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2024年1月8日

2024年の大発会、日経平均は大幅安から回復、TOPIXは3連騰

鈴木一之

(能登半島地震に関連して)

鈴木一之です。年があらたまりましたが祝賀ムードはありません。元旦の夕方、16時過ぎに発生した能登半島地震で多くの方が不安な日々を過ごしています。そのことが四六時中頭から離れません。

元日からテレビ、スマホを通して鳴り響いた緊急地震警報と津波警報の音量で、震度7の容易ならざる事態が発生したことはすぐにわかりました。

しかし本格的な地震の被害の状況はなかなか伝わらず、夜が明けて少しずつ判明してきた現地の痛ましい光景に凍りつきました。

倒壊した家屋、室内に散乱する家具類、陥没やひび割れが伸びる道路のアスファルト、崩落した山の斜面、液状化が広がった宅地、とても言葉で表せるものではありません。

避難所に逃れても真冬の北陸は寒さがことのほか厳しく、ライフラインが寸断され燃料にも限りがあり、道路の陥没によって救援物資の到着も遅れています。

こうしている間もがれきに埋もれた人々の救助活動が続いています。一人でも多くの方が無事に救出されることを願ってやみません。

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日本は世界有数の地震国です。以前は、関東から東北地方で数多く発生し関西から九州地方は比較的は少ない、と言われたものですが、今では日本の至るところで大地震が発生する可能性が指摘されています。

自治体を中心に地震への備えも手厚くしているのでしょうが、いざ大きな自然災害に遭遇すると想定の範囲外のことばかり起こります。どれほど備えても万全ではありません。被害の発生を覚悟しなくてはなりません。

東日本大震災からまもなく13年が経過し、熊本地震から8年、北海道東部地震から6年になります。首都圏直下型地震や東南海トラフ地震のリスクが警戒される状況で、送電線網をはじめ上下水道、都市ガス、道路、橋梁、老朽化ビル、木造住宅など、どこまでライフラインや社会インフラを強くする整備が進んでいるのでしょうか。

2050年の未来像も重要です。しかしそれとともに普段の暮らしの安全、身の回りの安全をあらためて踏み込んで考えることが必要だと痛感します。

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(相場概況について)

年が改まると相場環境が一変しがちです。今年もそのような幕開けとなりました。

米国の株式市場では株価が下落しています。昨年暮れにNYダウ工業株が連騰に次ぐ連騰で史上最高値を更新していたわけですから、年明けは多少の売り物が先行するのは仕方のないところです。

アップルの「iPhone15」の売れ行きに対して悲観的な見解がアナリストによって指摘され、アップルをはじめとする「マグニフィセント7」がそろって軟調です。

NASDAQは12月7日から19日まで9連騰を達成した後、1日だけ下落してすぐに4連騰に戻り、そして年末年始は5日続落しています。1月5日(金)にようやくプラスに浮上しました。

代わってウォルマート、コカ・コーラ、アメリカン・エクスプレス、スリーエムなど、堅牢な大企業の株価がしっかりしています。

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これには1月3日に公表されたFOMC議事録の内容も影響しています。

昨年12月12-13日に開催されたFOMCでは、3会合連続して利上げを見送り、さらにドットチャートの形状から、来年の利下げ回数は3か月前の2回から3回に増えるとの見方が浮上しました。

マーケットはさらに先走って、来年は6回、ひょっとしたら7回の利下げがあるとの見方に立って、米国の株式市場を押し上げてきたという経緯があります。さすがにそれは楽観に傾き過ぎるとの指摘も広く聞かれましたが、株価の勢いは止まらずに史上最高値更新にまで至ったのです。

3日に公開された議事録では、ボードメンバーの全員がどこかの時点で追加利上げを行うことを想定していることが記されており、引き締め政策を早期に縮小するには慎重なスタンスであることがわかりました。利下げへの転換を催促する市場とはかなり温度差があることが確認されたのです。

これによって金融引き締めの過度な緩和期待が後退し始めており、とりわけ半導体関連株を中心にグロース株が下落して、反対にバリュー株が浮上しやすい状況が再び生まれています。

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東京市場でも年明けから同様の動きが見られました。

再び騰勢が強まっていた半導体関連株が軒並み急落しており、東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)のような株価指数への影響度の大きな銘柄が一斉に▲5%前後も急落する動きが見られました。これによって日経平均が大きく押し下げられています。

しかし一方で、米国で過度な利下げ期待が薄らいだことから、グロース株の下落の反対側にあるバリュー株の一角でメガバンクが一斉に上昇しています。

三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)に始まる銀行セクターは配当利回りも高く、年明けからスタートした「新NISA」経由の個人マネーがかなり流入していると見られています。

11~12月相場にかけて軟調だった地方銀行株も総じて切り返しており、「グロース株vsバリュー株」のシーソーゲームの展開が今年も続きそうな動きを示しました。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが4週連続で上昇しました。立ち合い日数は2日間しかありませんが、上昇率は昨年最終週の+1.28.%に続いて、先週は+1.15%と堅調な展開を維持しました。

