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2025年10月14日

波乱。高市新総裁で日経平均は最高値更新、週末は連立問題で軟化

鈴木一之

鈴木一之です。先週は日経平均が再び48,000円台を突破して史上最高値を更新しました。自民党総裁選で高市早苗氏が選出されたことがひとつのきっかけとなっています。

それは単純に新政権の誕生を好感しているわけではありません。事態は複雑さを増しながら、世の中全体の変化のスピードが一段と上がっています。

変化の方向も必ずしも良い方向に向かっているとばかりは言えません。あらゆることが流動的で、株式市場はしばらくの間、乱高下を繰り返しそうな雲行きです。

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先週の日経平均の値動きです。

・10月6日(月):47,944円(+2175円)高市新総裁
・10月7日(火):47,950円(+6円)
・10月8日(水):47,734円(▲216円)
・10月9日(木):48,580円(+846円)最高値更新
・10月10日(金):48,088円(▲492円)

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10月10日(金)の引け後、公明党が連立政権からの離脱を表明したことから、大阪の株式先物市場では46,000円台まで急落しました。

さらにNY市場の取引時間中に、トランプ大統領が中国に対して100%の追加関税をかけることを宣言したため、10月11日(土)の大阪取引所の日経平均先物当限は▲2420円下落して45,200円まで値下がりしました。

トランプ大統領が自身のSNSで「11月1日から中国に100%の追加関税をかける」との方針を打ち出した最大の理由は、中国がレアアースを含む輸出規制を強化したためです。

中国企業がレアアースの輸出許可を得る対象を拡大したことと、中国産レアアースを使用する外国企業も許可を得るように求めています。

米中貿易摩擦の再燃から米国の株式市場も金曜日の取引時間中から急落しました。NYダウ工業株は▲1.90%、NASDAQは▲3.56%の下落です。日本は週明けは3連休で、その間の海外市場の動きが重要です。

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加えて日本にはもうひとつ、公明党の連立離脱という大きな懸念材料があります。

10月10日(金)、公明党と自民党は斉藤氏と高市氏のトップ会談を行い、連立政権からの離脱を表明しました。

野党時代をはさんで26年続いた「自公連立」時代が幕を閉じます。今後は選挙でも国会での政策論議でも、人物本位、政策本位の個別交渉となりますが、新しい党執行部に公明党とパイプを持つ議員がいないというネックがあります。

前回の参院選もそうですが、前々回の衆院選、東京都議会選において、自民党以上に公明党は多くの議席を失いました。

特に参院選では与党が過半数割れとなりましたが、あと3票あれば過半数を維持できるという僅差の敗北でした。この時の公明党は小選挙区で7議席減らしています。「政治とカネ」の問題は自民党以上に公明党にとって支持者離れを引き起こしたとされます。

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高市新総裁を掲げて臨時国会に臨む自民党は、国会で過半数を得る数合わせに躍起になり、公明党の存在をないがしろにし過ぎたものと受け止められます。

こうなると新たな連立相手を模索するにも、意中の国民民主党も大前提が変われば連立には尻込みするでしょう。臨時国会において首相指名選挙に臨めば、高市新総裁が選ばれる可能性もありますが、野党候補が1本化されればその予想は簡単に覆ります。

オランダ、イタリア、ドイツのように、日本も絶対多数を取れない少数政党の時代に突入した感もあります。そうなると国民への受けのよいポピュリズム的な政策がこれまで以上に前面に出てくるようになり、財政規律のゆるみから国債市場が不安定になります。

先週は国債流通利回りが上昇し、同時に円安が進みました。対ドルで153円台まで円が売られ、主要通貨に対してほぼ全面安の状況です。

政治は水もの、選挙は水ものと言われ、一寸先の予想も立たないものですが、特に今はあらゆる組み合わせが可能で、事態はますます流動的になっています。当初10月15日召集とされていた臨時国会は10月20日ごろに伸びました。高市氏が首相に選ばれるのか、選ばれたとして新たな連立は組めるのか。見通しはさらにむずかしさを増しています。

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株式市場では高騰が続いています。先週は月曜日に高市早苗氏が新たな自民党総裁に選ばれたことから日経平均が急伸し、前日比+2,200円近くも上昇して47,000円台まで買われました。

米国株式市場では、オープンAIが半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイスからAI半導体を大量に調達する契約を結んだとの発表があり、半導体とAI関連株の上昇が続いています。

