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2023年9月19日

日経平均が33,000円台を回復、TOPIXは高値更新

鈴木一之

鈴木一之です。9月も半ばだというのに厳しい暑さが続いています。異常気象とかヒートアイランド現象という言葉がまったく聞かれなくなるほど、暑さが当たり前の世の中になってしまいました。

今週末は秋分の日、お彼岸です。暑さ寒さも彼岸まで。季節の変わりめは株価にとっても転機になることが多いものです。

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先週は週初に多少バタバタしたものの、週末にかけて再び力強い上昇を取り戻しました。日経平均は33,000円の大台に乗せ、TOPIXは年初来高値を更新しています。1990年以来、33年ぶりの高値です。

今年の十大ニュースに載るような大きな出来事が一度に噴出しています。プーチン大統領・金正恩総書記の会談、モロッコ大地震、リビア大洪水、アーム(ARM)上場、岸田政権の内閣改造、「iPhone15」発表、そして阪神タイガース優勝。

これらのニュースを押しのけて、日銀の金融政策に関する話題が降って湧いたように広がって週の取引が始まりました。マーケットを取り巻く環境はますます複雑になっています。

きっかけはその前の週の読売新聞オンラインが報じた日銀・植田総裁へのインタビュー記事です。ここからマイナス金利解除の思惑が突如として市場で浮上しました。

記事の内容は「物価目標の達成が可能と判断すれば、マイナス金利の解除を行う」というもので、これまでの発言とはさほど変わることなく、あくまで条件付きの内容です。

ごく常識的な範囲の発言と言えますが、市場では「早期のマイナス金利解除」という観測が広がり大きな反応となりました。

折しもドルが今年の最高値付近まで上昇しています。為替市場は東京が真っ先に取引が始まることもあって、週初は147円から145円台へとドル安・円高に振れて取引がスタートしました。

株式市場では、銀行セクターが週明けから全面高となり、反対に不動産セクターが全面的に急落する展開となりました。月曜日から激しい値動きでスタートして、日経平均も8連騰の直後ということもあり、この先いったいどうなるのだろうという波乱含みの幕開けとなりました。

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そこに原油価格の上昇が加わります。9月5日のサウジアラビアの減産発表をきっかけに原油市況は大きく動き始めましたが、その勢いが止まりません。先週末にはWTI先物で91ドル台まで上昇しました。

世界経済の現状は、中国の景気が示すようにあいかわらず一部では弱く、米国が示すように一部ではきわめて強いという状況です。原油の需要面での買い材料は弱いままですが、それでも原油需給はひっ迫しています。今の上昇の勢いはしばらく続くと見られており、資源エネルギー株が各国で一斉に上昇しました。

米国では9月13日(水)に8月・CPIの発表を控えて、本来であればそれが先週は最大の注目材料となるはずでした。主役はここでもFRBであり、パウエル議長です。

しかしなぜか日銀の植田総裁の発言が市場を揺さぶる展開となり、週前半は意外性に満ちた展開となりました。物価動向と金融政策に対する市場の感度がそれだけ高いということであり、インフレに対する警戒心はまったく緩んでおりません。

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週初の波乱の幕開けとは裏腹に、週が進むにつれて市場の安定感は増す一方でした。米国の8月CPIは前年同月比+3.7%で若干強めの結果となりました。それでも米国の長期金利は低下し、マーケットに安堵感が広がりました。

TOPIXは木曜日に高値を更新し、週末はほぼ高値引けとなっています。ただしテクノロジー株は一段と神経質になっているようです。米国では9月12日にアップルが新型の「iPhone15」を発表しました。

最新スペックの半導体が詰め込まれ、フレームもチタンです。スマホというよりももはやパソコンや高級カメラに匹敵する性能です。最上位機種の「iPhone15 Pro Max」は最低で1199ドル(18万9800円)まで値上がりしましたが人気は上々です。しかし発表直後のアップルの株価は下落しました。

9月14日に半導体のアーム(ARM)がナスダックに上場し、公開価格の51ドルに対して63.5ドルで初日の終値が付きました。時価総額は652億ドル(9.6兆円)に達し、今年最大のIPOは成功したと評価されましたが、翌金曜日は早くも反落しています。

金曜日は半導体株が大きく下落しています。エヌビディアのAI向けGPUはアームの設計仕様が使われているとされ、まさにAI時代のリーディング企業のひとつになるのは間違いないのですが、今は相場の流れが半導体株にはアゲンストです。

金曜日はそのエヌビディアも▲4%近く値下がりしました。半導体セクターの軟調な値動きがここからの株式相場にどこまで影響してくるのか、注意を要するところです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが4週連続で上昇しました。週間の上昇率は+2.94%に達し、前の週の+0.39%を大きく上回って33年ぶりの高値に進みました。

規模別指数では、大型株指数の上昇が群を抜いています(+3.37%)。中型株(+2.52%)、小型株(+1.16%)もそろって続伸していますが、上昇率では大型株指数がかなり大きくなりました。

スタイル別では、バリュー株が+4.25%も上昇したのに対して、グロース株の上昇は+1.48%にとどまっています。東証マザーズ指数は2週連続で下落しました。

騰落レシオは128.54%に高止まりしています。9月1日以降、これで11日連続して過熱圏とされている120%を上回りました。一方で週末の日経平均のサイコロジカルラインは「8」の水準を3日間続け、落ち着いた水準にあります。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、全17業種が値上がりしました。

値上がりセクターの上位は「電力・ガス」、「エネルギー資源」、「自動車・輸送機」となりました。反対に値下がりセクターの上位は「機械」、「小売」、「食品」でした。

値上がりトップの「電力・ガス」は4週連続の上昇です。電力料金の引き上げ、高止まりが収益を大きく改善させる見通しです。原油価格の上昇は市場はさほど気にしておりません。

関西電力(9503)の高浜原発が12年ぶりに再稼働し、収益の安定がもたらされることが評価されていると見られます。関電ばかりでなく、中部電力(9502)、九州電力(9508)、東北電力(9506)など地方電力株も広範囲に年初来高値を更新しました。

値上がり第2位の「エネルギー資源」は原油価格の高騰をストレートに好感しています。INPEX(1605)、石油資源開発(1662)、出光興産(5019)、ENEOSホールディングス(5020)が一斉に上昇しました。

また資源エネルギー株とは対極にある石油化学メーカーでも、三菱ケミカルグループ(4188)、クラレ(3405)、旭化成(3407)、住友化学(4005)が上昇力を強めている点は見逃せません。

値上がり第3位の「自動車・輸送機」では、トヨタ自動車(7203)、ホンダ(7267)が連日のように上場来高値を更新しています。

さらに日産自動車(7201)、マツダ(7261)、スズキ(7269)、SUBARU(7270)、いすゞ自動車(7202)の完成車メーカーも全面高となっており、自動車部品株にも幅広い買いが継続しています。半導体の調達不足が解消に向かい、生産活動が徐々に本格化している様子がこのあたりに表れています。

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値下がりセクターはありませんが、上昇の鈍かった業種は「機械」、「小売」、「食品」でした。

それでも機械セクターでは、引き続きDMG森精機(6141)、荏原(6361)、コマツ(6301)、日立建機(6305)、クボタ(6326)が堅調です。

同じように小売セクターではエービーシー・マート(2670)、

(後略)

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鈴木一之