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2022年11月8日

米FOMCは0.75%の利上げを決定、決算発表で業績相場が強まる

鈴木一之

◎日経平均(4日大引):27,199.74(▲463.65、▲1.68%)
◎NYダウ(4日終値):32,403.22(+401.97、+1.25%)

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鈴木一之です。11月相場に入りました。1年を通じて最も株式投資のパフォーマンスが良い時期として有名な11月相場です。そのアノマリーを純粋に信じて、マーケットをおおいに盛り上げてゆきたいものです。

しかし先週のスタートは悲しいニュースから幕を開けました。韓国のソウルでハロウィンに集まった人々があまりの密集で150人以上も圧死するという、信じられない出来事が起こったのです。日本でもコロナ禍で2年以上にわたって行動が規制され、それが3年ぶりに晴れて解除されてハロウィンで集まった矢先の出来事です。

韓国発の若者文化はポップシンガー、映画、ドラマなど、いまや説明の必要がないほど世界中から称賛され人気の的となっています。その韓国の中心、ソウルの人気スポットの中心地で、前途洋々の若い人たちが大勢亡くなるという出来事は、核戦争の恐怖や物価高など後ろ向きの話題の多い世相にまたひとつ暗い影を投げかけました。

被害に遭われた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

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株式市場は先週も、米国の金融政策の動向を注視し続ける毎日となりました。11月1日-2日にFOMCの開催を控えて神経質な動きが続いています。

10月21日(金)のウォール・ストリート・ジャーナル紙が「11月会合で12月以降の利上げ幅の縮小を検討する」との報道以来、利上げペースがトーンダウンするとの楽観的な見方から、米国株式市場はNYダウ工業株で10月28日(金)まで6日続伸を記録しました。

浮かれているとろくなことはない、というのが今年の相場上の経験です。6連騰の後は冷静になって神経質な動きに戻り、そして今回もFOMCを迎えました。

11月2日に発表されたFRBの決定内容は予想通りの0.75%の利上げで、これによって27年ぶりに4会合連続しての大幅な利上げ実施となりました。FFレートの誘導目標は3.75~4.0%となり、2008年1月以来という14年ぶりの高水準です。

公表されたステートメント(声明文)では、「継続的な利上げが正しい選択」との文言が継続された上で、「金融政策が効果を現わすには時間がかかる」ことを考慮するという文言が付け加えられました。

パウエル議長は記者会見において、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の観測のように利上げのペースが減速することに言及しました。次回の12月会合は利上げ幅が0.5%に圧縮される可能性が強まっています。しかしパウエル議長は、最終的な金利水準の到達点について「これまでの予想よりも高くなる」という見通しにも触れました。

市場の見方としてはかなり強弱感が対立しています。これら一連の内容を受けて、水曜日と木曜日の米国株式市場は激しい値動きとなりました。為替市場ではFOMCの結果発表の直後、利上げ幅が今後は縮小するとの見方から、ドル円相場は一時145円台後半まで円高に進みました。

しかしパウエル議長が、利上げ終了時の金利水準はこれまでの見通しよりも高くなる、という点に触れると、今度は円の先安観が強まり148円台まで押し戻されています。

このような株式と為替市場の動きを見るにつけ、NY市場でもここからの先行きが強気なのか、弱気なのか、どちらか一方向にポジションを大きく傾ける動きが小さくなっているように感じます。先行きに対して判断をつけにくい、きわめて不透明でわかりにくいと誰もが迷っているような状況です。

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実際にパウエル議長は「現代社会において、ここまで強いインフレ率のデータはあまりない」とも述べています。「景気後退が起こるかどうかは誰にもわからない」と言う点にも言及し、FRBも困惑している様子がうかがえます。

イングランド銀行は先週、政策金利の0.75%引き上げて3.0%としましたが、その前週はカナダとオーストラリアの中央銀行が利上げ幅を縮めています。それだけ金融市場のコントロールがむずかしいことが伝わってきます。

カレンダーが1枚めくられ、月が替わったため経済統計もあいついで発表されています。米・ISM景況感指数は、製造業が50.2(前月比▲0.7)、非製造業が54.4(▲2.3)とどちらも2か月連続の悪化となりました。

特に製造業は景気の分岐点である「50」の大台に迫っています。新規受注が49.2(▲2.1)とすでに「50」を下回っており、ドル高の悪影響が米国の製造業に出てきたと警戒されています。非製造業(サービス業)もインフレの持続、金利引き締めがサービス業に影響しつつあるようです。

中国でも10月のPMI(購買担当者景気指数)が発表され、49.2(▲0.9)となりました。分岐点の「50」2か月ぶりに下回っています。新規受注が48.1(▲1.7)でゼロコロナ政策が需要を押し下げています。

週末に発表された米国の10月分の雇用統計は、失業率は3.7%と9月の3.5%から上昇しました。一方で非農業雇用者増は+26万1000人(予想は+20万5000人)、9月の+31万5000人から鈍化しました。このデータも強気と弱気が入り混じる評価となっています。

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決算発表を終えたばかりの「GAFAM」からは、あまりよいニュースは出てこなくなりました。アマゾンは今後数か月間にわたって人材の採用を凍結すると発表しました。

アマゾンの従業員は今年9月末の時点で、1年間で+7.6万人も増加しています。需要の鈍化を受けて10月以降、徐々に採用を凍結する業種の範囲を広げてきました。マクロ経済の情勢が急速に変化しており、それを踏まえて採用活動を見直しています。

ツイッターはイーロン・マスク氏による買収が完了したことで、今後は大規模な人員削減が始まるようです。ツイッターは過去3年間で人員が9割増加したとされており、報道ベースでは社員の半分以上にすでに解雇通知が出された模様です。

人の動きが活発なシリコンバレーでもこれほどの規模のレイオフは珍しいとされています。米国で景気後退が本格化すると、来年に向けてさらに大規模な人員削減が増加する可能性がありそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが続伸しました。2週続けての上昇は、8月第1~第3週にかけて3週連続で上昇して以来のことです。

先週の上昇率は+0.86%と、前の週の+0.91%に続いて小さいものにとどまりました。それ以前の週の下落率も▲0.85%、▲0.45%といずれも小幅安でした。市場の神経質な動きがこのあたりにもうかがえます。

物色は大型株に集中的に向かっており、それまで堅調だった小型株は総じて軟調な動きに変わりました。小型株指数はプラスを保ちましたが、東証マザーズ指数は3週ぶりに反落しています。

グロース株は大型~小型ともにそろって反落し、反対にバリュー株が総じてプラスとなりました。このところ見られたグロース株への資金回帰が早くも反転した形となっています。

テクニカル面では、上昇に転じた騰落レシオは再び低下傾向に向かっています。週半ばには9月以来となる100%超え(104.86%)に達したものの、週末には再び低下し97.68%で終わりました。

日経平均のサイコロジカルラインはサイコロ「7」に浮上した後、再びニュートラルの「6」に低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、値上がりセクターは9業種、それに対して値下がりセクターは8業種と拮抗しました。

値上がりセクターの第1位は「商社・卸売」です。決算発表を行った双日(2768)、

(後略)

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鈴木一之