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2025年8月26日
調整1週目、日経平均は42,600円台をキープ、ジャクソンホール待ち

TOPIXと日経平均が週明けも史上最高値を更新するという、夢のような夏休み明けを迎えたのでが、火曜日から株価の動きは様子が少し変わりました。
月曜日の米国市場でテクノロジー株が軟化した影響から、火曜日、水曜日と東京市場もリード役の半導体、光ファイバー関連株が幅広く下落しました。
アドバンテスト(6857)が1日で▲6%以上も下落し、米国のAMDの急落を受けて東京エレクトロン(8035)が直近安値を割り込むところまで売られています。
市場のリード役を果たしたサンリオ(8136)は、火曜日にさしたる理由もなく▲10%も値下がりし、ソフトバンクグループ(9984)も大きく売られています。
その反対に、オリエンタルランド(4661)が底入れ反転しています。オリエンタルランドは段階的な入場料の引き上げが行われた結果、コアのリピーター層が離れつつあるとされ、この2年近くの下落で株価はピークから半値近くまで軟化しました。
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かたやソフトバンクグループは、人工知能を超える「超人工知能」時代の申し子です。ヴィジョン・ファンドの先見性を疑う人はもはやいなくなり、トランプ大統領の就任式にも呼ばれるほどの時代の寵児です。
株価はITバブル時代の上場来高値を更新し、時価総額は最近の2か月だけで10兆円から20兆円に2倍化しました。
そのソフトバンクグループやサンリオが週初から急落し、代わってオリエンタルランドや鉄鋼株のような底値圏にある銘柄が反対波動で買われています。
飛ぶ鳥を落とす勢いの時流に乗った強気銘柄が売られるようになり、反対に市場から完全に見放されていた底値圏の銘柄が買われる、いわゆる「天底逆転」が起こっています。
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このような変化が出てきた理由として3点が考えられます。
(1)行き過ぎた米国の金融緩和期待(ジャクソンホール直前)
(2)投資指標に見られる日本株の割高感
(3)生成AIに対する過剰投資説
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(1)行き過ぎた米国の金融緩和期待(ジャクソンホール直前)
現在の世界同時株高の最大の原動力は、米国の金融緩和期待です。7月の雇用統計で雇用者数が大幅に下方修正された、いわゆる「雇用統計ショック」以来、さらにその勢いが強まりました。
8月は各国の中央銀行の要人も夏休みに入り、通常はFOMCのような大きな金融政策の決定は行われません。その代わりに市場の目安となっているのが中央銀行の幹部が集まる「ジャクソンホール会議」です。
ここでパウエル議長がどのような講演を行うのか、今年は例年以上に早い段階から注目の的となっていました。
トランプ大統領がしつこく人事権を振りかざし、ベッセント財務長官も金融政策に意見を述べ、FRB内部からは公然と現方針への反対意見が表明されている状況です。
来年5月に任期を迎えるパウエル議長にとって、再任されなければ今回が最後のジャクソンホール会合になります。そこでどのような内容の発言を行うのか。タカ派的な内容であれば、すでに伸びきっている市場はクラッシュしかねません。
ハト派的な内容であっても、市場の評価次第では同様のことが起こります。非常に緊張感の高い1週間を迎えることになり、早くも火曜日から伸びきっていた銘柄は売り急ぎの対象となっているようです。
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これを記している日曜日の時点で、すでにジャクソンホール後の最初の結果が判明しています。
今回もパウエル議長は市場の強気派にとって満点に近い回答を出しました。
パウエル議長は、現在の雇用情勢が下振れリスクにさらされていることを指摘して、「慎重に(利下げを)進める」ことに言及しました。
9月のFOMC会合での利下げの可能性に言及したことは初めてで、金曜日の米国市場ではNYダウ工業株が+846ドル上昇して、8か月ぶりに史上最高値を更新しました。
上昇が目立っているのがキャタピラー、ホーム・デポ、アメリカン・エキスプレスなどの景気動向に敏感な銘柄です。ゴールドマン・サックスも買われました。
パウエル議長は「(経済への)見通しとリスクのバランスの変化は、政策の調整を正当化する可能性がある」と述べて、利下げに向けて一歩踏み込んだ発言を行いました。それとともに経済データに基づいて判断する姿勢から「決して逸脱しない」という従来からの点も強調しています。
