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2023年1月10日
今年最初の取引、日経平均は下落でスタートした後は徐々に持ち直し
鈴木一之です。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
激動の2023年が幕を開けました。世界中の誰がどのように予想しても、今年前半には景気の後退を伴う波乱相場が待ち受けていると見られる2023年です。お正月休みが短かったこともあって、さっそく神経質な展開が連日のように見られました。
年末年始には特段の大きなニュースはなく、ウクライナ情勢、物価上昇、金利上昇という昨年暮れから続いている陰鬱なニュースに囲まれて、マーケットでの取引がスタートしました。
2月になればロシアによるウクライナへの軍事侵攻は丸1年が経過します。双方ともに一歩も引かず、解決の糸口が見えないまま、相当の長期戦になるとの見通しがもっぱらです。ユーラシア・グループは今年の世界リスクのトップに「ならず者国家・ロシア」を掲げました。
ここからの焦点は、どのように戦争を終わらせるかです。米国から軍事物資の調達に関する確約を得たウクライナが、ここからは軍事的な優位を握る可能性が出ています。ロシア軍が完全撤退するまで徹底抗戦を取る構えを崩しておらず、そうなる前にロシアが大規模な軍事行動を実施するとの観測も強まっています。
世界はますますブロック化を伴う分断の様相を強めており、ロシア以上に中国経済の行方が気になるところです。
12月31日に発表された中国・国家統計局による2022年12月の総合PMIは「42.6」となりました。前月比▲4.5ポイントの低下で3か月連続で分岐点の「50」を下回りました。昨年6月をピークにほぼ一貫して低下しています。
「ゼロコロナ政策」を緩和したことでコロナ感染が急速に拡大しており、それが中国経済の足取りを一層重いものとしています。
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中国以外でもこの年末年始は、景気が悪化方向にあることを示す話題があちこちで聞かれました。
1月2日にテスラが発表した2022年のEV世界販売台数は131.3万台となりました。前年比では+40%も増えたものの、当初の計画であった+50%を超える伸び率には届きませんでした。昨年暮れに米国では実質的な値下げに踏み切っており、テスラの成長が鈍っているとの見方から、発表直後にテスラの株価は▲12%の大幅な下落に見舞われました。
1月4日にはアマゾン・ドットコムが1万8000人の人員削減計画を発表しました。人員削減の対象となった部門は、当初に予想されたスマートスピーカーなどの端末部門から、ネット通販やバックオフィス部門にまで広がっています。
同じくセールスフォースも全従業員数の1割近い7000人超のレイオフを発表しています。昨年暮れにメタ(旧フェイスブック)が1万超の人員削減を発表して以来、米国のテクノロジー企業のリストラ計画は15万人に達するとの推計も出始めています。
日本では今年も値上げが相次ぎそうです。帝国データバンクの調べでは、昨年の上場食品メーカーの値上げ品目は2万点を超えました。それが今年1-4月も値上げされる食品数はすでに7000品目を超えています。昨年のこの時期よりも5割多いそうで、値上げ幅も平均で+18%に一段と拡大するそうです(2022年は通年で+12%)。
物価上昇のきっかけのひとつとなったサプライチェーンの寸断はなかなか修復されないようです。半導体の需給のミスマッチは昨年後半には解消するという当初の見通しがはずれ、昨年秋以降は急激な需要減少、供給過剰に陥っています。
現時点における半導体需給の見通しでは、今年秋以降にミスマッチは解消されるとのことですが、「過去13年間で最も深刻な需給バランスの崩れを経験している」(マイクロン・テクノロジーのメロートラCEO)渦中でもあり、メーカーは目下のところ大幅な減産に踏み切っています。
半導体という、最も市況変動が激しく需給見通しの立てにくい製品需給が果たして今年はどうなってゆくのか、マーケットのみならず世界中が固唾を飲んで見守っています。
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今週の東京株式市場は、TOPIXが4週連続で下落しました。昨年2月中旬~3月中旬にかけて記録した4週連続以来のことです。ただ1週間の下落率は▲0.84%と比較的小幅にとどまりました。
東証マザーズ指数は2週ぶりの反落となりました。バリュー株の下げは比較的小さく、グロース株の下げが目立ちました。「大型バリュー株が堅調で、小型グロース株が軟調」という動きが強まっています。引き続き金利水準が問われており、東証REIT指数は2週ぶりに大きく下落しました。
テクニカル面では、騰落レシオは78.88%まで低下した後に、81.10%まで回復して週末を迎えています。日経平均のサイコロジカルラインは「4」~「5」の水準を続けたのちに、半月ぶりに「6」の水準まで上昇しています。
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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターが3業種、値下がりセクターが14業種に広がりました。値上がりトップが「電機・精密」で、次いで「「銀行」、「自動車・輸送機」となっています。
「電機・精密」と「自動車・輸送機」は昨年末にかけて大幅に売り込まれたセクターです。それらが一斉にまずは値ごろ感から反発に転じました。
物色の中心となっているのが、電機セクターではソニーグループ(6758)、
(後略)