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2025年9月30日

9月相場の最終週、日経平均は5週連続で上昇、最高値を更新

鈴木一之

鈴木一之です。中央銀行ウィークの翌週、株式市場は穏やかな展開が続きました。日経平均は火曜日の祝日休場をはさんで3日連続で史上最高値を更新しています。

週間ベースでは5週連続の上昇です。週末は受渡ベースで9月末の権利付き最終日だったこともあって下落しましたが、総じて堅調な1週間でした。

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先週の日経平均の値動きです。

・9月22日(月):45,493円(+448円)
・9月23日(火):ーーーー(休場)
・9月24日(水):45,630円(+137円)
・9月25日(木):45,754円(+124円)
・9月26日(金):45,354円(▲400円)

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あいかわらず世の中全体で見ると不安定な状況が続いています。

週明け、欧州ではデンマークの首都・コペンハーゲンにロシアからのドローンが再び飛来して、空港や空軍基地、市民生活を脅かしています。ドローンが飛んでくるということはそのまま空爆される可能性に直結するため、いやでも警戒レベルは引き上げられます。

反対に攻撃側のコスト負担は大幅に抑えらえているため、冷戦はより陰湿なものになっています。NATO軍は飛来するドローンをいちいち撃墜してはいませんが、静かに緊張が高まっています。

トランプ大量は国連総会に出席し、国連が世界の紛争解決にまったく貢献していないと猛烈な批判を繰り広げました。言葉づかいは強烈ですが、ある意味ではこの批判は的を得ています。国連決議では戦争は止めることはできません。東京市場では三菱重工業(711)、IHI(7013)などの防衛関連株が久しぶりに上昇する場面が見られました。

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物色の中心は引き続き生成AI関連株、データセンター関連株、半導体株に向かっています。

先週はエヌビディアがオープンAIに対して最大で1000億ドル(15兆円)の投資を行うとのニュースが世界を駆け巡りました。この資金によってオープンAIは10ギガワット級のデータセンターを構築する計画です。

この巨額投資によって400万から500万個のGPUが必要となる、とエヌビディアのジェンスン・ファンCEOは説明しました。ここから東京エレクトロン(8035)、レーザーテック(6920)など出遅れ気味の半導体関連株が一斉に物色されました。

ソフトバンクグループ(9984)も上場来高値を更新し、時価総額で東証プライム市場の第2位となる28.7兆円に浮上しました。

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オープンAIのサム・アルトマンCEOは、10年後の「人工超知能の時代」には600兆円の収益を生み出すとの前提で、1ギガワットのAIインフラを毎週生み出す工場を作るという構想を抱いています。そのためにデータセンターの整備を急ぎ、世界中で巨額投資が繰り返されています。

しかし半導体は浮き沈みの激しい業界です。巨額投資→関連企業の好業績、株価急騰→過剰投資→売上と株価の急落、という流れが繰り返されています。今回もオープンAIに対するエヌビディアの投資が、ぐるっと回ってエヌビディアの売上増につながるという「循環投資」のリスクを指摘する声も聞かれます。

木曜日まで上昇していた半導体関連株は、金曜日には反対に軒並み急落しました。ひとつのニュースを好材料と受け止める流れと、悪材料と受け止める流れが今の半導体セクターには常に存在しています。

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9月末は株式需給の面で不安定な状況に陥りやすい季節です。

前週は日銀金融政策決定会合でETFの売却が決定されました。株価が史上最高値をつけているこのタイミングでしか成しえない決定と受け止められていますが、計算上は100年にも及ぶ十分な売却時間をかけて実行する計画であることから、いまのところ株価上には大きな影響は見られませんでした。

ただ、日経平均の値動きに影響の大きなファーストリテイリング(9983)の影響度が徐々に低下しているところを見ても、ETF売却の思惑がプラスかマイナスか、どちらかに作用していることは十分に考えられます。

