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2022年4月19日

米国の5月FOMCを前にして警戒ムード、日経平均は週間でわずかに上昇

鈴木一之

◎日経平均(15日大引):27,093.19(▲78.81、▲0.29%)
◎NYダウ(14日終値):34,451.23(▲113.36、▲0.32%)

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鈴木一之です。ウクライナ情勢は新たな展開が見えません。ロシア軍がウクライナ東部に軍隊の大部分を移動させ、近々総攻撃を開始する懸念が駆け巡っています。ロシア軍の旗艦船「モスクワ」が撃沈されたというニュースが世界中で大きく取り上げられ、それも次なるロシアの報復攻撃の材料とされています。

コロナウイルスの新規の感染者数は日本でも徐々に拡大方向に向かいつつあります。それでもいずれの国も、経済活動の再開を急ぐ方向には変わりはないようです。韓国は感染者数は高い水準にとどまっていますが、国民に強いていた行動規制を解除しました。

違う動きはここでも中国です。上海では4月13日の新規感染者数が2万7700人を数え、これまでの最多を記録しました。それによって上海市のロックダウンは続いています。中国はこれまでの「ゼロコロナ政策」でやはり無理をしたためか、その反動が出ていると見られます。

上海がロックダウンすることで、中国経済に下押し圧力が強まっています。アップルの「iPhone」や「iPad」を生産する取引工場が生産を停止しており、日本のメーカーでもマツダや三菱自動車が工場の稼働を止めています。ここでも自動車部品や電子部品などを巡ってサプライチェーンが滞りがちとなり、中国のみならず世界経済に影響が広がりつつあります。

ロシア産原油をはじめ、ニッケル、パラジウム、銅などロシアが主産国となっている国際商品が市場に出てこない恐れがあること、および上海市のロックダウンによる物流網の乱れによって、コモディティ価格の上昇がじわじわと強まっています。原油価格はWTI先物価格で再び106ドル台に乗せ、ロイター/ジェフリーズCRB指数は先週、3月8日に記録した今年の高値(309.12)を更新する311.92まで上昇しました。2014年の高値、313.27も視野に入ってきました。

景気の鈍化と物価の上昇が同時に起こる「スタグフレーション」が現実のものとなっています。米国の10年国債金利は上昇を続けており、先週木曜日(現地)に2.82%に達しました。

2週間先の5月3-4日に開催される米国のFOMCでは量的引き締めが実施されるとの観測が強まっており、それが株式相場の膠着を招いています。小型成長株の一角には早めに手放しておく動きが始まっていると見られます。

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先週の東京株式市場は、TOPIXが3週連続で下落しました。日経平均ではわずかにプラスですが、TOPIXはマイナスです。週初の2日間の大きな下げが響きました。機関投資家は「新年度入りの直後は売りから入る」と見られており、現在はまさにそのような状況となっています。

それでもTOPIXの下げはわずか▲0.03%にとどまりました。日米ともに決算発表シーズンを迎えており、その分だけ個別銘柄の動きが前面に出ています。

規模別指数では、小型株の下げが目立ちました。金利上昇の影響が色濃く出ています。東証マザーズ指数も2週連続の下げとなっており、下落幅も▲3.42%と大きくなりました。大型株はわずかな下げにとどまりました。

日経平均のサイコロジカルラインは「5」まで低下しましたが、一方で騰落レシオは過熱圏とされる120%を1日だけ超えました。個別銘柄への物色がそれだけ強いということを示しています。

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TOPIX-17業種のセクター別の騰落は、値上がり業種が12業種で、反対に値下がり業種は5業種にとどまりました。

上昇セクターのトップは「電力・ガス」でした。東京電力HD(9501)が大商いのうちに大幅高となり、中部電力(9502)、関西電力(9503)がそれに続きます。

電力株をここまで押し上げている要因として、(1)燃料価格の上昇により電力料金の引き上げはこれから本格化すること、(2)天然ガスの高騰が続いており、それがかなり長期化するとの見方が強まっていること、(3)そうなると停止している原発を再稼働させるしかないとの動きも広がりつつあること、この3点が指摘されます。

ロシアへのエネルギー依存度を下げるために、ドイツが「原発ゼロ」の旗を降ろして原発推進に傾いたことが大きいと言えるでしょう。日本がそこまで強力な政治判断をできるかどうか、まさにその点が問われそうです。

値上がり率の第2位が「エネルギー資源」、第3位が「商社・卸売」です。これも電力株が上昇していることと同じような理屈で買い進まれています。特に総合商社は頑強な値動きを早くも取り戻しています。

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反対に値下がり率の上位は「電機・精密」がワーストとなりました。上海のロックダウンにより、アップルをはじめ電子機器製造の大手が生産を止めていることがじわじわと影響しているようです。

先週は為替市場でドル高が進み、円は126円台まで下落したことはエレクトロニクスセクターにはほとんど影響していません。自動車部品メーカーの一角も軟調な動きとなりました。

値下がりセクターの第2位は「小売」です。2月決算企業の多い小売セクターは先週、決算発表のピークを迎えました。ファーストリテイリング(9983)は第2四半期の純利益が1468億円(前期比+39%)となり、3年ぶりに史上最高益を更新したために週末に大幅高となりました。

同じように吉野家HD(9861)、アダストリア(2685)、

(後略)

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鈴木一之