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2025年10月7日
10月相場がスタート、半導体全面高、自民党総裁選で日経平均は最高値更新

10月入りとなった先週はなんと重要ニュースの多い週だったことでしょうか。
米国の政府機関の一部閉鎖問題で週が始まり、月初の米国のマクロ経済データも相次いで明らかになりました。生成AI・データセンターを巡るテクノロジー企業発の提携ニュースも相次ぎ、そして週末には自民党総裁選です。
それらのニュースがすべて米国と日本の株価上昇につながり、下期相場が始まった東京株式市場にも大きなプラス効果をもたらしています。日経平均は週末にかけて大きく上昇して終値ベースの最高値を更新しました。
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週初は米国の政府機関の一部閉鎖の不安が市場には充満していました。
トランプ政権と野党である民主党との間でつなぎ予算の協議が9月30日までに成立しなかったため、政府機関の一部が10月1j日から閉鎖されることとなりました。政府機関の閉鎖は、第1次トランプ政権の2018年12月-2019年1月以来のことです。
その影響は空港、国立公園、生活保護の食料支援、経済指標の公表にまで広く影響を与えます。金融市場が毎月の月初、特別の注意を払っている雇用統計の発表も延期されることとなりました。
米国の連邦政府の職員は230万人です。政府機関の一部閉鎖によってそのうちの3割、75万人が影響を受けるとされています。給料の支払いが停止され(閉鎖期間が終われば支払われる)、混乱が収まらなければ景気にも影響を与えると見られています。
最高値圏にあった株式市場はこれによってドル相場は対円で一時は146円台半ばまで円高・ドル安になりましたが、週後半にかけて再び高値圏での上昇基調に戻りました。マーケットを支えたのは長期金利の低下とテクノロジー企業の堅調さです。
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日本でも半導体関連株が幅広く物色されました。代表格はフラッシュメモリのキオクシアHD(285A)です。10月2日(木)はストップ高まで上昇しました。
キオクシアはエヌビディアからの要請を受けて、AIサーバー向けにデータの読み出し速度を従来比で100倍高めたSSD(記憶装置)を開発します。
今や生成AI向けに欠かせないエヌビディアのGPUは、超高速の演算処理のためにHBM(高性能メモリ)が使用されてきました。しかしHBMは容量当たりの価格が高いため、価格の低いNAND型フラッシュメモリをこれまでとは異なる方式でGPUとSSDをつなぐことで、HBMの役割を置き換えることを狙います。
米国ではサンディスクの株価が急騰しており、それもキオクシアHDの株価上昇の支援材料となりました。半導体セクターの物色に一段と広がりが見られます。
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10月3日(金)には日立(6501)の株価が+10%の急騰を演じました。前日にオープンAIとデータセンター向けの送配電技術で提携したことが材料となっています。
オープンAIのサム・アルトマンCEOが日本を訪れ、日立と戦略的パートナーシップを締結しました。今回の提携ではデータセンターに供給する電力消費量の低減が目的です。日立が送電・配電設備、空調設備を提供してデータセンターの電力消費量を抑制します。
さらに富士通(6702)が続きます。エヌビディアとAI向け半導体を共同開発すると発表しました。
富士通の半導体はスーパーコンピューター「富岳」でも採用されており、2030年までにエヌビディアのGPUと高速で接続して省エネ性能を高めたチップを開発します。両社はデータセンター、ロボット、自動車向けを動かす「フィジカルAI」の需要を開拓するとしています。
これらの事例では日本の省エネルギーに関する技術が大きな役割を担うことになります。2030年に向けて電力消費量が現在の6倍を超えるまで爆発的に拡大すると予想されています。しかし既存の電力発電設備の拡張だけではとうていまかなうことができません。
日本の省エネに関する技術が今以上に重要性を増すことになります。関連する企業群のすそ野は広く、AI革命相場は新たな段階を迎えつつあるようにも見えます。
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先週の東京株式市場は、TOPIXが反落しました。下落率は▲1.82%となり比較的大きめです。日経平均の上昇ほどにはTOPIXはプラス方向には反応していません。JPX日経中小型株指数は▲3.43%と下げが目立っています。
規模別指数も同様です。大型株指数は▲1.35%の下落にとどまっていますが、中型株指数は▲2.35%と下げ幅が広がり、小型株指数も▲3.38%とさらに下落しました。東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は▲4.21%と軟調です。
