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2023年9月11日

日経平均は8連騰でストップ、米中対立の激化を懸念

鈴木一之

鈴木一之です。秋の訪れは早いものです。まだ日中の暑さは残っていますが、セミの声はほとんど聞かれなくなりました。桜並木も落ち葉で埋め尽くされています。

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株式市場は軽快に上値を追っていましたが、ついに連騰は8日で途切れました。日経平均、TOPIXは水曜日に8連騰でストップしました。今年3度目となる8日続伸です。これ以上は連騰記録を伸ばすことがなかなかできません。

今週も週初から株式市場はしっかり始まりました。米国が休場でしたが、月曜日からトヨタ自動車(7203)が上場来高値を更新し、自動車株、およびそこに鋼板を納入する鉄鋼株がそろって上昇するなど、大型株が一斉に値上がりを続けました。

火曜日にJFEホールディングス(5411)が、公募増資を含む2100億円のファイナンスを明らかにして下落する場面も見られましたが、それも電磁鋼板の開発、能力増強に関連した資金調達だとわかると、徐々に落ち着きが見られるようになりました。

トヨタ、日立に続いてホンダ(7267)も16年ぶりに上場来高値まで買い進まれ、三井不動産(8801)、JR東日本(9020)、イオン(8267)など内需関連株も幅広く上昇しています。日経平均は水曜日まで一貫して上昇し、あっさりと33,000円の大台を超えました。

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流れが変化したのはその直後です。ひとつには原油価格の上昇がきっかけです。

9月5日(火)、サウジアラビアが7月から続ける100万バレル/日の自主減産を、12月まで3か月延長すると発表しました。

これまでサウジは1か月ごとに自主減産を見直しており、市場では今回も1か月程度の減産延長を予想していました。

それが一度に12月まで3か月の延長を発表したことから、明らかに意表を突かれた形となりました。原油価格はWTI先物で一時は88ドル台前半まで、10か月ぶりの高値まで買い進まれ、週末までその強い地合いを続けました。

ロシアもサウジの決定に歩調を合わせ、年末に向けて30万バレル輸出量を減らすと発表したたため、原油の需給がさらに締まるとの見方が強まりました。これらの決定はインフレの再燃を警戒する株式、債券市場にとって、明らかにサプライズをもたらしました。

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そこに追い打ちをかけるように、週後半のアップルの株価急落が重なりました。中国政府が政府機関の職員に対して「iPhone」を職場に持ち込まないよう指示を出したとされる、アップル製品の使用禁止令がきっかけとなっています。

これで世界最大の時価総額を持つアップルが水曜日、木曜日と大きく下落しました。2日合計で時価総額は30兆円近く減少したとされています。これが日経平均の連騰記録が途切れた主因でもあります。

ブルームバーグによれば、アップル製品の使用禁止令は政府機関だけでなく国有企業にも広がる可能性があるとしています。国有企業に勤める社員数は5600万人を越えるとされており、「iPhone」をはじめアップル製品の販売減少は避けられないと見る向きが増えています。

アップルにとって全売上の2割が中国、台湾、香港の、いわゆる「グレーター・チャイナ」からもたらされています。その売上げが減少することは大きな痛手になりますが、しかし本当の問題は単に売上げが減るだけでなく、アップルの製造そのものが打撃を受ける可能性が浮上したことです。

アップル製品の大半が鴻海精密工業によって、中国・台湾をはじめアジア各国の製造拠点で作られ、そこから全世界に向けて輸出されています。現CEOのティム・クック氏が中心となって築き上げたグローバルなロジスティクスが、中国政府の命令ひとつによって寸断されるリスクが意識されています。

テクノロジー分野をめぐる米中の覇権争いが、個別企業や市場にも直接的な影響をもたらす可能性が強まっているようです。

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米国はトランプ大統領時代の2019年から、中国に対して半導体規制を強化してきました。しかしそれでも手ぬるいとの批判が米議会では急速に高まっています。ここでのきっかけはファーウェイです。

ファーウェイが8月に発売した最新のスマホに搭載されている半導体の回線幅が7ナノメートルまで進化していたことが、解体して内容を調べたことによって判明しました。アップルの「iPhone14」の4ナノには達しませんが、それでも最先端レベルに肉薄しています。これによって中国に対する米国の半導体規制がさらに強化される可能性が出てきました。

週末にかけてアドバンテスト(6857)やソシオネクスト(6526)などの半導体が再び軟化しています。中国の景気鈍化や後退を伝える統計値がいくつも発表されましたが、中国に関する本当のリスクは景気動向ではなく、本質的な部分での米中対立にあるという点があらためて強調されつつあります。

先週からインドネシアで開催されているASEAN首脳会議に、バイデン大統領が欠席したことが物議を醸しています。続いてインドで開催されるG20首脳会議には、習近平国家主席が欠席し、どこかでお膳立てされるはずだった米中トップによる直接的な首脳会談は、ますます実現がむずかしくなりつつあります。

米中対立のリスクが強まれば、歴史的に日本のメリットにつながるという見方も存在します。先週も三菱重工業(7011)、川崎重工(7012)の防衛関連株が堅調な動きを示しました。来週以降もその方向性がよりはっきりと問われることになりそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で上昇しました。しかし週間の上昇率は+0.39%にとどまっています。前の週に今年最大の+3.68%の上昇を記録した反動が出ているとも見られますが、堅調さは保たれています。

規模別指数では、大型株(+0.60%)、中型株(+0.03%)、小型株(+0.11%)と大型株の上昇がかろうじて維持されています。スタイル別では、バリュー株が+1.27%の上昇を保ったのに対して、グロース株は▲0.56%と軟調でした。東証マザーズ指数も3週間ぶりに反落しています。

騰落レシオは128.37%まで上昇し、週末にかけて6日連続で120%超を記録しました。日経平均は8連騰をはさんだこともあり、サイコロジカルラインは「11」を2日間続けたあと、週末は「9」に低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、10業種が値上がりし7業種が下落しました。

値上がりセクターの上位は「エネルギー資源」、「不動産」、「金融(除く銀行)」となりました。反対に、値下がりセクターの上位は「電機・精密」、「医薬品」、「素材・化学」が入りました。

値上がりトップの「エネルギー資源」は前の週に続いてのランクインです。原油市況が年初来高値を更新したことを受けて、INPEX(1605)、石油資源開発(1662)の資源株、ENEOS(5020)、出光興産(5019)の石油元売りが上昇しました。石油元売り会社にはアナリストからの投資判断引き上げが相次いでいます。

値上がり第2位の「不動産」も前週に続いて上位に位置しています。三菱地所(8802)が16日続伸となり、三井不動産(8801)、東京建物(8804)、住友不動産(8830)などの大手不動産株が軒並み上昇しました。日本のインフレはまだ序の口でここから本格化すると見る向きが増えているようです。それが不動産セクターの人気につながっています。

値上がりセクターの第3位は「金融(除く銀行)」です。リース会社、カード会社、証券金融、証券会社、生損保など、銀行以外の金融セクターが幅広く物色され、出遅れ株への循環物色が一段と広がりを見せています。

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反対に値下がりセクターのトップは「電機・精密」でした。半導体セクターに軟調な動きが目立っており、アドバンテスト(6857)はアナリストからの投資判断引き下げで急落しました。

しかし一方では東京エレクトロン(8035)が

(後略)

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鈴木一之