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2023年10月2日

9月末を通過、配当金の権利確定で株価は週末にかけて下落

鈴木一之

鈴木一之です。10月になりました。1週間前に「暑さ寒さも彼岸まで」と書いたばかりですが、一向に涼しくなりません。

仲秋の名月は美しい姿を見ることができましたが、いまだに真夏日が続いています。異常気象の猛暑はまだ継続中ということです。

IEA(国際エネルギー機関)は今週、パリ協定を達成するには再生可能エネルギーの設備を2030年までに現在の3倍に拡大するように提言しました。ただでさえ遅れている日本の再エネ設置のペースをさらに加速させなくてはなりません。

地球はどうなってゆくのでしょうか。

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中国では中秋節と国慶節が重なり8連休の大型連休が始まりました。なんでも連休中に20億人が移動するそうです。

そのせいもあって、先週の木曜日は午後から日経平均が一時▲700円近くまで急落しました。中国の連休前に株式のポジションを手仕舞っておこうという機運が高まったそうです。

このところの株価の動きは、まるで予想もしなかった理由によって動くことが増えているような気がします。すべてを手に取るように予想できるわけではありませんが、意外感の強い理由による上下動が激しくなっているように思えてなりません。

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先週も株価を揺さぶる材料には事欠かない1週間でした。

米国ではUAW(全米自動車労組)のストライキが開始から半月が経過しても解決のメドが立ちません。バイデン大統領は議会での財政交渉の最中ですが、自らデトロイトに赴いて労組への支持を表明しました。

UAWに限らず米国ではストが頻発しており、それが個人消費を押し下げているとされます。カンファレンスボードが発表した9月の消費者信頼感指数は103.0(▲5.7)と大きく低下して4カ月ぶりの低さとなりました。ガソリン価格の上昇も影響していると見られます。

FOMC後の長期金利の上昇は依然として続いており、米10年国債金利は4.6%に乗せています。この7-9月は金利の上昇(債券価格の下落)と株価の下落が世界中で起き、1年ぶりに世界の株安・債券の同時下落が進んだ、と日本経済新聞が伝えています。

進んでいるのは株安ばかりではなく、原油高も進行中です。WTI先物は9月28日に一時95ドル台にまで上昇しました。1年1か月ぶりの高値です。

サウジの減産継続の決定からまもなく1か月となりますが、供給面ばかりでなく需要サイドからも買い材料が集まるようになっています。とりわけ中国の需要に関心が集まっています。

IEA(国際エネルギー機関)の需要見通しによれば、今年の中国の需要は1月の1589万バレル/日から1629万バレル/日に上方修正されました。世界の原油の総需要の増加分の7割以上を中国が占めています。

原油高がインフレ心理に火をつけ、それがまた金利の上昇に拍車をかけています。

仮に米議会での財政交渉が暗礁に乗り上げて政府機関が閉鎖されたら、ムーディーズは米国債の信用リスクが高まるとして国債の格下げの可能性を警告しています。それもまた金利上昇に拍車をかけています。

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最上位の格付けを今も維持しているムーディーズでさえ格下げの意向を持っている割に、ドルは一貫して買い進まれています。今週は1ドル=149円台後半までドル高・円安が進みました。

150円に乗せると政府・日銀による為替介入が警戒されます。岸田首相は9月26日の閣議で、10月末までに経済対策をまとめるように指示しました。物価、賃上げ、投資促進、人口減少、国土強靱化、の5本柱が中核です。この中で「減税」にも踏み込む意向が示されました。

臨時国会は10月20日に開かれることが決定され、冒頭での解散・総選挙もあり得るとの観測も強まっていました。しかし週末に岸田首相は、11月中に補正予算を審議することを明言しています。今回も解散・総選挙は見送られることとなりそうです。

一方で企業サイドの動きはきわめて活発です。

ホンダは初の量販型EV「プロローグ」の詳細を発表しました。GMとのとの共同開発で来年早々に発売します。GMの北米工場で生産するためインフレ抑制法の補助金(7500ドル)の対象になる可能性が大きいということです。

反対に三菱自動車は、中国での自動車生産から撤退する模様です。中国でのEVのシェア確保はむずかしいと判断したことが理由です。

すでに今年3月から生産は停止しており、人員整理の方向も決めており、その分を他の東南アジアに振り向けます。いよいよ日本企業の中国からの撤退が本格的に始まる気配が見えつつあります。

半導体製造装置のASMLは、ラピダスの北海道の拠点のそばに技術支援のための拠点を新設します。円安と経済安保の両面から、国内への製造業回帰の流れが定着しつつあるようにも見えますが、次の新しい政策展開が待たれるところです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが続落しました。週間の下落率は▲2.23%となり、前の週の▲2.15%に続いて大きく下落しました。ここには9月末の配当落ち分(▲220円強)が含まれています。

規模別の株価指数では、大型株指数(▲2.51%)の下げが引き続き大きく、続いて中型株指数(▲1.83%)、小型株指数(▲1.42%)といずれも軟調でした。

スタイル別では、それまでのバリュー株優位、グロース株不利の流れが逆転しています。バリュー株の下げは▲3.11%まで拡大しており、それに対してグロース株は▲1.19%の下落にとどまりました。

金利上昇でグロース株が下落するという、これまでの流れが変わりつつある可能性が見えてきました。東証マザーズ指数は逆行高で4週ぶりに反発しました。

騰落レシオは9月27日に133.35%を記録したあと低下しつつあります。週末は111.89%まで下がり、9月1日以降、18日連続していた過熱圏の120%を下回りました。日経平均のサイコロジカルラインは「4」に低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、1業種だけが値上がりし残りの16業種が下落しました。

唯一の値上がりセクターが「医薬品」です。前の週の最下位から逆転してトップとなりました。

武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)は下がっているものの、2月決算の久光製薬(4530)、12月決算の中外製薬(4519)など、配当落ちとは無関係の銘柄の上昇がセクター指数を押し上げました。

値下がりの小さかったセクターは「食品」と「小売」です。ここでもグリコ(2206)、

(後略)

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鈴木一之