そこに日本では新たに「高市トレード」と目される防衛株、原発関連株、量子コンピューター関連株が加わって日経平均を押し上げています。

月曜日だけで三菱重工(7011)は+15%、IHI(7013)は+16%、アドバンテスト(6857)も+13%と激しく上昇しました。ただし決して全面高とはならず、上昇する銘柄はごく一部の人気銘柄に限られたままの状況です。

週後半にはソフトバンクグループ(9984)がスイス・ABBのロボット事業を8000億円で買収すると発表し、これをきっかけにソフトバンクGの株価が上場来高値を更新するまで急騰しました。

世界のロボット大手の安川電機(6506)、ファナック(6954)の株価も買われており、新しい流れとして「フィジカルAI」というテーマが生まれつつあります。

政治と経済、公と民、マイナス面とプラス面を交互に評価しながら、株式市場は最高値更新から次なるフロアを探す展開となりそうです。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが反発しました。週間の上昇率は+2.19%に達しています。現在の相場を先導しているのは日経平均であって、TOPIXはそこまでは上昇していませんが、前週の▲1.82%の下落をすっかり取り戻しました。

JPX日経中小型株指数は+0.42%の反発にとどまり、前週▲3.43%の下げほどには上昇はかんばしくありません。

規模別指数でも、大型株指数は+2.71%(前週▲1.35%)と大きく上昇しましたが、中型株指数は+1.44%(前週▲2.52%)、小型株指数は+0.12%(同▲3.38%)で前週の下落に比べて戻りは鈍いままです。一方で東証グロース250指数(旧マザーズ指数)は+2.08%と大きく上昇しました(前週は▲4.21%)。

スタイル別ではグロース株の反発が優勢です。大型グロース株が+3.20%に対して、小型グロース株は+0.43%にとどまりました。バリュー株では、大型バリュー株が+1.60%でしたが、小型バリュー株は▲0.16%と続落しました。

東証プライム市場の騰落レシオは、火曜日に111.16%まで上昇した後に、週末は101.69%に低下しました。日経平均のサイコロジカルラインは週末に「6」まで低下しています。

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TOPIX-17業種のセクター別騰落では、14業種が上昇し、3業種だけが値下がりしました。
上昇率の上位セクターは「機械」、「電機・精密」、「鉄鋼・非鉄」です。いずれも生成AI、防衛、ロボットに関連するセクターです。

「機械」セクターはいくつもの物色の流れが混在しています。

「高市銘柄」として人気の防衛関連株が久しぶりにそろって活気づきました。三菱重工(7011)、IHI(7013)が上場来高値を更新し、日本製鋼所(5631)も急騰しています。

半導体関連株ではディスコ(6146)の人気が続いており、荏原(6361)、マルマエ(6264)、CKD(6407)、栗田工業(6370)も大きく上昇しました。

ロボットはナブテスコ(6268)、不二越(6474)、SMC(6273)まで動き始めています。

値上がりセクター第2位の「電機・精密」も半導体、防衛、ロボットに関連する銘柄が多く、これで5週連続の上昇です。

アドバンテスト(6857)、キオクシアHD(285A)、イビデン(4062)、芝浦メカトロニクス(6590)の半導体関連株や、大型では日立(6501)、NEC(6701)、富士通(6702)、三菱電(6503)も買われました。

値上がり第3位の「鉄鋼・非鉄」は、光ファイバー、光コネクターのフジクラ(5803)、住友電工(5802)が続伸。JX金属(5016)、三井金属(5706)も堅調です。

金価格が史上初めて4000ドルの大台を突破したこともあり、住友金属鉱山(5713)、三菱マテリアル(5711)の金関連株、さらにDOWAホールディングス(5714)、UACJ(5741)まで物色が広がりました。

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一方で値下がりセクターの上位には「銀行」、「運輸・物流」、「化学」が入りました。

「銀行」はメガバンクを中心に総じて軟調でした。高市総裁が日銀の政策金利引き上げには否定的なスタンスであることが影響していると見られます。

大きな下げは見られませんが、三菱UFJ(8306)、みずほFG(8411)や山口FG(8418)、八十二銀行(8359)、ひろぎんHD(7337)が軟調でした。

「運輸・物流」では東急電鉄(9005)、東武鉄道(9001)、電鉄株の下げが特に目立っています。SGホールディングス(9143)のようなトラック輸送株にも幅広い下落が見られました。

「化学」セクターも同様です。クラレ(3405)、

(後略)

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鈴木一之