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2022年7月26日

FRBは物価高を抑え込む景気抑制に成功?日経平均は7連騰

鈴木一之

◎日経平均(22日大引):27,914.66(+111.66、+0.40%)
◎NYダウ(22日終値):31,899.29(▲137.61、▲0.42%)

「FRBは物価高を抑え込む景気抑制に成功?日経平均は7連騰」

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鈴木一之です。日経平均が7連騰を記録しました。株式市場では株価の居所が急速に変っており、気がつけば日経平均は28,000円の大台乗せが目前に迫ってきました。

コロナ感染者数は全国で過去最高を更新し、北半球では異常高温が日本や中国、欧州で猛威を奮っています。主要国の経済成長の見通しは次々と引き下げられ、それらを反映して企業の決算発表も現時点では弱めの内容となっています。

その中で起こっている現在の株価上昇です。株高の理由のひとつが、FRBによる金融引き締めの効果です。ここまでの急激な金融引き締めが、強すぎる景気をうまくスローダウンさせることに成功し、インフレ抑制への効果が徐々に見られるようになってきたことを好感する動きと見られます。

いよいよ今週は7月FOMCが開催されます。強すぎる景気にブレーキがかかれば、当初予想された「1.0%の利上げ幅」は回避され、0.5~0.75%の利上げ幅にとどまることになります。先週の市場には再び安堵感が戻ってきました。

株価上昇のもうひとつの背景が、思ったほど企業業績は悪くないという点です。日米で決算発表が始まっており、当初は物価高騰による原材料コストの上昇が業績にかなりダメージを与えると見られていました。それが予想されたほどには悪くない、という印象がここまでの実績でかいま見られるようになりました。

「景気にとって悪いニュースは、株価にとってよいニュース」ということです。かつて「適温相場」と呼ばれた時期によく見られた理屈が、インフレ相場のいまもまた引っ張り出され再現されつつあります。違っているのは、金融政策が緩和局面にあるのか、それとも引き締め局面にあるのかという点です。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で上昇しました。上昇率は+3.35%に達し、3月25日の週の+3.78%以来の大きさとなりました。上に述べたような理由で広範囲に物色が広がっています。

規模別指数では、大型株から小型株まですべての規模の銘柄が幅広く物色されています。中でも大型・グロース株(+4.02%)の上昇が前の週に続いて目立ちました。対局にある小型・バリュー株(+3.27%)も先週は大きく上昇しています。

新興市場では東証マザーズ指数が+5.17%と、一段と上昇が目立っています。金利上昇に対する警戒感が薄らいで、グロース株に資金が戻っています。

テクニカル面では、日経平均のサイコロジカルラインは「10」に乗せ過熱圏に入りました。昨年9月29日の週以来のことです。同様に騰落レシオも130%台に乗せ、こちらも過熱圏に入っています。

昨年9月は自民党総裁選が実施され、岸田総理が誕生した時期に当たります。この時の騰落レシオは9月8日~9月30日までほぼ1か月間にわたって過熱圏に居続け、マーケットは大きく上昇しました。売られていた銘柄が一斉に上昇に転じる時にしばしば見られる状況です。景気と企業業績に対する見方が変わりつつあることを示しているかのようです。

東証REIT指数も2週連続で上昇しました。日経平均のボラティリティ指数は20台まで低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターが15業種に広がり、値下がりセクターは2業種にとどまりました。

値上がりセクターのトップは「機械」です。次いで「電機・精密」、「素材・化学」といずれも景気敏感株が並びます。

「機械」セクターの上昇は、ダイキン工業(6367)、SMC(6273)、ダイフク(6383)、クボタ(6326)、牧野フライス製作所(6135)、DMG森精機(6141)、三浦工業(6005)など主要銘柄が一斉に動き出しています。まさに景気敏感株の代表格といった値動きです。

「電機・精密」でもキーエンス(6861)、ファナック(6954)、日立(6501)、富士通(6702)、オムロン(6645)、ソニーグループ(6758)などがしっかりと値を戻して堅調です。

日本航空電子(6807)や富士通ゼネラル(6755)は年初来高値を更新しました。設備投資関連株は引き続きしっかりした値動きとなっています。「素材・化学」でも花王(4452)、日本ゼオン(4205)、富士フイルムHD(4901)が堅調です。

反対に値下がりセクターの上位には「電力・ガス」、「医薬品」、「食品」が登場しました。いずれも前の週まで堅調だったセクターが反対波動で不人気となっています。ただし下落幅はそれほど大きくはありません。

その中で電力株は総じて軟調な値動きとなりました。前週末に岸田首相は記者会見で「年内に最低でも原発9基を再稼働」する方針を明らかにしました。ただしそれらはいずれも西日本方面の原発が想定されており、電力不足がより現実的な東日本の原発は含まれていません。

電力各社とも燃料コストの上昇を電力料金に転嫁する「燃料費調整制度」の上限に達しており、これ以上の電力料金の引き上げはできないところに来ています。ウクライナ問題に対するロシアの強硬な姿勢は、日本にも少なからぬ影響を及ぼしており、ここからの燃料費の上昇分は電力各社の負担となります。収益圧迫への懸念から電力各社の株価は軟調な動きを余儀なくされている模様です。

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最後に、先週起こった様々な出来事をざっと記録しておきます。

ロシアからドイツに向けて天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム」が、定期検査を理由に7月11日(月)から完全にストップしていました。それが現地7月21日(木)をメドに再び稼働することとなりました。これをひとつの買い材料として、世界の株式市場に物色の勢いが戻ってきたと見ることができます。