ただしこれはあくまでTOPIXの値動きであり、日経平均は週間で▲87円とわずかながら反落しました。4週ぶりの下落です。半導体関連株を中心にハイテクセクターの下落が影響しています。

規模別では大型株(+1.07%)が4週連続で上昇しました。それ以上に中型株(+1.46%)堅調さが目立ち、小型株(+0.71%)も上昇しましたが最も小さな上昇率にとどまっています。

スタイル別では、昨年暮れに上昇の目立ったのがグロース株が逆に軟調で、バリュー株が大きく上昇しました。特に大型バリュー株が+2.72%と9月第2週(+4.43%)以来の大きな上昇となりました。

一方、小型グロース株は昨年の最終週に上昇気運を強めましたが、年明けはそれが反転しました。大型グロース株とともに軟調です。

騰落レシオは年明け2日間で跳ね上がり、107.68%まで上昇しました。週末値は106.24%です。日経平均のサイコロジカルラインは昨年末の「9」から低下して、週末は「7」の中立となっています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落は、13業種が値上がりし、4業種が値下がりしました。

値上がり上位のセクターは「エネルギー資源」、「電力・ガス」、「医薬品」です。

ここでも配当利回りの高い銘柄が選好されています。「エネルギー資源」ではENEOSホールディングス(5020)、出光興産(5019)、コスモエネルギーHD(5021)がそろって上昇しました。

「電力・ガス」でも(東京電力HDを除いた)ほぼすべての電力株が上昇しました。配当利回りという点では多少ばらつきがありますが、料金の値上げが浸透した電力会社は業績の安定性を取り戻しつつあることが評価されています。

「医薬品」も武田薬品工業(4502)、アステラス製薬(4503)が底値圏から上昇しました。

反対に値下がりセクターの上位は、「電機・精密」、「素材・化学」、「機械」となりました。いずれも半導体関連株の下げが響いています。

電機セクターでは、レーザーテック(6920)、東京エレクトロン(8035)、キーエンス(6861)、ソニーグループ(6758)、村田製作所(6981)など主力銘柄がいずれも軟調でした。米国でアップルおよび半導体セクターが続落しており、日本でもその影響が出ています。

同様に機械セクターでも、ディスコ(6146)、マルマエ(6264)、ローツェ(6323)など、昨年暮れににぎわった半導体の設備投資関連株が軟調でした。

「素材・化学」も信越化学工業(4063)の軟調さに引きずられがちですが、それでも旭化成(3407)、レゾナックHD(4004)、三菱ガス化学(4182)、三井化学(4183)、住友ベークライト(4203)など、上昇基調を強めている化学メーカーがいくつも見られます。

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年明けは近年にない波乱の幕開けとなりました。忘れてならないのが「新NISA」がスタートした点です。

2024年は「NISA元年」と言ってもよいほど、まったく新たに生まれ変わったNISAの初年度です。そのNISAを活用した個人投資家マネーは想像していた以上に大きな勢力となって株式市場に流れ込んでいるようです。

それは配当利回りの高い銘柄の堅調さが示しています。大発会の軟調な局面でも配当利回りに秀でている銘柄は堅調に推移しています。

それはたとえば、JT(2914)、ソフトバンク(9434)、日本製鉄(5401)、神戸製鋼所(5406)、武田薬品工業(4502)、三菱商事(8058)、KDDI(9433)の動きに現れています。日経平均は軟調ですが、TOPIXはしっかりしているのはこの点にも理由がありそうです。

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これらのNISA関連株に限りませんが、年明けは個々の銘柄の堅調な値動き(半導体関連株を除く)が特に目立ちました。中でも震災からの復興支援銘柄の上昇は群を抜いています。

建設・道路舗装各社をはじめ、ロードローラーの酒井重工(6358)、電設資材の未来工業(7931)、ユニットハウスのナガワ(9663)、建設用棒鋼の東京鉄鋼(5445)、電気工事のユアテック(1934)、トーエネック(1946)、四電工(1939)、そしてなによりも関西電力(9503)、北陸電力(9504)の地方電力の動きです。

能登半島地震が引き金ですが、そればかりではないようです。

地震多発国・ニッポンでは、これまで何度も「国土強靭化のためのインフラ整備」が声高に唱えられてきました。しかし財政難を理由に公共投資は全般に先送りされがちだったように思います。

しかし今後は、日本全土でインフラ整備、老朽化ビル対策を急ぐ機運が一段と醸成されるものと考えられます。

コロナ禍がデジタルトランス・フォーメーション投資を想像を超えて加速させたように、今回の震災が地方自治に欠かせないインフラ整備の必要性を認識させることになる可能性があります。そうなれば現在の復興支援銘柄の動意は決して一過性ではなく、今後も息長く続くことが十分にあり得ます。

同じように不動産セクターにも、三井不動産(8801)、

(後略)

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鈴木一之