来年後半から始まるTOPIXの採用銘柄の変更もボーダーライン上にいる企業の間では意識され始めてきました。

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一方で長期金利は上昇を続けています。これも半期末要因のなせる業と言えそうです。週明け月曜日は権利落ち初日で、受渡ベースでは10月相場が始まります。

盛り上がりに欠ける自民党総裁選も1週間後には投開票を迎え、新しい日本のリーダーが決定します。

トランプ政権はこのまま突き進むことができるのか。米国経済は持ちこたえられるのか。なにか、どこかに大きな変化の出てきそうな下半期相場がいよいよ始まります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXは反落しました。上昇率は+1.25%に達し、前週の▲0.41%の下落から大きく切り返しています。JPX日経中小型株指数もすぐに反発しました。

規模別指数では大型・中型・小型株そろって反発しています。大型指数の上昇が+1.34%で目立っていますが、中型株指数も+1.00%、小型株指数も+1.29%としっかり上昇しました。

反対に東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は再び軟化しました。

スタイル別ではバリュー株が優勢です。大型バリュー株は+1.61%、小型バリュー株も+1.86%とグロース株の上昇を上回りました(大型グロース株は+0.83%、小型グロース株は+0.68%)。

東証プライム市場の騰落レシオは、週末は115.47%で引けました。木曜日に109.89%まで低下しています。110%を割り込むのは7月7日以来のことです。日経平均のサイコロジカルラインは「9」まで上昇し、週末は「8」で終わりました。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、16業種が値上がりし、「医薬品」の1業種だけが値下がりしました。

値上がりセクターの上位は「エネルギー資源」、「銀行」、「食品」です。テクノロジーセクターが週末に軟化して、インフレに強い銘柄ばかりが残っています。

値上がり第1位の「エネルギー資源」は10週連続で株価が上昇しました。INPEX(1605)、石油資源開発(1662)、ENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)が連日のように上値を追いかけています。

原油価格は強含みですが、さほど大きくは上昇していません。それでも金、銀、銅市況が上昇力を強めており、資源セクターの株価上昇を支えています。伊藤忠(8001)、丸紅(8002)、三菱商事(8058)など総合商社も堅調な値動きです。

世界有数の投資ファンドである米国のKKRとブラックストーンが米国センプラの展開するLNG事業に170億ドル(2.5兆円)の投資計画を明らかにしました。電力需要の拡大を見越して資源インフラ投資を加速させています。

値上がりセクターの第2位は「銀行」です。三菱UFG(8306)が上場来高値を更新し、みずほFG、三井住友FG(8316)から地方銀行株まで、銀行株が軒並み上昇しました。

日銀のETF売却決定がきっかけとなって、利上げの早期再開の見方が再び高まっています。

値上がりセクターの第3位は「食品」です。JT(2914)の株価上昇がリードしていますが、ニップン(2001)、日清粉(2002)、グリコ(2206)、日本ハム(2282)、日清オイリオグループ(2602)など主だった食品株が軒並み上昇しました。

製品価格の引き上げを実施しやすいセクターとして、食品株もインフレに敏感な業種として認識されています。オリオンビール(409A)の新規上場も刺激材料となったようです。

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一方で「医薬品」は値下がりし、ほかにも「金融(除く銀行)」、「建設・素材」が先週の上昇力の弱いセクターとなりました。

「医薬品」に関してはトランプ関税があらためて意識されました。トランプ大統領は10月から輸入医薬品に対して100%の追加関税をかけると明らかにしました。

日本は最恵国待遇の扱いで15%関税のままで済みますが、それでも武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)、第一三共(4568)、大塚HD(4578)など主だった製薬メーカーが軒並み安となっています。

上昇力の弱いセクターで「金融(除く銀行)」が目立っています。東京海上HD(8766)、第一生命HD(8750)、T&DHD(8795)などの生損保の下げが目立っています。

「建設・素材」では週初に大成建設(1801)、

(後略)

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鈴木一之