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(2)投資指標に見られる日本株の割高感
先週の株価調整に対して2番目の点が、日本株の割高感です。現在の日経平均の水準は、投資尺度という点ではかなり割高です。
PBR(株価純資産倍率)は週初の時点で1.59倍に達しました。昨年はこの数値が1.6倍で株価がピークをつけたので、すでにそのレベルに達しています。
同じようにPER(株価収益率)も17倍台に張りついています。これまで何度も「17倍の壁」にはね返されてきましたが、またその水準を意識するようになっています。
政治も経済も夏休みとなる8月は、唯一忙しくしているのが財務省です。来年度予算の概算要求の季節にあたり、各省庁から目玉政策の骨子が明らかになります。
防衛省からは過去最大となる8.8兆円の防衛予算が計上されました。防衛省は他省庁分を含めて2027年度にもGD比で2%の防衛予算の達成を目指していますが、2026年度にも2%を超えるとの見方が出ているほどです。
それほどまでに防衛費が大幅に拡大されているにもかかわらず、先週の防衛関連株の動きは三菱重工(7011)、IHI(7013)、川崎重工(7012)がそろって軟調でした。
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中でも川崎重工は下値を一段と切り下げています。よいニュースはほとんどすべて織り込まれてしまったかのような動きです。
先週はトランプ大統領とロシアのプーチン大統領の首脳会談で幕を開けた週でした。しかしウクライナ停戦を巡る歴史的な米ロ首脳会談は合意に至りませんでした。停戦協議は継続される模様で、ウクライナに対する欧州、そして米国の軍事支援は今後も続くことになります。
それでも防衛関連株はほとんど新しい動きはありませんでした。防衛関連株に限らずこれまで人気を博した物色テーマは、中・長期的にはまだ十分に上値余地はあるものの、短期的には上昇余地はかなり小さくなっているような印象です。
経済指標を見れば、7月の消費者物価指数は総合(生鮮食品を除く)で111.6となり、前年比+3.1%の上昇でした。6月の3.3%は下回りましたが、市場予想の+3.0%は上回っています。
米国の金利動向を心配している余裕はなく、日本でもインフレは着実に進行しています。日銀は政策金利の引き上げを再開するタイミングを模索しており、米国の状況とはまったく異なります。
金利が上がれば、投資尺度から見た日本株の割高感はさらに強まることになります。成長株、グロース株はいったん売却して、割安感のある銘柄に乗り換える動きが強まりかねない状況が出来上がりつつあります。
(この点でも先週末のパウエル議長の「利下げ容認」の講演内容が、週明けの東京市場にどこまで影響するのか、ここからの動きが重要になります。)
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(3)生成AIに対する過剰投資説
またも蒸し返されてきた感がありますが、生成AIの将来性、市場性に対する懐疑的な見方も出ています。
オープンAIのサム・アルトマンCEOは「投資家全体がAIに過剰に興奮している段階にあるのか」との問いかけに「イエスだ」と答えたそうです。
マサチューセッツ工科大学は「95%の組織が生成AIへの投資からリターンを得ることができていない」とのレポートをまとめました。日本に劣らず米国の市場も投資尺度で見れば割高ですが、その水準を正当化するような理屈がいくつも積み上がっています。
米国のメタは、「スーパーインテリジェンス」の開発に向けて超優秀なドリームチームを結成すべく、オープンAIから20人、グーグルから13人、アップルから3人を引き抜いたそうですが、50人強の優秀な技術者を1人あたり100億円の報酬でかき集めたところでいったん募集をストップしました。
中国のディープシークは新たなAIモデルの開発に苦戦しているそうです。ファーウェイの半導体ではなく、エヌビディア製の半導体が求められるのもうなづけます。
8月27日に発表されるエヌビディアの決算の結果がどう出るか、市場の関心が今回もここに集まっています。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週ぶりに反落しました。下落率は▲0.22%にとどまっており、前週の+2.76%と比較して小幅の下げで済んでいます。中小型株への物色意欲は強く、株価指数の下げばかりが目立っていました。
規模別指数では、大型株指数は▲0.70%で3週ぶりの下落となっていますが、中型株指数は+0.56%で実に11週連続で上昇しています。同じように小型株指数も+1.26%の上昇でこれも7週連続の上昇です。個別株の物色意欲は強いことが見てとれます。
東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は▲0.78%で3週ぶりに下落しました。