しかし再稼働と言っても、あらたな供給量は本来契約している分の7割カットで再開される模様で、ロシアがガス供給を武器に欧州全域に圧力をかけている疑いは晴れたわけではありません。

折しも欧州は気温が40度を超える記録的な熱波に見舞われ、冷房用のガスがなければ健康被害にも一段と広がりかねません。日本も他人事ではなく、夏の北半球にはエネルギー分野のリスクが依然として強く残っています。

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コロナウイルスのオミクロン変異種は世界中で急拡大を迎えています。日本でも7月23日(土)の新規感染者数は全国で3日連続で20万人を超えました。東京では3万人、大阪でも2万人超の日が定着しつつあります。

専門部会は感染拡大の「第7波」に入ったとすでに認定しました。「BA.5」は若い世代の感染者が多く、重症患者がそれだけ少ないのが特徴ですが、それでも全国的に病床のひっ迫度が高まっており医療機関は警戒感を強めています。

米国ではバイデン大統領がウイルス検査で陽性となり、隔離しながら執務を続けています。日本では大相撲・名古屋場所で休場する力士が続出し、「不戦勝・不戦敗」ばかりで幕の内の取組がまともに組めない状況となっています。プロ野球、サッカーJ1、世界陸上でも選手の感染者の増加が相次いでいます。

それでも各国政府は行動規制はかけない方針を採っており、日本もそれにならって新たな規制措置は発出されていません。しかし暑さもあって人々は自発的に行動を抑制しているようで、繁華街の人の流れが減少している様子が感じられます。

米国でも屋内でのマスク着用が求められつつあります。結果的にはこのようなウイルス拡大が経済再開を遅らせるという「景気減速は市場にとってグッドニュース」と受け止める動きに拍車をかけています。

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マクロ経済指標では、先週は住宅市場の動向が注目されました。

7月20日(水)に発表された米6月・中古住宅販売戸数は512万戸(前月比▲5.4%)となりました。5かカ月連続のマイナスです。1月に649万戸のピークを記録してからは減少傾向が続いており、2020年6月の484万戸以来の水準になっています。

金利の上昇で住宅ローンの申請件数は22年ぶりの低水準に落ち込んでいます。FRBの政策効果はこのようなところに現れるようになっています。物件価格の高騰も需要を冷え込ませていると見られます。

マンハッタンの賃貸住宅市場では、6月に1か月の家賃が平均で5058ドルに乗せたそうです。5000ドルという大台は初めてで、5000ドルと言えば1ドル=135円換算で67万円にもなります。これだけの月の家賃支払いを若い世代が行うのは無理で、米国ではアパートを借りるのも難儀しそうです。

米国は消費者物価指数(エネルギーと食料を除くコアCPI)の上昇に最も寄与しているのが家賃の上昇だとされています。それだけに住宅価格の上昇を抑えるための利上げ政策が徐々に効果を発揮しているのは間違いなく朗報と言えそうです。

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マクロ指標ではもうひとつ、経済見通しの引き下げが相次いでいます

来日したIMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事は、日本経済新聞のインタビューに応えて、7月の世界経済見通しを下方修正すると明らかにしました。IMFが成長率見通しを引き下げるのは今年3回目のことです。

理由としてゲオルギエバ氏は、世界的なインフレ、急速な引き締め策、ドル高による新興国のドル建て債務問題、そして中国経済の減速、の4つを挙げています。

前回(4月)は世界見通しを6.1%から3.6%へと大幅に引き下げたばかりですが、7月の新たな予測では引き下げの後にもさらに下方修正リスクがあるという見立てとなっています。IMFの見通しは7月26日(火)に発表される予定です。

7月21日(木)にはアジア開発銀行も、今年のアジア46か国の成長率見通しを明らかにしています。そこでは4月時点の5.2%から4.6%へと引き下げられました。中国のロックダウン、食品・エネルギー価格の高騰が理由です。

日本政府も2022年度の成長率見通しを近く発表しますが、おそらく2%前後となります。1月時点の3.2%から引き下げる方向で、ウクライナ問題、中国のゼロコロナ政策、物価高による個人消費の減速が理由とされています。

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物価は高止まりの状態が続いています。7月22日(金)に総務省から発表された6月の消費者物価指数は、総合指数が101.7(前年比+2.2%)の上昇となりました。10か月連続の上昇で、上昇幅は3か月続けて2%を超えています。エネルギー、食品、エアコンなどの耐久財の上昇が影響しています。

7月20~21日には日銀の金融政策決定会合が開催され、現在の金融緩和策の維持が決定されました。物価見通しは4月会合の1.9%から2.3%に引き上げられ、実際の消費者物価も日銀の目標である2%の大台を超えていますが、しかし今回の金融政策でも政策変更はありませんでした。

イールドカーブ・コントロールは継続され、指値オペもそのまま続きます。世界の大手機関投資家の中には、日銀の政策変更を見込んで日本国債をかなり空売りしていると聞きます。しかし日銀の政策は微動だに揺るぎません。

IMFのゲオルギエバ氏もインタビューの中で、世界的なインフレによって世界経済は大きく減速することになり、いずれ金利は低下するので日銀の現在の緩和政策は正しい、と述べています。

株式市場では日銀会合での「現状維持」の決定を受けて、木曜日の午後から小幅ながら上昇に転じました。マーケットが日銀の政策決定を受けてわずかでも変動するのは久しぶりのことです。それだけ「政策変更」が予想されていたということでしょうか。

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日米で企業決算の発表が相次いでいます。

米国ではゴールドマン・サックスの4-6月期決算は、

(後略)

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鈴木一之