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2020年1月27日

1月第3週は新型コロナウイルスが世界を揺さぶる

鈴木一之

日経平均は24,000円の大台に頭を押さえられた形となっています。調整色が少しずつ強まっています。

いつの時もそうですが、株価指数の大台替わりには時間がかかるものです。株価の水準が定着するのに難儀すればするほど、次の波動で上に(下に)抜けた時の値幅が大きくなります。

年明けすぐの時点では株式市場に楽観論が広がりました。米中貿易協議が和解の方向で進み、テクノロジーによる技術革新はますます速度を上げ、株価も特に米国を中心に上昇に弾みがついていた時期です。

こうなると日経平均は、すぐにでも25,000~26,000円に達するという見通しが多くなりますが、なかなかそうは行きません。相場とは本当に皮肉なもので、大勢の人が考えるようには決して動かないものです。この世界、常に少数意見の側が勝ちをおさめます。

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1月第3週が怒涛のごとく終わりました。それにしても先週はいったいどれほどの話題が飛びかったことでしょう。まさにニュースのてんこ盛り状態です。

極めつけの新型コロナウイルスに関してはうしろの方で触れるとして、まずはその騒動に至るまでの序章というべき状況について簡単に触れます。

(話題その1)
NYダウ工業株が5日続伸して、しかも最後は3日続けて史上最高値を更新していた翌週。週初から前田建設工業(1824)が子会社の前田道路(1883)に対して、いきなりTOBを仕掛けるという動きが表面化しました。

子会社なので敵対的なTOBではないと思われましたが、どうも前田道路側は了承していないようで、上場企業の親子関係の解消にもこれはたいへんな事態が始まったものだと思ったものでした。(日本経済新聞には両社の攻防の裏側が詳しく報じられまていました。事前にかなり協議を行った模様です。)

週明けの月曜日から前田道路はストップ高まで買われ、TOBを行う前田建設工業の株価も大きく上昇しました。それとは別件で、東芝機械(6104)に対して旧・村上ファンドがTOBを行うこともほぼ同時進行で明らかになりました。

日本の株式市場は突如として、あらゆる方面でTOBが勃発する事態となりました。資本効率の観点から無意味な持ち合い株はさっさと売却するように、との圧力がアクティビストから強まっています。

持ち合い株が売られた後にはTOBが活発化します。日本の資本主義は、まるで脆弱な仕組みの上に成り立っていたことが図らずも明らかになりつつあります。

この2件の事例によって、キヤノン電子7739、NECキャピタルソリューション8793、リコーリース8566など、親会社が大企業で、かつ株式の過半数を有しているような上場子会社の株価が一斉に上昇しました。次なる再編を狙ってマネーは活発に動いています。

(話題その2)
今年のダボス会議では、環境問題が議論の前面に出ました。経済、政治の諸問題を論じる場であったダボス会議が、地球環境サミットに丸ごと宗旨変えしたと世界中で報じられました。

トランプ大統領は地球環境の悪化に関しては、「革新力や技術力で課題を乗り越えるべきだ。悲観ではなく楽観になる時だ」と演説で述べ、これに対してスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんは「大人は悲観的になるな、任せてと言うが、結局は何もしないで黙っているだけ」と猛烈な勢いで反論しました。

グレタ・トゥンベリさんの発言は、借り物でなく常に自分の言葉で語っており、圧倒されます。私もそうありたいと思いながら臆病で少しもできません。

トランプ大統領は73歳。日本で言えば団塊の世代です。そしてグレタ・トゥンベリさんは16歳。世界中でますます力を蓄えている「ミレニアル世代」です。地球環境問題は、他のあらゆる問題と同じように世代間の戦いでもあります。

(話題その3)
日本電産(6594)の決算です。

 

(後略)

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鈴木一之