げていた投資マネーが徐々に株式市場に戻り始めています。

債券市場は慎重なスタンスを崩しておりませんが、株式市場には明るさが戻っているのは事実です。運用担当者の間では、株式の「持たざるリスク」を意識する動きが広がっているようにも感じられます。

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日本では引き続き次の日銀総裁を巡る思惑が交錯しています。

政府は1月14日(火)に元日銀審議委員の植田和男氏を後任の総裁として国会に提示しました。副総裁には氷見野良三・前金融庁長官と、内田真一・日銀理事も提示されました。衆参両院の同意が得られれば内閣が任命して総裁・副総裁人事が確定します。

3月の日銀・決定会合は黒田総裁の最後の会合となります。花道を飾るような恰好で、そこでイールドカーブ・コントロールの修正、あるいは撤廃や、金融機関に課しているマイナス金利の解除が実施されるとの憶測が飛び交っています。

後任人事の動向がほぼ固まったことで、為替市場の動きはもっぱら米国の経済指標とインフレ動向に左右される展開となっています。

植田和男氏が新総裁に就任したとしても、すぐには金融政策は変更されないだろうとの安心感も強まっています。銀行株は先週も上昇基調をしっかりと維持しています。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが小幅続伸しました。依然として膠着感は強く、週間の上昇率は+25%にとどまりました。前の週の+0.85%から一段と小さくなっています。

それでも週後半には、TOPIXが今年初めて2000ポイントの大台に到達しました。徐々に上向きの力が勝っているようです。

大型株が中・小型株に対して優勢で、かつバリュー株がグロース株の上昇を上回っています。週を通じてバリュー株の物色が強まりました。東証マザーズ指数は続落しています。

テクニカル面では、騰落レシオの上昇が続いています。過熱圏とされる120%を越え、週なかばには130.15%まで達しました(週末は126.72%)。

日経平均のサイコロジカルラインは、警戒水準とされる「9」を続けた後は徐々に低下し、週末は「6」に戻りました。1月6日以来の水準です。日経平均ボラティリティ指数は5週連続で低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、引き続き幅広い業種で値上がりが続いています。値上がりセクターは13業種に及び、反対に値下がりセクターは4業種にとどまりました。

値下がりセクターの上位は「鉄鋼・非鉄」、「自動車・輸送機」、「エネルギー資源」でした。

トップの鉄鋼株は日本製鉄(5401)、神戸製鋼所(5406)という好決算の鉄鋼大手が週を通じて堅調でした。鋼材価格は上昇を続けており、その一方で原材料価格の石炭や鉄鉱石の価格が下落するという好環境が高い収益の伸びを支えています。

週末には合同製鉄(5410)、中山鋼(5408)、東京製鉄(5423)、共英製鋼(5440)など、電炉株を中心にさらに物色対象が広がりました。

「エネルギー資源」も好決算だった石油資源開発(1662)、三井松島HD(1518)を中心に上昇基調を維持しています。

「自動車・輸送機」にも物色が広がりを見せました。決算発表をきっかけに、ホンダ(7267)、日産自(7201)、マツダ(7261)、スバル(7270)など完成車メーカーが軒並み上昇しています。

自動車セクターは半導体の調達がむずかしく、生産が思うように進みませんでしたが、それも少しずつ改善している模様です。第4四半期は本格的な生産に乗り出す体制が整ってきたようで、その辺の事情が株価に反映されつつあります。

しかしトヨタ自動車(7203)だけは、株価は上昇したとはいえ値動きは鈍いままにとどまっています。果たしてトヨタにまで回復に弾みがつくのか。この点が今週以降のマーケットの大きな関心となりそうです。

値下がりセクターの上位には「電機・精密」、「情報通信・サービス」、「素材・化学」が入りました。いずれも今回の決算発表で苦戦を強いられた業種です。

電機株ではイビデン(4062)、

(後略)

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鈴木一之