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2025年8月12日

TOPIXが最高値を更新、米緩和観測、関税15%、企業業績があと押し

鈴木一之

月曜日、日経平均は一時▲900円近く下落して、4万円割れからスタートしました。前の週末に発表された7月米雇用統計が予想を大幅に下回る結果となったことから、米国の株式市場が急落し、それが週明けの東京市場にも波及すると心配されました。

案の定、大幅安での週明けとなったのですが下げたのはここまでです。月曜日の米国市場で、NYダウ工業株が+585ドルの大幅上昇を記録して、先週金曜日の下げ分の大半を取り戻しました。

7月の雇用統計が予想を下回ったことによって、市場はこれを「トランプ関税による景気の後退」とは受け止めず、反対に「FRBの利下げを促進する」とプラスに受け止めた模様です。

投資家心理が「景気の後退」マインドに傾かないのは、足元の企業業績が好調だということにも原因があるようです。現時点でS&P500を構成する中の330社が4-6月期の決算を発表しており、そのうちの75%の企業が市場予想を上回る業績を出しているそうです。これは過去の同時期の65%を上回っています。

マイクロソフトやメタの驚くべき好決算がその象徴です。アルファベット、マイクロソフト、アップル、アマゾン、メタの5社は、4-6月期の決算がすべて増収増益でした。この四半期の純利益の合計は1151億ドル(17兆円)に達したようです。

しかしこれほどの好決算でも、米国のテクノロジー企業は人員削減を進めているのが現状です。米国の調査会社の調べでは、1-7月の人員削減はテクノロジー企業に関しては8.9万人にのぼったそうです。これは前年を+36%も上回っています。中でも7月は単月でレイオフが1.6万人に達し、前年比+78%に達しています。

業績は好調でも、AIを活用することで生産性が上がっているためレイオフも進む。それが現在の米国の経済状況です。いまやアップルのプログラミングの30%はAIが自動で作成しているそうです。

レイオフされても景気はよいので、すぐに次の仕事が見つかる。好景気でも雇用統計は悪化する背景がこのあたりにあると見られます。

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米国のマクロ経済が悪化しても、それが景気の後退につながらず、反対に政策金利の引き下げが促進され、企業業績も好調となれば株価には好都合です。ナスダックは週末にかけて再び史上最高値を更新しました。

これを受けて東京市場でも日経平均、TOPIXが上昇しています。日経平均は木曜日に一時41,000円台まで上昇し、金曜日には一段高で42,000円台に突入しました。TOPIXはいち早く最高値を更新しています。

日本でも企業業績が集中的に発表されており、それがいずれも好調です。

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三菱重工(7011)の4-6月期の純利では682億円(+10%)となり、3年連続して史上最高益を更新しました。発電所向けの大規模なガスタービン、プラント、防衛装備品の伸びが好調を支えています。ガスタービン市場は2021-23年は年40ギガワットだったものが、2024-26年は60ギガワットに拡大した模様です。好決算を受けて株価は史上最高値を更新しました。

同じように三井不動産(8801)の4-6月期の純利益は1242億円(+91%)も拡大しました。Q1での最高益を更新しています。東京都心部の超高級マンションの販売が好調で、オフィスの賃料収入の伸びも好業績に寄与しています。

三菱地所(8802)も4-6月の純利益は319億円(+23%)増えました。こちらも都心部の超高額マンションの販売好調とオフィス賃料の伸びが収益を押し上げています。住友不動産(8830)も同様に好調でしたが、特別損失の計上もあって純利益は737億円(▲1%)の減益となりました。同一業種での業績の差が見られるようになりました。

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注目を集めたのがトヨタ自動車(7203)です。木曜日の午後2時に発表した決算で、今通期の純利益の見通しを、期初時点の3.1兆円(▲35%)から2.6兆円(▲44%)に下方修正しました。期初に2か月分だけ計上した米国の自動車関税の影響を、年間フルに見込んで▲1.4兆円のコスト負担増と修正したことが主因です。通期の売上高の見通しは48.5兆円で据え置いています。

それでも自動車関税は期初段階の27.5%から15%に縮小されます。新しい関税レベルであればコスト削減と製品価格への転嫁で徐々に吸収できると見られます。トヨタも年間の生産台数は1000万台を維持するとしています。発表直後に株価は大きく振れましたが、その後は徐々に落ち着きを取り戻しました。

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ソニーグループ(6758)は通期の純利益が9700億円(▲9%)へと減益ですが+400億円増額しました。営業利益は(金融事業を除き)1.3兆円(+4%)で最高益を更新する見通しです。株価は史上最高値を更新しています。

ソフトバンクグループ(9984)も4-6月期の純利益が4218億円に達し、前年の▲1742億円の赤字から大幅に黒字転換しました。AI投資に傾斜するビジョン・ファンドの収益拡大が寄与しています。同じく株価は史上最高を更新しました。

相互関税は合意文書を作成していなかったことから、軽減措置を巡って最後の最後までドタバタしましたが、赤沢経済財政担当相が訪米して最終的に15%の税率の確約を取りつけました。近々に大統領令が発令されます。

医薬品の250%、半導体の100%、鉄鋼・アルミの50%関税の問題がまだ残っていますが、それらを含めてまったく未体験の新しい時代が始まることになります。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが反発しました。上昇率は+2.56%とかなり大きく(前週は▲0.11%)2週ぶりの上昇で早くも史上最高値を更新しました。

規模別指数では、大型株指数の上昇率が+5.93%と際立って大きくなっています。それに比べると中型株指数の上昇率は+2.60%と小幅にとどまっていますが、中型株は9週連続で上昇しています。小型株指数も5週連続の上昇で+2.01%と堅調でした。

東証グロース250指数(旧マザーズ指数)も+2.40%と反発しています。

スタイル別では、引き続きバリュー株が優勢です。大型バリュー株は+3.25%の上昇で3週連続の上昇、小型バリュー株は+2.28%で8週連続の上昇です。

それに対して大型グロース株は反発し+1.91%の上昇でした。小型グロース株は+1.73%と5週連続の上昇です。

東証プライム市場の騰落レシオ(週末値)は、週末に146.85%まで高まりました。これで12日間連続して過熱圏とされている120%ラインを超えています。

日経平均のサイコロジカルラインは週末に「5」から「6」に上昇したばかりで、依然として過熱感はほとんど見られません。

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TOPIX-17業種の騰落では16業種が上昇し、「医薬品」の1業種だけが下落しました。

値上がりセクターのトップは「不動産」です。決算発表をきっかけに三井不動産(8801)、ヒューリック(3003)、東急不動産HD(3289)、三菱地所(8802)が一斉に動意づいています。

トーセイ(8923)、

(後略)

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鈴木一之