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2023年2月28日

米国の金利上昇が重石、日経平均は週央に下放れ週末に反発

鈴木一之

鈴木一之です。2月も最終週を迎えました。日が伸びてきたことを実感します。月曜日は権利落ち日です。3月相場が始まります。

ウクライナ紛争の開始から1年が経ちました。心配されたロシアによる大規模な軍事行動は起こりませんでしたが、プーチン大統領はこれまで以上に核兵器の使用をちらつかせています。そんな恐ろしい事態が起こらないことを祈るしかありません。

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バイデン大統領による電撃的なキーウ訪問から1週間。現地を訪れるからにはウクライナに対してそれ相応の援助を持参しているはずです。中国が仲介役に名乗りを挙げましたが、西側社会はまともには受け止めておりません。

2年目に突入して国際情勢はさらに入り組んできましたが、バイデン大統領がポーランドでの演説で述べたように、ロシア侵攻で試されているのはウクライナだけではありません。すべての民主主義国家が試されています。

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先週は日米そろって祝日が1日ずつありました。そのためにこう着感が一段と強まっていましたが、3連休明けの米国市場ではNYダウが▲697ドル(▲2.1%)と今年最大の下げ幅を記録しました。

S&Pグローバル社が発表した2月の米国PMIが50.5となり、8か月ぶりに景気判断の分岐点である「50」を上回ったことが主因です。景気の好調さを示す経済データがまたひとつ増えて、10年国債金利は3.9%台に乗せました。

注目されたのは2年物国債金利です。4.7%台前半まで3か月半ぶりの高い水準となりました。FRBによる金融引き締めの停止、今年中にも予想された利下げへの転換というシナリオがさらに遠のいています。

もうひとつ、米国市場を揺さぶった要因がホーム・デポの決算です。

「炭鉱のカナリヤ」と言われるホーム・デポの11ー1月の決算が市場予想を下回りました。住宅市場の低迷が響いており、通期の利益予想が増益から減益に変わることも嫌気されています。NYダウが▲700ドル近く下落するうちの▲150ドル分がホーム・デポの下落でした。

米国経済は全体としては好調が続いているのに、個別企業の業績は厳しいという状況です。株式市場の投資家にとってはかなりやりにくい展開が続いています。

これまでのところ企業の厳しい決算内容は、株式市場にはさほど悪い影響を及ぼしてはおりませんでした。それが変わる可能性が生れつつあるのは警戒信号です。

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一方でそれとはまったく反対の動きが、週末のエヌビディアの決算によってもたらされました。

エヌビディアの11ー1月期の決算は、売上高が▲21%、純利益も▲53%の減少でした。厳しい内容でしたが、事前の予想を上回ったことから発表直後の株価は+14%も大きく上昇しました。

ゲーム向けの画像処理半導体は厳しいものの、人工知能(AI)やデータセンター向けの売上げはプラスを維持しています。続く2-4月期もデータセンター向けは前年を上回る見通しとなっています。世界中を席巻している「ChatGPT」のプラスの影響が早くも現れており、週末は日本でも半導体関連株が急騰する一因となりました。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反落しました。膠着感は依然として強く、週間の下落率は▲0.18%にとどまりました。前の週の+0.25%と同じく一段と小さな値動きとなっています。

規模別では薄商いで大型株が劣勢となり、中・小型株が堅調でした。引き続きバリュー株がグロース株を上回るパフォーマンスを示しています。東証マザーズ指数は3週連続で下落しました。

テクニカル面では、騰落レシオの上昇が一服しました。過熱圏とされる120%越えを続けた後、水曜日には118.53%に低下しました。ただし週末は再び127.77%に高まっています。

日経平均のサイコロジカルラインは、水曜日に「4」まで低下し、週末には「5」で引けました。低下を続けた日経平均ボラティリティ指数は6週ぶりに上昇しました。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落では、値上がりセクターは9業種、反対に値下がりセクターは8業種と拮抗しました。

値上がりセクターの上位は「不動産」、「建設・資材」、「運輸・物流」です。

鋼材価格をはじめ、世界的な原材料価格の上昇に苦しんでいるのが建設セクターです。不動産業界も金利上昇で株価は軟調な動きを余儀なくされていました。

それが低PBR銘柄を幅広く物色する流れに乗って、出遅れ感から買い物が向かい始めています。

不動産では三井不動産(8801)、平和不動産(8803)、東京建物(8804)、野村不動産HD(3231)の大手企業をはじめ、サンフロンティア不動産(8934)、飯田グループHD(3291)にまで物色が広がっています。

建設でも長谷工(1808)、東急建設(1720)、高砂熱学工業(1969)から大手ゼネコンまで堅調な1週間でした。これまでの物色の流れが逆流し始めています。

「運輸・物流」では海運株が全面高となっており、セイノーHD(9076)、

(後略)

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鈴木一之