スタイル別ではバリュー株の反落が目立ちます。大型バリュー株が▲2.85%、小型バリュー株が▲3.88%の下げに対して、大型グロース株は▲0.35%の下落にとどまりました。半導体株の上昇が支えとなっています。小型グロース株は▲2.86%と軟調でした。
東証プライム市場の騰落レシオは、水曜、木曜日に100%の大台を下回りました。6月16日の98.28%以来のことです。週末は103.37%で引けました。日経平均のサイコロジカルラインも9月6日以来の「6」に低下しました。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、2業種だけが上昇し、15業種が値下がりしました。
上昇したセクターは「医薬品」と「電機・精密」の2業種です。下落しましたそれに続くのが「鉄鋼・非鉄」です。
「医薬品」の上昇は、その前週の下落が反動高に変わったことが大きいと見られます。「医薬品」は前週にトランプ大統領が100%の追加関税を輸入医薬品にかけると言及して急落しました。
その反対の動きが広がったのが株価上昇の最も大きな要因です。
米国ではファイザーの株価が急騰しています。トランプ政権との間で薬価引き下げに合意したことがその理由とされています。
トランプ政権は製薬会社に対して、メディケイド(低所得層向けの公的医療保険)用に他国で提供する最も安い価格を適用することを求めており、ファイザーがその条件を受け入れることに合意しました。
同時にファイザーは、米国で700億ドル(10兆円)の設備投資を行うことを条件に、輸入医薬品に対する関税の適用を3年間猶予するという条件を勝ち取りました。これが他の医薬品株にもプラスに作用しています。
日本では第一三共(4568)、大塚HD(4578)、協和キリン(4151)、中外製薬(4519)の株価が前週の急落から反発しています。しかし武田薬品工業(4502)、塩野義製薬(4507)、エーザイ(4523)の株価は軟調なままで、全面的な株価回復には至っておりません。
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値上がり第2位のセクターは「電機・精密」です。先週の株式市場では引き続き物色の中心に位置しています。
キオクシアHD(285A)、アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)、スクリーンHD(7735)、KOKUSAI(6525)に始まって半導体関連株が連日のように活況を呈しています。
それとともにTDK(6762),村田製作所(6981)、太陽誘電(6976)の電子部品株も堅調でした。週末には日立(6501)、富士通(6702)が目覚ましい上昇を演じており、出遅れ株を順番に物色する動きが目立っています。
しかし一方ではソニーグループ(6758)をはじめ、NEC(6701)、ファナック(6954)、キヤノン(7751)、ヒロセ電機(6806)、サンケン電気(6707)などは軟調です。必ずしも全面高という展開ではありません。
値上がり第3位のセクターは「鉄鋼・非鉄」です。ここでもJX金属(5016)、三井金属(5706)、住友金属鉱山(5713)に買い人気が集中しており、他の銘柄への横への広がりはさほど見られません。
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一方で値下がりセクターのトップは「エネルギー資源」です。前週まで10週連続で上昇していましたが、それが反落に転じました。
中心的な銘柄であるINPEX(1605)、石油資源開発(1662)、ENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)がいずれも反落しています。
値下がりセクターの第2位は「不動産」でした。このセクターも前週までは堅調でしたが、三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、野村不動産HD(3382)、大東建託(1878)などがそろって下落しました。
先週の株式市場では日経平均が最高値を更新したのに対して、このような堅調だった銘柄が軟化する動きが目立っていました。
値下がりセクターの第3位は「小売」でした。しまむら(8227)、アンドエスティ(2685)が決算発表で急落し、マツキヨココカラ(3088)、ウエルシアHD(3141)、JINS(3048)、パルグル-プ(2726)、エービーシー・マート(2670)も軟調でした。
人件費、物流費、家賃、光熱費の上昇に売り上げの伸びが追いつかず、インフレがデメリットに作用する銘柄として小売セクターの今後の動向が気になります。
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10月4日(土)に自民党総裁選が実施され、決選投票による2回目の投票で小泉進次郎・農相を破り、高市早苗・前経済安全保障相が第29代総裁に選出されました。
臨時国会は10月15日に召集される予定で、
(後略)