スタイル別では、引き続きバリュー株優位の展開が続いています。大型バリュー株は+0.19%の小幅上昇で5週連続の上昇となりました。小型バリュー株も+1.74%で10週連続での上昇です。小型グロース株も+0.76%と7週連続で上昇しました。これに対して大型グロース株だけが▲0.93%、3週ぶりに反落しています。
東証プライム市場の騰落レシオは一段と上昇し、週末値は151.68%まで高まりました。過熱圏とされている120%ラインをこれで21日間、連続して超えています。
日経平均のサイコロジカルラインは週初に「9」まで上昇した後、週末まで「8」の高水準を続いています。
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TOPIX-17業種の騰落では12業種が上昇し、5業種が下落しました。
値上がり率の大きなセクターは「自動車・輸送機」、「エネルギー資源」、「不動産」の順です。
「自動車・輸送機」は、ホンダ(7267)が年初来高値を更新し、トヨタ自動車(7203)も直近高値を更新しています。トランプ関税に翻弄されていた少し前までの総悲観ムードは嘘のように晴れました。スズキ(7269)、マツダ(7361)も上昇が目立っています。
自動車部品でもアイシン(7259)、トヨタ紡織(3116)、東海理化(6995)、豊田合成(7282)のトヨタグループ各社がしっかりしており、NOK(7240)、大同メタル工業(7245)などが一斉に上昇しました。
財務省が水曜日に発表した7月の貿易統計によれば、自動車の輸出単価は6か月ぶりに前月比でプラスに転じたようです。日本メーカーが負担してきた関税によるコスト高は徐々に販売価格に転嫁されつつあるようです。
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値上がり第2位の「エネルギー資源」でも。INPEX(1605)、ENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)などの主力銘柄がそろってじり高基調を維持しました。
「不動産」も同じような状況です。三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、住友不動産(8830)、野村不動産HD(3231)、東急不動産HD(3289)の大手不動産がいずれも堅調です。
週を通じてセクター間の循環物色が活発化しました。さまざまなセクターがごく短期間だけ株価が急に上昇し、すぐに鎮静化するという動きを繰り返しています。
海外投資家の買いが強まると循環物色が強まるという傾向が過去にもありました。確かめようがないのですが、現在もそのような状況にあると考えられます。
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反対に、値下がりしたセクターの上位には「機械」、「銀行」、「情報通信・サービス」が登場しました。いずれも下げの目立った銘柄は大型株に限られていて、大多数の中・小型株はしっかりしています。
「機械」セクターではSMC(6273)、DMG森精機(6141)、ツガミ(6101)、竹内製作所(6432)などは軟調です。しかし自動車部品に近いジェイテクト(6473)、NTN(6472)、リケンNPR(6209)は正反対といってもよいほど堅調な動きです。
「銀行」セクターも同様です。軟調だったのは三菱UFJ(8306)、三井住友FG(8316)、りそなHD(8308)の大手銀行だけで、他の地方銀行はほぼ全面高と言ってもよいほどの堅調さでした。
いよぎんHD(5830)、しずおかFG(5831)、京都FG(5844)、九州FG(7180)、群馬銀行(8334)、ほくほくFG(8377)、大分銀行(8392)など多くの地方銀行株が週末にかけて年初来高値を更新しています。
「情報通信・サービス」でもソフトバンクグループ(9984)やコナミHD(9766)、トレンドマイクロ(4704)の軟調さが目立っていますが、そのほかの銘柄の多くはしっかりした動きを保っています。
ソフトバンクグループがインテルに20億ドル(3000億円)を出資すると発表しました。トランプ政権の意向と歩調を合わせての判断ですが、インテル製半導体がどこまで成功するかはまったくの未知数です。
ただしDX関連企業の多いこのセクターは業績好調の企業が多く、短期的に急騰した少数の銘柄を除けば、それ以外の銘柄の株価には底堅さが目立っています。
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調整含みの株式市場の動きではありますが、新しい相場の芽も育っています。
宝ホールディングス(2531)はアクティビストの
(後略)
